毎年11月3日は「レコードの日」となっていて、ここ数年は最近まで国内で唯一のレコードプレスメーカーであった東洋化成が音頭を取り、様々なタイトルが限定盤としてプレスされます。
正直に言えばこの「レコードの日」の限定盤は毎年あまり私の好みに合うものは無く、高い金を払ってまで欲しいというものではありませんでした。今年は玉置浩二、安全地帯の一部作品が含まれていましたので、どのアルバムかに注目していました。
個人的に玉置浩二のソロアルバムで言えば、最もレコードで聴いてみたいと思っていたのは3作目の「カリント工場の煙突の上に」でした。タイトル曲や「元気な町」といった、アコースティック系の音作りが中心で、アナログで良さを発揮出来そうな感じがあったためです。
しかし残念ながら今回のリリースではこのアルバムは対象となっておらず、今年も買うものは無いかと思っていたのですが、「安全地帯XIII JUNK」という作品がふと目にとまりました。
このアルバムは率直に言って存在を知らなかったのですが、玉置浩二のソロ作品を再アレンジして安全地帯が演奏するアルバムだというのです。何となくこちらに興味が湧いて、結局このアルバムを購入することにしました。また、聴き比べのため玉置浩二の5作目「CAFE JAPAN」(こちらは今回のレコード化対象)も購入しています。
ダブルジャケットの内側に収録曲がオブジェとして並んでいますね。
収録曲は以下の通りで、必ずしもシングル曲や知られた曲を取り上げたという訳では無く、今回のアルバムコンセプトに沿って選ばれた曲目のようです。
Side A
1. カリント工場の煙突の上に
2. JUNK LAND
3. MR.LONELY
Side B
4. しあわせのランプ
5. 田園
6. Honeybee 〜松本史郎歌謡ショー・ロイヤルゼリー〜
Side C
7. CAFE JAPAN
8. 太陽さん
9. 闇をロマンスにして
Side D
10. All I Do
11. プレゼント
12. メロディー
片面3曲ずつで、溝の幅は結構広く取られている上に、内周を広く開けて内周歪みを極力抑えるに配慮された2枚組となっています。
バンドならではの厚みと臨場感が伝わる
このアルバムの収録曲は全てYouTubeで試聴音源が公開されていますので、何曲か紹介しておきましょう。
まずは「CAFE JAPAN」との聴き比べに使った大ヒット曲「田園」です。
「CAFE JAPAN」収録バージョンはMVがありましたので、そちらを貼っておきます。
大まかな構成は変わっていないのですが、殆どの楽器を自分で演奏しているソロバージョンと比べると、アンサンブルの厚みが大きく増していることが判ります。
バンドの構成自体は割合シンプルで、きちんと楽器の質感を残した録音となっていますので、レコードの音がよく合います。
個人的に打ち込みメインの音作りの楽曲は、録音の段階からデジタルに特化した音となっていることが多く、このような生バンドの音とは違いあまりレコードが活きないと感じています。先日試聴イベントで米津玄師のシングル「M八七」のレコードを聴かせていただいたのですが、楽曲や機材がどうこういう訳では無く、音作りそのものがレコードに全く合っていないなと感じられたのです。もっとも、以前レコードで聴いたビリー・アイリッシュなどはそれなりにレコードの良さは感じられましたので、録音の問題なのかもしれませんが。
それを踏まえてこのアルバムを判断すると、レコードを意識した作品ではないものの、全体的にレコードにきちんと合った音になっているということに感心します。
率直に言えば、アイドル的な人気だった初期の安全地帯では、玉置浩二のヴォーカルスタイルはあまり好きでは無かったのです。しかし、アルバム「カリント工場の煙突の上に」辺りから声の深みが格段に増していて、彼のヴォーカルを大いに見直すことになりました。
本作も聴き始めると一気に聴かせるだけの魅力があり、買って良かったと思わされました。
-
購入金額
5,500円
-
購入日
2022年11月03日
-
購入場所
楽天ブックス
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。