所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。グループ解散後のソロ活動。グループ時代と、どれくらい路線を変えるかというのはさじ加減が難しいものです。近いと受け入れられやすいけれど、近すぎるとソロの意味がなく、遠いと旧来のファンがついてきません。アイドルグループ解散直後のソロ活動で、方向性を(とりあえず)固定した作品をご紹介します。
hiro。20世紀末に一世を風靡した、女子小中学生からなるアイドルグループSPEEDの高域担当ヴォーカリスト。SPEEDは音楽プロデューサー伊秩弘将によるユニットで、子供⇒女性へと成長していくメンバーの「その時」に合った楽曲を、立て続けにリリースし、都合約4年間で11枚のシングルと4枚のアルバムを残して駆け抜けたが(第一期活動期)、そのグループ活動後半から各メンバーのソロ活動が多くなってきていた。
一番音楽方面でのソロ活動が多かったのが、hiroこと島袋寛子で、SPEED在籍中にも2枚のシングルを残している。そしてその時は、伊秩が曲を書いていたので、SPEED路線延長。
SPEED(一時)解散後、hiroは最も歌のフィールドで活動したメンバーなのだが、解散後の「hiro」ソロとしては、当初葉山拓亮と組んで楽曲を制作した。
本作、“Your innocence”は、“Treasure”
と“Confession”
に挟まれた、hiro-葉山(初期)3連作の中央に位置する、hiro-葉山スタイルが確立した作品。
伊秩テイスト(SPEEDテイスト)を残しながらも、ちょっと新味を入れた葉山カラーが出た楽曲達が収められる。
「Your innocence」は、ちょっとサビの展開などに伊秩風味が見え隠れするが、キャッチーな節回しでいながら切なげで、しかもハネるリズムという微妙にズラした路線が、ちょっと鼻に抜けるような媚びがあるこの頃のhiroの声に合っている。♪愛すべき人がいて/失えない場所がある/だけど臆病にならないで/生まれ変わること/信じること♪
続く「Everytime, Everywhere」は、より打ち込み色が強い曲だが、「切なキャッチー」という路線はきちんと踏襲。「Your innocence」より切ない感じに寄せているが、ここでの聴き所はギターソロ。この打ち込みリズムにアコギというのが意外だが、少々スパニッシュテイストが追加されて、より切ない。ギターはこのシングルの他の2曲で弾いている古川望ではなく、DIMENSIONの増崎孝司。特にアウトロのギターソロがイイ!!
「Days -いつかの風景-」は、他の2曲に比べると若干ビート感が落ちた、チョイとエモめの曲。hiroの最高音域以外が、ちょっと鼻に籠もる声の感じが、より強調されている感じ。わりに抑揚が少なく、高低も強弱も長短も差がない音符が並ぶが、転調を上手く使っており、アレンジの勝利(作編曲ともに葉山なので、アレンジから創った曲かもしれん)。
全体として、SPEED-伊秩路線を大きく崩さないまでも、少し新味を出したhiro-葉山路線の方向性を一応固定した...という感じの作品。ただ、大きく進めた...という感じではなく、SPEEDファンが軟着陸できそうな範疇にとどまっていて、その部分がキャッチーと言えばキャッチー、安心感と言えば安心感なんだけど、グループ解散後再出発した「hiroのソロ」としては訴求力不足か...
SPEED路線そのままだと、どうしてもパワーが1/4になってしまうので...
そういう意味では、まだ「hiro」を確立しきっていない、という感じもする楽曲です。
【収録曲】
1. Your innocence
2. Everytime, Everywhere
3. Days -いつかの風景-
4. Your innocence (Instrumental)
5. Everytime, Everywhere (Instrumental)
6. Days -いつかの風景- (Instrumental)
「Your innocence」
伊秩テイスト(SPEEDテイスト)を残したhiro-葉山路線をどう評価するかで....
(たぶん意図的だろうけど)伊秩風味が残っているhiro-葉山路線、受け入れられやすいが、ソロならではの新味には乏しい。
ま、SPEEDではhiroが一番目立つメロを歌っていたので、致し方ない面はあるが...
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購入金額
1,260円
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購入日
2001年頃
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購入場所
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