日本ファルコムの人気アクションRPG、「イース(Ys)」シリーズの8作目となるゲームで、元々は2016年に日本ファルコム創立35周年記念作品としてPlayStation Vita向けに発売されました。初代の「イース」は1987年にPC-8801版でリリースされ、その後各プラットフォーム向けに展開されています。
本来PlayStation 4向けにも同時に発売される予定でしたが、結局PlayStation 4版はVita版から約10ヶ月遅れで発売され、代わりに追加要素が加えられる形となりました。今回取り上げるSteam版は、このPlayStation 4版をPC向けに移植したもので、追加要素もPlayStation 4版と同等となります。
Steam版がリリースされたのは2018年4月だったのですが、個人的にアクションRPGをプレイする気力がなかなか無く、「英雄伝説 軌跡」シリーズはリリースされる度にすぐ買っていたのですが、「イース」シリーズはこれまで購入していませんでした。この「イースVIII」を買ったのも、たまたまセール価格で大幅に安くなっていたため、いつかプレイするかもという程度の理由であり、実際5月に購入していてプレイを始めたのは10月に入ってからです。
Windows版以降の「イース」シリーズについては「イースVI ナピシュテムの匣」、「イース フェルガナの誓い」(イースIIIの再構成版)、「イース オリジン」(シリーズの主人公アドル・クリスティンが登場しない番外編)は一応PCでプレイしてきたのですが、実はいずれもキーボードでプレイしていたため、ゲームパッドが事実上必須となるSteam版はどうもしっくり来なかったのです。特に「イースVI ナピシュテムの匣」は当時Windows 2000で動いていたNEC PC-9821Rv20(NEC純正のPC/AT互換配列キーボード接続済)でプレイしていたくらいですからね…。
それを急にプレイすることにしたのは、先日Steamのクライアントアプリのアップデートがあり、再起動された後でライブラリを確認したところ、この「イースVIII」を購入してあったことを思い出したためです。元々プレイしたユーザーからの評判は極めて良い作品だったため、何となくプレイし始めたところ、連休の大半を費やして一気にクリアすることになってしまいました。
「イースVI」以降のフォーマットに沿った快適性の高いもの
ここからはプレイ画面を使いながら説明していきます。
まずは起動直後のメニュー画面ですが、これは既にトゥルーエンディング到達済みの状態であり「Gallery」「Time Attack」といった項目が表示されています。初期状態にはそれらはありませんでした。
ゲーム冒頭では、主人公アドルは目的地に向かうため客船の臨時船員となって働いています。この客船が謎の巨大生物に襲われ、沈没し乗員・乗客が海に投げ出され、無人島に漂着することになり、ゲーム本編が始まっていきます。
初期段階では、近くに漂着したメンバー(客船の船長やアドルの相棒ドギも含まれる)で、比較的安全な場所に「漂流村」を構築しつつ、他の漂着者を探すという形でゲームが進行していきます。
この無人島は太古に滅んだはずの古代種(簡単に言えば恐竜)が大量に生息していたり、未知の古代文明の遺構が発見されたりする場所でした。ここで活動を続けるうちに、アドルは睡眠の度に古代文明の「大樹の巫女」(この文明では王家と並ぶ重要な存在)と呼ばれる人物「ダーナ」の記憶を夢で見ることが多くなっていき、やがて2人はある程度記憶を共有するようになっていきます。
やがて無人島内の多くの部分を探索し、その流れで古代文明の遺構も探索することになります。当時のダーナの記憶を更に深く知っていくと、何故か遺構に残されていた大樹の下で、眠り続ける当時のままの姿のダーナを発見します。
ダーナは眠りにつく少し前からの記憶は失っていたものの活動に支障は無く、これ以降の探索には同行する形となります。
その後のストーリは核心に触れてしまうことになるため、プレイしてのお楽しみということになります。
基本的なシステムはWindows世代初のオリジナルタイトルとなった「イースVI」準拠ですが、「軌跡」シリーズでもお馴染みとなった「釣り」や「レシピ」などの要素が盛り込まれ、また以前のイースシリーズと比べるとストーリーの比重が高まっていて、アクション一辺倒という印象はかなり薄れました。それでいて強力な武器を使ったりレベルを過剰に上げても、ある程度きちんと操作しないとあっという間にピンチに陥るといった厳しさは健在で、この作品があくまでアクションRPGであるということも忘れさせず、この辺りのバランス感覚は長いシリーズだけありとても洗練されています。
また、基本的な情報はメニュー内の「冒険日誌」から一通り参照できますし、マッピング機能も充実していて宝箱のありかなども画面内で描画されれば、そこから直接たどり着けない場所でも記録されるため、探索はかなり楽になりました。
なお、この冒険日誌と同等の機能は、過去のマップでダーナを操作する際にもほぼ同等のものが用意されています。
トゥルーエンドで「Lacrimosa of DANA」の本当の意味が判る
本作のサブタイトルは「Lacrimosa of DANA」と名付けられています。「Lacrimosa」はラテン語で「涙」「嘆き」などの意味を持つ単語らしいのですが、作中での「Lacrimosa」は「涙の日」と称する文明が神によって滅ぼされる現象のことを指しています。かつてダーナが暮らしていた「エタニア文明」も、この「涙の日」をきっかけに滅亡してしまいます。
一応本作はマルチエンディングとなっていて、トゥルーエンドを迎え、全てのマップとイベントをクリアした場合には謎が残さず明かされる形となります。
特に過去のダーナでプレイする「地下聖堂」マップはゲームのメインストーリーとは直接絡んでいない(ここを無視してもトゥルーエンドには到達できる)ものの、ここをきちんと全てクリアしないと謎が残されたままとなる部分があり、なかなか手が込んだ構成となっていると思わされます。
私は周回プレイは多分しないだろうと思い、エンディング直前に取り残しがあった事に気付き、一度エンディングを見た後でやり直すなどしてみたところ全てのイベントをこなすことが出来たようで、やり直ししたエンディングの後にこの1枚絵が表示されました。
そしてトゥルーエンドにたどり着くことで、この作品のサブタイトル「Lacrimosa of DANA」の本当の意味が初めて理解できました。これはプレイした人だけが理解できると思いますので、詳細説明は避けますが。
同じ日本ファルコムの「軌跡」シリーズと違ってストーリーがメインのゲームではないのですが、アクションの合間にしっかりとしたストーリーが描かれることで単純作業感がありませんし、冗長さが無くスッキリと話が進むことで初代イース以来の爽快感はきちんと残されています。また「漂流村」が徐々に発展していく描写も秀逸で、エピローグで島を離れるときに作中の登場人物達と同じように離れ難さを感じられるのです。
私が「イース」シリーズを本格的にプレイしたのは「イース オリジン」以来なのですが、やはりこのシリーズはプレイしていて楽しいと改めて感じました。ただ、若い頃と違って連続プレイすると結構疲れますので、始めるまでのハードルは高そうです…。
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購入金額
2,436円
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購入日
2022年05月06日
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購入場所
Steam
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