所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。機械とひとの融合。どんな分野でもやりやすいジャンルやカテゴリーとそうでないものがありますが、音楽の場合「譜面がない」系のものの方が難易度が高くなりがちです。元々、テーマやコード進行だけ決めて、各プレイヤーのアドリブやインプロヴィゼーションで繋いでいくジャズに、機械演奏はなかなかなじまないものです。それを、一番目立つパートであるヴォーカルを人工音声=VOCALOIDに任せながら、「魂」を入れた作品をご紹介します。
“the VOCAJAZZ”。2010年代前半、ニコニコ動画界隈を中心に活動していたボカロ関連のアーティストやP(プロデューサー)が手がけたジャズ系楽曲のコンピレーションアルバム。以前、一作目の“the VOCAJAZZ Vol.1”
をご紹介したが、本作“the VOCAJAZZ Vol.2”は、8ヶ月後のTHE VOC@LOiD M@STER 19で頒布されたもの。
前作はクリプトン・フューチャー・メディアの3VOCALOID(ミク、リン・レン、ルカ)とMegpoid(GUMI)・猫村いろは・VY2といったVOCALOID 2エンジンのものが中心だったが、この“Vol.2”では、さらにVOCALOID 2ながら、拡張音源の初音ミク Append、幼女小学生ボカロ歌愛ユキ、そしてVOCALOID3エンジンの結月ゆかりとV3 GUMIも加わったのが新しいところ。
Pも、ボカロ初期から活動するDATEKEN、ヒットメーカーれるりり、トリッキーな曲が多い西島ソーンダイクこと西島尊大らのほかに、たけ(鍵盤無双P)や黒田亜津(あしん)、ベッコー(夏空P)など新顔も多い。
前作から半年の進化はいかほどだろうか?
幕開けは、DATEKEN(ダテケン)のジャジィなナンバー「ワンルーム・オール・ザット・ジャズ」。ほぼ打ち込みっぽいが、ピアノは生かな?ブラシ振り回している感じのハイスピードジャズヴォーカル曲。かるく口先で歌っているような初音ミクのAppend(Dark)の声音が合っている。ビートを良く聴くと打ち込みっぽいが、軽い感じのブラスのオブリと、ビート感が薄いブラシのパターンで、上手く「機械臭さ」を消している。
ジャジィな童謡?もしくは昭和歌謡?は、「小学生ボカロ」歌愛ユキが歌う「たび」。間奏は名前の通り、「鍵盤無双」にピアノを弾きまくるたけ(鍵盤無双P)のプレイでかなりジャジィなのだが、歌部分は歌愛ユキの幼めの声で、結構童謡系のテイストもある。
ベースがウッドベース(音)というのと、バックで鳴るピアノのフレーズとソロがジャジィという他は、リズムを含めたオケがぶつ切りな感じで打ち込みっぽくって、ジャズというよりポップなテイストの「タ・トゥ・ラ」は喜兵衛の筆。バックスカスカでヴォーカルが目立つのに、ボカロ臭さが薄いのは、VOCALOID3エンジンの結月ゆかりを使っているからか。
これもGYARI系楽曲コンプの一環として入手したが、結構面白い作品に出会えた。
ニコ動ボカロ界隈が賑わっていた時代の作品でした。
【収録曲】
1. ワンルーム・オール・ザット・ジャズ / DATEKEN feat. 初音ミク Append(Dark)
2. 孤独のパラノイア / なきゃむりゃ feat. 猫村いろは
3. One Night Stand / oz_hiro feat. 巡音ルカ
4. たび / たけ(鍵盤無双P) feat. 歌愛ユキ
5. The sweet night with little straycats / れるりり feat. 初音ミク
6. 予定調和に沈む / 黒田亜津 feat. 巡音ルカ
7. タ・トゥ・ラ / 喜兵衛 feat. 結月ゆかり
8. 8 / 西島尊大 feat. 初音ミク
9. ソファー / たけ(鍵盤無双P) feat. 歌愛ユキ
10. ONE NIGHT PIECE / ベッコー(夏空P) feat. 猫村いろは
11. あの日のままで / れるりり feat. V3 GUMI(Whisper)
12. ニジイロ / GYARI feat. 鏡音リン
「ワンルーム・オール・ザット・ジャズ」
「ボカロジャズ」ができあがっていく感じが楽しい
当時のニコ動ボカロ界隈の盛り上がりがよくわかる
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購入金額
2,500円
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購入日
2021年08月22日
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購入場所
メルカリ
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