実は結構前に購入していたイヤフォンですが、何となく取り上げる機会が無いままここまで来てしまったので、ここで取り上げておくことにします。
シンガポールの主にカスタムイヤフォンを手がける高級ブランド、Jomo AudioのローエンドUIEMであったのが、このHAKAとなります。
購入時に一応純正ケーブルは添付されていたのですが、少し聴いてすぐにケーブルを替えてしまいました。その交換したケーブルがORB Clear Forceである時点で、ケーブルの音質傾向に通じている方であれば何となくこのイヤフォンの傾向を推測していただけるかも知れません。詳細は後ほど記します。
このHAKAのドライバー構成はシングルBAで、一応カスタム/ユニバーサルの両方で展開されていた製品です。ユニバーサルモデルで発売当時は5万円前後というかなりの強気な価格設定でした。
なお、どのような理由があるのかは判りませんが、現在Jomo Audioの公式サイトには、このHAKAの情報は全くといって良いほど残されていません。そのため、製品情報はeイヤホンの商品情報などから拾って紹介しています。
購入してから5ヶ月近く紹介していなかった理由は、ただこの製品を使う機会が無く、音についてどう語って良いかと悩んでいたためです。組み合わせるDAPを色々替えたりもしてみたのですが・・・。
独特の音場表現だけが取り柄
前述の通り純正ケーブルで数分聴いた時点で、すぐにケーブルをORB Clear Forceに交換してしまいましたので、これ以降の音質評価は全てClear Forceと組み合わせたものとご理解下さい。
試聴には私のメインDAPであるCayin N6ii/R01と、Astell&Kern A&Futura SE100を使っています。SE100については後日また改めて。
ソースは以下のものを中心に聴いてみました。
第一印象としては、籠もりがちでレンジが狭い音というものでした。特に高域方向のヌケが極めて悪く、4~5kHz辺りから高域がダラダラ下がってしまっているのではないかと感じる程です。以前紹介した激安CIEM Hisenior T2 Customと近いバランスですが、HAKAの方がレンジという意味ではややマシな分、質感ではむしろ劣ります。
中低域の辺りに厚みがあり、音場の左右の広がりはなかなか良好で、この辺りはJomo Audioらしいところかなと感じるのですが、厚みのある中低域の解像度は低く、総じて締まりのない音という印象になってしまいます。低域も60Hz辺りから下はかなり音圧が低く、出ていない訳ではないものの存在感はありません。
レンジが狭くても、T2 Customのように出ている音の質がそこそこ保たれているのであれば一つの個性として許容できるのですが、残念ながらHAKAは出ている音の質感がお世辞にも良いとは言えず、ただぼんやりと音楽が垂れ流されているような印象を受けてしまい、とても発売当時5万円前後という価格帯だったと感じられる水準ではありません。
同じシングルBAのVECLOS EPS-500(これも後日取り上げます)と比較しても、ほぼ全ての要素で完敗であり、独特の横方向に妙に拡がる音場が唯一勝っていると感じられる点でしょうか。もっともEPS-500の方が自然な表現という気はしますが。
高価でもそれに見合った価値があるとは限らないのが、オーディオ機器の中でも成熟度が浅いイヤフォンの世界ではあるのですが、それを体現してしまったという印象しか受けませんでした。正直言って私の購入価格でもまだ割高だと思います。
格安中古を割高に感じる程度の実力
世の中に本当の意味で「安くて良いもの」は滅多にありませんが、「高くても良くないもの」はいくらでもあるということを示してくれた製品です。
音に関しての印象は既に述べていますが…。
実売価格が万単位になると値段だけで飛びつくことは滅多に無いのですが、4桁価格ならそこまで後悔しないだろうと、無試聴で買ってしまったのが間違いでした。
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購入金額
8,000円
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購入日
2022年02月24日
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購入場所
eイヤホン
harmankardonさん
2022/08/04
jive9821さん
2022/08/04
Jomo Audioの音は横方向に良く拡がる音場と、濃厚な中低域
というのが持ち味だと思うのですが、シングルBAで無理矢理
その方向に持って行こうとして完成度を上げられなかったという
印象を受けます。
多分多ドライバーで作り込めば、彼ららしい傾向を持ちつつ
完成度もそれなりに高い製品が出来るのだと思いますが・・・。