建築屋さんや電気工事屋さんのクライアントから「ネットワーク機器が買えなかった」という声も聞こえてくるのですが、特にこの無線 LAN アクセスポイント「WLX212」も入手困難ですね。生産中止か?と思うくらいどこにも在庫が無く、手に入らないみたい。Amazon や楽天のページも消えちゃってるし。
この WLX212 は今夏に企画中の新プロジェクトで複数台使用するつもりなのですが、本来購入計画を立てていた従来機である WLX313 とどう違うのかがよく分からなかったので、先行して評価機として購入しました。
薄型の WLX313 と比較すると厚みがあるのは、アンテナを内蔵しているからだと思います。
昆虫の脚のようにアンテナがサイドから出ている 313 はインテリアに関わる人にとっては「ダサい」だったのですが、シンプルな形状になったことで壁に付いててもあんまり気になりません。
厚みがあるので最初は薄型の方が良いかもなと思ったのですが、エアコンの出っ張りを意識していない層にとっては気にならないようです。
ちなみにどちらが上になっても良いようにヤマハのロゴが両端に天地逆のものがプリントされています。
ヤマハの無線LANアクセスポイントのラインナップとして一番安いのが2020年7月に発売されたこの WLX212 で、それ以前に安かったのが 2018年5月に発売されていた WLX313。両社はほとんど同じ性能です。
ほとんど同じ性能、発売時期が若干ずれているだけなのですが、ヤマハの公式サイトでは 212 はクラスター型管理、313 はグループ型管理、とされています。おそらく今後発売される無線LANアクセスポイントはクラスター型管理という方式が搭載されていくと予想されるのですが、マネジメントの考え方が違うだけで性能差や優劣は無いかと思います。
同梱される内容物ですが、マニュアルとスタンド?と取付器具。細い棒のようなものはスタンドだと思うのですが正直よく分からないです。
外部アンテナは一切なく、取り付ける場所もありません。
厚みはけっこう気になります。
六方辞書までいかないけど国語辞典くらいというべきか。
影をつくらない白い壁に取り付けることで違和感なくなりそうですが。
WLX313 と比較。313 は薄くて角がカットされることで厚みを感じさせない仕組みがあったのですが、212 は普通に本当に厚いです。
並べて横から見てみると・・・あれ? あんまり高さ変わらくね?
確かに厚いは厚いのですが、313 がカットの仕方で薄く感じるだけで 212 も同じくらいですね。
212 はアンテナが内蔵されているので容積が増えたのかもですが。
このあたりにインダストリアルデザイナーと技術者の戦いがあったかもしれないですね。
評価試験用に RTX1210 を調達して、WLX313 と WLX212 の2つを繋げました。
L3スイッチの SWX3100 もくっついて表示されていますが、特に意味はないです。
ネットワーク機器って最初の設定でアドレスを揃えてアクセスする必要があるのですが、ヤマハ系はルータの LAN マップで全部できてしまうので楽です。異なるネットワークでもプロキシ使ってアクセスしてくれるので何も考えずに繋げて後で設定を正しく持っていくことができます。
ここから管理画面を見ていきます。
212 はクラスター型管理、313 はグループ型管理、と区別されていて違いがよく分からなかったのですが、使ってみてようやく理解できました。
従来の 313 は複数のアクセスポイント機器の管理を1台の「マスタ」として割り当てた機器にログインして管理していたのですが、212 は複数の機器にマスタとメンバーの違いがありません。212 は別のIPアドレスを使用した「仮想機器コントローラ」を設定することで、それをマスタとして操作します。
つまりクラスター型管理というのは、仮想機器コントローラを用いた管理のことをいうようです。
クラスター型管理も、設定した内容を「送信」ボタンで配信するという運用方法は一緒です。
このメリットについて正直よく分からなかったのですが、メーカーは「マスタとして設定した機器が物理的に壊れた時に迅速にどの機器からでも復旧できる」ということをあげていたのですが、別に config ファイルで復旧するかな、というかんじでピンとこなかったです。
これが WLX212 の仮想コントローラ画面。IPアドレスを別に1つ設定してアクセスします。
ヘッダの色は濃いグリーン。個別のメンバー機器の管理画面のヘッダは従来通りのグレーです。
基本的にできる操作は WLX313 と一緒で違いは特にありませんでした。
なんか比較できたらいいなと思ったのですが、普通に何もないですね。
ネットワーク上に構築した最初の1台目を起動すると、仮想コントローラが作られます。
次の2台目以降をネットワークに繋ぐと、仮想コントローラから自動的に設定情報が流し込まれます。
わりと便利だとは思うのですが、テストで使おうと思って起動したらいつのまにか通常稼働のアクセスポイントとして起動していてみんなが繋げていた、ということがありえるので注意は必要ですね。
個別の機器にもログインできます。
「見える化ツール」はこちらの管理画面に残っています。
新管理方式によるコントロール
よくも悪くも大規模なネットワークを構築する人が楽になるデザインなんだと思います。
クラスター型管理という方式によって、単体で別の設定をした機器をそれぞれ運用するというやり方の方は面倒になった気がします。
ネットワークは非常に安定しており、一度設定して起動すれば二度と再起動することがないくらい。
設置環境に合わせて電波状況をカスタマイズすることもでき、満足のできるネットワークライフを構築できます。
ゲスト用にネットワークを分け、フリーWi-Fi とするためのポータル機能もあるなどいたり尽くせりな機能も従来通りにあります。
唯一ヤマハ系のアクセスポイントにないのはスケジューラ機能なのですが、同じネットワークの別サーバからコマンドを cron で動かすことで対応できます。
コマンドが充実しているヤマハ系アクセスポイントだからこその技ですが、ドキュメントもインターネット検索で多く見つかり初心者にも非常に分かりやすいですね。
運用コストが少ない
天井の高いところに設置してしまうと掃除ができなくなりますが、凹凸がなく拭きやすいです。
フリーズすることも少なく、管理画面で負荷を確認する限りでも非常に安定しています。
唯一問題だと感じるのは、起動が遅いこと。
電源を入れてから5分以上待たないと使えるようにならないイメージです。
管理画面へのアクセスも非常に待たされ、ストレスもあります。
かなり低コスト、設定が自動化
WLX313 と価格を比較すると 3 万円の価格差がある製品なのですが、スペック的には同じなのでどう考えても後発売機である WLX212 を選択する方が良いです。
1台で運用しようとするとあまりメリットは無いのですが、複数台を管理しようとする場合は確実に便利です。
最初の1台を業者に設定してもらえば、後は買い足すだけで自動的に設定が引き継がれ、壊れた時も新品と交換すれば自動で設定してもらえるという利点があります。
WLX 313 とクラスター機能で共有できたりすると、かなり便利なのですが……。
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購入金額
39,800円
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購入日
2022年02月25日
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購入場所
商社
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