レビューメディア「ジグソー」

あの曲が、ロック調に

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。セルフカバー。アーティストが他者に提供した楽曲を自ら歌うこと(広義には自分の過去の楽曲を歌い直す/演奏しなおすことを含む)。比較的オリジナルの雰囲気を保った曲となることもありますが、提供先のシンガー・アーティストとの性別やジャンルの差により違った風合いの曲となることもあります。さらに、アレンジを大きく変えることで全く別の曲となることもあります。もともとはオンナノコがキャッキャッウフフしていた(かなぁ?)楽曲を、提供者が力強く歌い直した楽曲が収められた作品をご紹介します。

 

そして「芋づる式洲崎綾 Part9」。Webラジオのキャラクターの面白さと天使の歌声のギャップ萌えですっかりファンになった洲崎綾あやちゃん/ぺっちゃん/あやっぺ)関連レビュー。年末(12月)といえばあやちゃんのバースデイがあるということで、それに向けてこの1年で増えてきた彼女の参加した作品や楽曲や書籍、イベントグッズなど、幅広く芋づる式におよそ一ヶ月にわたりご紹介するシリーズレビューの9回目...の番外編。

 

「ひもてはうす」は、2018年、あやちゃんが主演したアニメ作品。アニメ界の鬼才(奇才?)石ダテコー太郎監督が企画したナンセンスドラマで、かつて手掛けた同種の「gdgd妖精s(ぐだぐだフェアリーズ)」や「てさぐれ!部活もの」あたりで親交がある声優たちがキャスティングされたが、その中の一人、西明日香があやちゃんとラジオ洲崎西の相方であるため、「石ダテ組」に引っ張り込まれた格好。

 

そして、その主題歌「モテたいのー」

を、あやちゃんや西、さらに共演した明坂聡美、上坂すみれ、三森すずこ、木野日菜らが歌ったのだが、それを作曲した「井上純一」が、同曲のセルフカバーを含むアルバムをリリースした。

 

大友ジュン。アニメ系楽曲も手掛けるシンガーソングライター。アニメの音楽を担当するときは、本名の井上純一名義で活動するが、自身の作品を発表するときは、大友名義。ジャンル的にはバンド系J-ROCKとなる。彼は石ダテ監督とは親交があり、今回の「ひもてはうす」でも声がかかったようだが、女性声優が歌うことを前提にしたテーマソングのセルフカバーをどう仕上げてきたのだろう?

 

まず、収録順に大友のオリジナルから。「サディスト」は、今井隼のジャズバーのピアノ演奏のようなイントロから、曲に入るとガラッと変わり、荒い音の前進力のあるJ-ROCKになる。バックビート2拍目を喰った印象的なリズムに載せて、大友の声が力強く歌う。♪今を変える事が必要なら/Tell me. Tell me. 教えてよ/すぐに/底なし沼/落ちないように/Tell me. Tell me. 答えを/Tell me. Tell me. さぁ/早く♪歌の部分はロックなのに、間奏のピアノソロは、やはりジャズテイストがある粋なものだが、ラストの大友のロングトーンシャウトに引き続いて、ベースのokamu.の魅せ場⇒三沢崇篤のギターと引継ぎ、構成的にもロックバンド色が出ている曲。

 

君こそ第一位!」は、♪スーパーなヒーローは/どこにでもいるわけじゃない/でも気づいてないだけで/実は近くにいたりする♪と歌われる応援ソングで、頭打ちのリズムに乗せて、声優もこなすシンガーソングライターAiLiとデュエットする曲。明るさを持ちながら芯があるAiLiの声と、ロックな大友の声は相性が良く、特にサビの上をハモるAiLiの声は、女声という以上の華やかさをこの曲に与えている。

 

モテたいのー(Rock ver.)」は、「ひもてはうす」のオープニングテーマだったが、「Rock ver.」の表記通り、元曲とは全く風合いが異なる。打ち込みのキーボードの分散和音が印象的だった元曲から、尾池大輝のガツンとしたディストーションギターのリフが入るようになり、主役級女性声優群のコーラスで取られていたメロも、大友のロックな声に。そもそもリズムの取り方が倍速になっていて印象がかなり違う(曲の速度も若干速くなっているが、そういう意味ではなく、元曲の1小節を2つにわけて演奏される感じ。ド・ツ・パ・ツ・ド・ツ・パ・ツ⇒ドン・パン・ドン・パン・ドン・パン・ドン・パンと言う感じ)。アレンジはアニメ主題歌と同じHajimeなので、大友のテイストに合わせてハードにしてきた感じ。

 

続く「おうちに帰ろう(Acoustic ver.)」も、「Acoustic ver.」となっているようにアレンジが異なる。ただこちらは元曲も激しいアレンジではなかったので、イメージは近い。柔らかなシンセの音がリードし、それに生ギターが絡んでいた元曲に比べて、こちらはより弾き語りっぽい。2本のギターを中心に、シンセではなくオルガン系音色が地味に入り、打楽器もドラムスというよりカホンっぽい感じ(打ち込みなので「カホン風音色」だが)で、より「生っぽさ」が強い。

 

元曲と聴き比べるとそれぞれ良さがあるが、「モテたいのー」はあまりにもアニメのオープニングと印象が結びついてしまっているので、ややせわしない大友版は違和感がある感じ。一方「おうちに帰ろう」は、よりアコースティックな本作の方が「染みる」かも。

 

あやちゃんファンとしては、「おうちに帰ろう」でのあやちゃんの切ない歌い方もよかったので、ビミョーなところだが....

 

ちょっとバンドをやっていたころを思い出させるような、楽曲たちでした。

各楽曲(Bonus Track除く)を1つのえで表したものが歌詞カードにある
各楽曲(Bonus Track除く)を1つの絵(写真)で表したものが歌詞カードにある

 

【収録曲】

1. 大逆転!!
2. 裏側
3. サディスト
4. 両手
5. 君こそ第一位!(大友ジュン with AiLi)
6. 深呼吸
7. モテたいのー(Rock ver.)-Bonus Track-
8. おうちに帰ろう(Acoustic ver.)-Bonus Track-

 

「大友ジュン 3rd mini Album『深呼吸』全曲試聴」

更新: 2021/12/10
必聴度

「ひもてはうす」関連以外は、バンド調の楽曲が気持ちよい

Bonus Trackの2曲は、他者のために書いた曲、というのも助長しているのかもしれないが、編曲者が異なるせいか(オリジナル系は今井隼、「ひもてはうす」系はHajime)、結構風合いが異なる。

 

オリジナル系は少々懐かしい感じのロック。

  • 購入金額

    2,000円

  • 購入日

    2019年頃

  • 購入場所

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