実は半年ほど前に買っておいたのですが、その後で入手したMicrosoft Surface 3の携帯性の方が魅力的に思えて全く使っていなかったノートPCです。
Panasonic Let's noteシリーズといえば堅牢性に特化したビジネスPCという色彩の強い製品群ですが、その中ではやや異色の存在といえたのが、このLet's note MXシリーズでした。
基本的には360度回転のタッチパネル対応ディスプレイを装備して、タブレット的にも使える2in1PCという位置付けです。ただ、他のLet's noteと比べると堅牢性がやや劣り、キーボードのストロークも浅いなど、このシリーズならではという印象の薄い製品です。
実は現在私が持ち歩いている仕事用のPCは、同じLet's noteでも少し小型のCF-NX3となります。
小型ながらメモリー増設やHDD/SSDの交換が容易な構造となっていて、現在はメモリーを増設・起動用SSDをCrucial CT500MX500SSD1として、OSをWindows 8.1 Pro 64bitのままにしておくことで今でも十分快適に使えています。Microsoft Officeの最新版や、その他数種類のアプリケーションが動いてくれれば十分仕事で使えるため、敢えてOSのアップグレードは行っていません。
一方、今回取り上げるCF-MX5はCPUにCore i5-6300U、メモリ8GB(増設不可)、SSD 128GBと、初期状態では明らかにCF-NX3を上回る性能を確保できています。そのため、場合によってはこのCF-MX5を仕事用に回すことで、仕事用PCもWindows 10化しようと考えていたわけです。
このモデルは以前秋葉原を中心とした中古販売店に大量に中古が出回ったのですが、私はその時期にヤフオクで入手していました。当時の店頭価格よりは1万円ほど安かったためです。
外側を見る限りでは、ごく普通のLet's noteの外観です。
裏面にバッテリーパックが見えていますが、実はこのPCではバッテリーパックは2ndバッテリーという位置付けで、1stバッテリーは本体に内蔵されています。これは長時間の連続使用を念頭に置いていて、バッテリーパック交換時にも作業を途切れさせないよう考えられているとのことです。
キーボードがアイソレーションタイプで、ストロークもNX3よりも浅めなのが少々気になります…。
今回購入したのはCF-MX5PF6VSという企業の大量導入向け(保険会社の外交員向けにカスタマイズされたものという未確認情報あり)であり、NTT DoCoMo用にSIMロックがかかったWWANスロットを備え、ストレージが128GBと世代の割に小さいのが特徴となります。
向かって左側の側面は、専用タッチペンを収納するスペースとなっていて、端子類は右側に集約されています。USB 3.0×2はモバイルノートとして標準的ですが、映像出力端子としてHDMIとアナログRGBを両方備えている辺りは、プレゼン時のプロジェクター接続等を念頭に置いた設計であることを示しています。
パームレストの指紋センサー付近に、SDカードスロットが用意されています。また音声のミュート等もボタンで出来るようになっている辺りが、業務用らしい配慮といえそうです。
ACアダプターは16Vで、世代の割には電圧が低めです。これも互換性を重視しているためでしょうか。
SSDの割にストレージが遅く体感速度に難あり
まずはこのPCの特徴である2in1スタイルについてです。
まず基本形としては、このようにクラムシェルスタイルのノートPCとして使うものでしょう。
液晶解像度は12.5インチのフルHD(1,920×1,080pixel)で、表示能力は標準的な水準を確保しています。
ただ、Panasonicのタッチパネル対応PCは大体そうなのですが、タッチパネルの保護層が経年変化で黄色っぽく変色してきて、発色に難があるのです。この個体も発色は何か変です。見辛いというわけではないのですが、同じ内容を表示していても他のPCで見るのと何となく印象が変わってしまいます。
ディスプレイを完全に開くと、このように厚手のタブレットPCという体裁になります。ただ、この個体は専用ペンが欠品していますので、タブレットスタイルでの実用性はあまり高いとはいえません。まあ、専用ペンはさほど高価なものでは無いので、別途購入すれば済みますが…。
ディスプレイが360度回転するため、どの角度でも制約無く画面位置を固定できるのはメリットですが、タッチパネルであることで経年変化に弱いという辺りは弱点といえるでしょう。
PCとしての基本性能は前述の通りで、CPUがSkylake世代のCore i5-6300U、メモリーはDDR4 8GBとなり、実は私が持っているモバイルPCとしては基本性能は上位に位置します。
ただ、最大の弱点となるのがSSDのSAMSUNG MZNTY128HDHP-00007で、このSSDの体感速度が極めて劣悪で、全体のパフォーマンスを大きく下げてしまっています。ちなみにこのSSDは最大リード速度こそ535MB/s確保しているものの、最大ライトの方が215MB/s、ランダム性能もリードは90,000IOPSながら、ライトが30,000IOPSであり、SAMSUNGのSSDの中でも低性能に位置付けられているようです。コントローラも低価格品専用モデル搭載かつNANDもSAMSUNGお得意の3D V-NANDではないTLCということで、筋金入りの低価格モデルといえます。
本来ならばSSDを載せ替えることが前提となるのですが、この個体は底板のビスの頭が潰れていて、なめたネジ用のドライバーを使って開けようとしたところ更に悪化してビスの頭がほぼ無くなってしまい、分解が困難になってしまいました。
このSSDを交換できない限りは、下手をすれば体感速度がAtom x7-Z8700+eMMC 128GBのSurface 3よりも下となってしまい、それが理由でこのPCをあまり活用できていない訳です。何とか分解してSSDの交換をしたいと思っていますが…。
ストレージが遅いPCは快適になり得ないことを証明
基本性能を表記スペックで判断する限りは、今でも十分実用的に使えるはずのPCであることは間違いありません。実際、私が使っている多くのPCはSkylake世代かそれより古いものでありながら、特に不満も無く使えているわけです。
ただ、私は自分が使うPCは全て起動ドライブをSSD化していて、そのSSDも一定レベルの性能を持つものだけを使っています。それがPCの体感性能に大きな影響を与えることは間違いないからです。
このCF-MX5も一応SSDを搭載していて、最低限の水準は確保できていると思っていたのですが、搭載されているSSDが予想を超えるほどの遅さで、しかも載せ替えが困難となってしまうとPC本体の魅力を大きくそいでしまうのです。
PCとしてはLTE対応SIMスロットを持っている(ただし送受信感度がCF-NX3のSIMスロット装備モデルよりも落ちる)などモバイル用途には適したものですが、電源端子付近の接触不良発生率が高いなど、Let's note得意の堅牢性でも弱点を抱えていて、完成度は他シリーズのLet's noteよりも一段下がるものと考えるべき製品です。
折角買ったので何らかの用途は見いだしたいところですが、現状ではSIMスロット装備のモバイルPCはSurface 3とCF-NX3で十分そうで、なかなか難しいかなと少々諦めています…。
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購入金額
25,000円
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購入日
2021年03月15日
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購入場所
ヤフオク
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