レビューメディア「ジグソー」

執念のコレクション (更新:トレーラー映像を追加)

1985年以降バンドのフロントを担ってきたヴォーカリスト/ベーシストのジェイソン・シェフが2016年に脱退した後、クリスマス・アルバムを1枚制作した以外は新作のリリースが途絶えているシカゴ。アメリカ本国ではライブやTV出演などもあるようですが、このコロナ禍によって来日公演などは望むべくもありません。

 

そんな中で、完全に日本側のレコード会社および関係者が主導して、日本で過去に発売された全シングル・全MVを網羅したコレクションを制作しようという企画によって生まれたのが本作です。

 

現在シカゴの全音源を保有するのはワーナー・ブラザーズ傘下のライノ・レコードですが、その全面協力の下、日本におけるシカゴ関連の第一人者といえる音楽評論家、伊藤秀世氏がその恐ろしいまでのデータを活用して、レア音源をこれでもかというほどに詰め込んだものとなっています。

 

収録曲は膨大な量となりますので、こちらの写真でご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

実はCD2枚を以てしても収録しきれなかったシングルもいくつかあり、まずここに日本語版が収録された「Questions 67 / 68」や「Lowdown」は、オリジナルの英語版を泣く泣くカットせざるを得なかったとのことです。

 

また、90年代に日本でTVに使われてシングルカットされた「What Does It Take」「Moonlight Serenade」はバンドの全く意図しないリリースでアルバム版との差がほぼ無いことからこれも収録は見送ったとのことです。個人的には「Moonlight Serenade」は当時ヒット曲が途絶えていたシカゴが久々に日本で注目されたということがありましたので、出来れば収録して欲しいところでしたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずらりと並んだシカゴの代表曲の数々ですが、レア音源があるものは極力そちらを選んで収録したということで、ファンから見ても一筋縄ではいかない内容となっています。

 

 

 

 

 

 

更新: 2021/09/08
総評

本国側の協力に感心

まずは中身の方を一応確認しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディスクが3枚入っていますが、レーベル面が黒の2枚がシングル曲を網羅したCD2枚組です。レーベル面が赤い方はMVを収録したDVDとなります。確かに元々SD解像度で収録されていた映像なのでDVDで十分なのは確かですが、アップコンバートしてBlu-rayの方が使い勝手は良かった気がします。まあ、そうしたら値段はもっと上がっていたでしょうけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ブックレットは2冊用意されていました。当然それぞれ内容は違っているわけですが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラーの方は収録されたシングルのジャケット写真、白黒の方は伊藤秀世氏による小ネタ満載の解説文と歌詞の和訳となります。シカゴ関連の知識をお持ちの方がこの解説を読むとかなり面白いと思いますので、一読をお勧めします。

 

 

今回伊藤秀世氏がこだわったのが、シカゴがブレイクする前後にラジオで流された、日本で勝手に編集して曲の構成まで変わってしまっていたシングルの復刻でした。当然本国への許諾も取らず、とにかくラジオで受けるようにレコード会社が勝手に編集していた音源です。当たり前の話ですが、そんなものが公式に残っているはずもないのですが、何とライノ・レコードが当時の編集を完全に再現したマスター音源をわざわざ新たに作って送ってくれたことで収録が可能となったというのです。元々古い音源を大事にするレーベルではありますが、まさか日本の企画盤のためだけにそこまでするとは予想できませんでした。

 

一方でMVの方は遙かに難航して、結局構想とはかなりかけ離れた内容となってしまったとのことです。特に痛手だったのは1970年代前半の来日公演で、いずれもTV東京により地上波で放映されていたのですが、何とそのマスターテープに他の番組を録画してしまって、シカゴの映像は一切残っていなかったというのです。また、版権の関係でMVが収録できなかった(映画等の映像を使っているため)曲もあり、CDとは正反対に尺が余ってしまった結果、穴埋めとして2019年のライブ映像が4曲分盛り込まれる形となりました。よく考えればジェイソン・シェフ、トリス・インボーデンがバンドを離れ、ウォルト・パラゼイダーが完全に引退してからのライブが公式に映像化されたのはこれが初めてであり、日本のファンからすればこれも十分に貴重な映像であることに間違いありません。伊藤氏は企画意図にそぐわないと不満を感じられているようですが…。

 

ライブ映像を見ていると、私が最後に見た来日公演とは顔ぶれがガラッと変わっていて、これがシカゴの映像なのかという戸惑いを感じてしまう部分はあります。その時の来日公演では、ルー・パーディーニが加入した直後で、まだジェイソン、トリスは在籍していましたので。

 

 

ただ、ここでマニアの悲しい習性なのですが、演奏しているメンバーの姿を見て、殆どのメンバーのIEMが64AUDIO製(同社独自のapexモジュールがはっきりと見えるカットが多い)なんだ、と真っ先に思ってしまったわけで…。

 

 

生憎本作のリリースに際してのビデオは用意されていないようですので、シカゴの公式チャンネルから収録曲をいくつか紹介しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

追記:ワーナーミュージック・ジャパンよりトレーラー映像が公開されていましたので、こちらも掲載しておきます。

 

 

 

 

  • 購入金額

    3,653円

  • 購入日

    2021年09月07日

  • 購入場所

    楽天ブックス

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