コンシューマーゲーム機向けとしては2019年にリリースされていたタイトルですが、PC向けとしては今年4月にようやくリリースされました。
過去3作もSteamで提供されているWindows版をプレイしていましたので、今更PS4でプレイする気にもならず、このSteamでのリリースを待ってプレイすることにしていました。
1~2作目はオリジナルがPS3向けであり、英語版でリリースされたWindows移植版に日本語を追加したという少々いびつな成り立ちであったため、移植の完成度がやや低かったのですが、3作目以降は元々PS4向けとして開発され、最初から英語・日本語両対応となっていたためローカライズの部分での問題点はほぼ解消されています。
さて、この「閃の軌跡IV - THE END OF SAGA -」はシリーズの完結編と銘打って発売されたのですが、実はコンシューマーゲーム機向けにはこの世界観と登場人物をそのまま引き継いだ次作「創の軌跡」が既に発売されています。このシリーズは世界観は「空の軌跡」以降全て共有されているのですが、シリーズが変わるごとに舞台となる地域が変わっています。「創の軌跡」は「閃の軌跡」シリーズと、次作として予告されている「英雄伝説 黎の軌跡(クロノキセキ)」との間を繋ぐという意味合いでリリースされているのですが、実際のところ内容を見る限りでは「閃の軌跡」4作で広げたまま畳みきれなかった風呂敷を畳むという意味合いが強かったように思います。丸6年という歳月(1作目と4作目の初出はほぼ丸6年離れています)と4本のゲームを費やしても雑にしか回収できなかった辺り、やはりちょっと話の規模を広げすぎた感が強いでしょう。
ゲームシステムとしては、基本的に「閃の軌跡III」そのままに、各種パラメーター等の上限を上げたものとみて良いでしょう。シリーズを通してプレイしていれば違和感なく最後までプレイできる筈です。
ただ、今回は恐らくSteam版独特の問題だったと思うのですが、ゲームパッドのキー割り当てがいきなり大幅に変わってしまったのには面食らいました。コンシューマーゲーム機でもPlayStation4 → PlayStation5で決定ボタンとキャンセルボタンの割り当てがいきなり変わって話題になっていましたが、恐らくSteamもその変更に準拠したのでしょう。初期状態では前作まで決定ボタンだった「B」ボタン(Xbox表記)がキャンセルとなっていました。最初何をやってもゲーム開始とならずにいろいろと調べて、初めてボタンの割り当て変更に気付いた訳で…。
気を取り直して、ゲームそのものの内容にも触れていきましょう。
こちらのスタート画面の背景はゲームの進捗によって変化します。無事にトゥルーエンドを迎えた後セーブすると、
このようにネタバレ感満載の記念写真が背景となります。
ゲームはバトル等が発生するフィールドと、イベントや会話で進行する街中とで進行します。
ストーリー進行はほぼ一本道であり、進行で迷うことはほぼないでしょう。ただ、各種やりこみ要素はかなり細かくちりばめられていますので、それを全て拾っていこうとするとかなり注意深く進める必要があります。
また、本作はシリーズで初となるエンディング分岐があります。最初のプレイでは必ずノーマルエンドとなり、ノーマルエンド到達時にストーリー中ある条件を満たしていることで、トゥルーエンドへの選択肢が出現するようになるという形です。この辺りは実際にプレイしてご覧いただくしかないでしょう。
ミニゲームだけでもかなりのボリューム
このシリーズはやりこみ要素が豊富という特徴がありましたが、本作はシリーズ完結編ということで、ゲーム内のミニゲームも集大成として豊富にそろっています。
1,2作目は「ブレード」というカードゲームが用意されていたのですが、3作目以降は「VM」という新たなカードゲームが登場しています。これは日本ファルコムがかつて発売した「Vantage Master」というゲームの要素を利用しているもので、ルールさえ理解できれば割合簡単に楽しめるでしょう。
そして、前のシリーズとなる「英雄伝説 碧の軌跡」で登場していた落ちものゲーム「ポムっと」が難易度等を強化して再登場しています。「碧の軌跡」では最難関の相手でも苦労せず勝てるほど簡単なゲームでしたが、「閃の軌跡IV」ではそこそこ歯ごたえが出てくるようになりました。まあ、それでも操作ミスでもしなければ負けることはないと思いますが…。
▲「ポムっと」ゲーム画面。同じ色のポムを3つ以上接触させると消えるというもの
また、特定の場所にいるとき限定ではありますが、シューティングゲームなども用意されています。
そして、2つ前のシリーズ「空の軌跡」からシリーズ全てで用意されている「魚釣り」も勿論健在です。釣りのゲームシステムは「閃の軌跡III」から変更ありません。
▲「釣り」の成功時。どんな大物を釣り上げてもこのように片手で持つ
これらのミニゲームは本編には直接絡んでくるわけではありませんが、きちんとクリアしていくことでアイテム等の特典は得られるので、好成績を出す価値は十分にあります。
ファルコムにしてはテキストの完成度が低い
ゲームとしてはよく練られていると思いますが、やはり同じベースを4作品も続けてしまうとどうしてもマンネリ感が出てしまいます。1,2作目、3,4作目はそれぞれストーリー的に完全に連続しているため、ゲームシステムを下手に変えてしまうと違和感しかないのは事実ですが…。
ただ、本作は率直に言って今までのシリーズの中で、最もクリアするまでの日数を要しました。それは難易度が高かったとかゲームのボリュームが多かったという問題ではなく、最初から最後まで同じような作業を延々としている気分になってしまい、長時間連続でプレイすると飽きてくるため短時間で切り上げるようにしていたためです。
そして、プレイ時間をかなり要する割に、メインシナリオが意外なほど薄いのです。「絆エピソード」という各キャラクターを掘り下げるサブシナリオを豊富に用意した弊害なのでしょうが、延々とクエストをクリアして、メインシナリオが薄い描写のまま大きく動くということの繰り返しで、これだけのためにここまで時間をかけてフィールドをクリアしてきたのかと、何となく空しくなってくるわけです。
そしてシナリオの薄さ以外で最も気になったのが、各キャラクターの会話部分です。会話になると「○○というか」「○○といいますか」という台詞が異様に多く、表現があまりにワンパターンです。今までのファルコムの会話はもう少し言い回しのバリエーションが豊富だったと思うのですが、本作は誰の台詞でも「言葉遣いが荒っぽいか丁寧か」程度の違いしか感じられませんでした。
メイン級のキャラクターが増えすぎたことで、一人一人の描写が薄まってしまった結果なのだと思いますが、結果的に過去の作品と比較してもストーリーや会話で魅せるという要素が大幅に弱まってしまったと感じました。
「閃の軌跡IV」の後日談となる「創の軌跡」がWindows向けにリリースされれば取り敢えず買うとは思いますが、その出来によってはこのシリーズもそこで終わりにしようかと思ってしまったというのが、この「閃の軌跡IV」への評価です。
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購入金額
7,678円
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購入日
2021年04月09日
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購入場所
Steam
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