普段なかなか試聴機会が無いオーディオ製品を聴けるイベントがあるということで、秋葉原で開催されたイベント「ノムケンLab」に足を運んでみました。
どこがモバイルプレイヤーなのか突っ込まずにはいられないSHANLING M30や、SONYの初代ウォークマンTPS-L2そっくりというなかなかネタっぽいDAP、Oriolus DPS-L2なども聴けてなかなか収穫は多かったのですが、自分の持ち込んだ音源が使えるソースの都合で使えない機器もあり、そのような場合には先方が予め用意していたソースを使わざるを得なくなります。
いつもは自分が普段聴いているソースが用意されていることが滅多になく、参考にならない場合が多いのですが、今回は予習として、恐らく展示機器に用意されているだろうと予想して、ハイレゾ版の「One Last Kiss / 宇多田ヒカル」を買って聴いていました。
そして、先日掲載したACOUSTIC REVIVE RTS-30の試聴をした際に、私が持参したレコードの前に再生されていたのがこの曲のレコードでした。私はアニメの「エヴァンゲリオン」シリーズは全く見ておらず、当初このレコードに興味は無かったのですが、「Fly Me To The Moon」のカヴァーなどなかなか面白そうな感じがしたのでレコードでも入手してみることにしたわけです。
リリースから結構日数が経過していましたので、正規の価格で売られている新品を見つけるのに結構手間取りました…。現在は再プレス分の出荷が再開されているようですが。
SONYからのリリースであるため、重量版などの特殊仕様ではありません。ごく普通のLP仕様です。
1曲ごとに意外と音に差がある
まずは収録内容の方を確認しておきましょう。
Side A
1.One Last Kiss
2.Beautiful World (Da Capo Version)
3.Beautiful World -2021 Remastered-
Side B
4.Beautiful World (PLANiTb Acoustica Mix) -2021 Remastered-
5.桜流し -2021 Remastered-
6.Fly Me To The Moon (In Other Words) (2007 MIX) -2021 Remastered-
実は販売店などではCDと同じ収録曲であるかのように記述されているのですが、実際にはCDでいう7,8曲目に当たる「One Last Kiss」「Beautiful World (Da Capo Version)」のインスト版は収録されておらず、全6曲となっています。しかも、全6曲のうち3曲は「Beautiful World」のアレンジ違いとなっています。
音質の確認には、AT-OC9/III、AT-ART7という2つのカートリッジを使いましたが、AT-OC9/IIIはハイレゾ版に近いバランス、AT-ART7はいかにもレコードっぽい音という感じにはっきりと分かれました。
表題曲の「One Last Kiss」はトランス的なアレンジが施された楽曲で、恐らく意図的に間接音を抑えて直接音中心の構成となっています。ただ、セルフコーラスの厚みやセンターのヴォーカルの声質など、オーディオ的な評価ポイントはかなりはっきりとしています。この曲の声の鳴り方でDAPの実力はかなりはっきりと出ました。
「Beautiful World」(Da Capo Version)は一転して電子的に付加された間接音がかなり目立つ作りで、ヴォーカルの直接音の方も「One Last Kiss」よりも生っぽさを演出している作りです。ただ、バックはいかにも打ち込みという音で、何となくビリー・アイリッシュの音作りに近いような印象を受けました。まあ、ビリー・アイリッシュも試聴会くらいでしか聴いていませんが…。
「Beautiful World -2021 Remastered-」はリマスター前の元がどうだったのかわかりませんが、音の構成自体は「Beautiful World」(Da Capo Version)に近いながら、ヴォーカルの鮮度が落ちています。ただ、この曲のセルフコーラスも結構評価ポイントとなり得る部分です。
B面に移った「Beautiful World (PLANiTb Acoustica Mix) -2021 Remastered-」は前の2つのバージョンとは一転して生のバンドサウンドっぽい音になります。ヴォーカルの質もこれが最もナチュラル感がありますが、オーディオ機器への要求はそこまで厳しく感じられず、概ねどれでもそこそこ聴ける感があります。
「桜流し -2021 Remastered-」は音自体は割合ニュートラルなのですが、J-Pop系の難点であるきついコンプレッションでダイナミックレンジが狭いのが残念です。歌い上げるタイプの曲なのですから、もう少し思い切ってコンプレッションを抑えても良かったのでは無いでしょうか。
「Fly Me To The Moon (In Other Words) (2007 MIX) -2021 Remastered-」も基本的には「桜流し -2021 Remastered-」に近い音なのですが、こちらの方がヴォーカルの強弱は意外ときちんと出ています。それでもまだコンプレッションはきついと思いますが。
私の環境でいえば、A面を聴くにはAT-ART7のアナログ的な音が生っぽさを上手く作ってくれていて好印象だったのですが、B面では抑揚が出にくく、ハイレゾ版に近いAT-OC9/IIIの音がしっくりきました。
当然、楽曲として楽しめる水準で無ければオーディオ的な評価をする意味は無いのですが、このレコードの収録曲はその点は十分クリアしていて、オーディオ的にも評価ポイントが多いということから、レコードで聞く意味は十分にある作品に仕上がっています。
実はこの後また音質評価の投稿を始めるのですが、その際のソースにこのレコードも使っていますので、予め紹介しておくことにしました。
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購入金額
3,300円
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購入日
2021年04月21日
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購入場所
ミュージックハウス フレンズ
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