所持する音楽データに対する私利私欲．．．イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。原点の強さ。食べ物などの分野でも、その店が支持を得るようになった原点のアイテムは、その後品数を増やそうとも根強い支持を受け続けることがほとんどです。「コンピューターに歌を歌わせる」という文化を定着させた、原点とも言えるキャラクターを核に据えたフェスティバルの、最新回のイメージソング集をご紹介します。

雪ミク。ボーカロイドを世界に広めた原動力、初音ミクを生み出したのは札幌市にあるクリプトン・フューチャー・メディア株式会社だが、その関係で？2010年のさっぽろ雪まつりで真っ白なミクの雪像が創られた。それがきっかけで、当初雪祭り会場内で、その後独立して雪祭りと同時期に行われるようになったのが「SNOW MIKU 20XX」フェスティバル。

2021年は、新型コロナウイルス蔓延によって、さっぽろ雪まつりが初の中止に追い込まれたが、SNOW MIKU 2021の方は3月に会期延期して執り行われた。

そのテーマソングなどを収めたのが本作。キャラクターボーカロイドの象徴とも言える初音ミクだが、その発売後も継続的に改良され、現在は「初音ミク NT」と呼ばれる第5世代にはなっている。しかし、GUMIや結月ゆかり、IAなど他にも高品位なボーカロイドがリリースされたため、相対的な使用率は下がり、現在1枚のアルバムで全て初音ミクだけを使うと言うことは珍しくなっている。ただ、さすがに「SNOW MIKU 2021」のイベントテーマソングを収めるコンセプトコンピレーションアルバム、全ての楽曲が初音ミクを使ったものとなっている。ナ行とイ段の発音とかすれに機械臭さ特徴があるミクの声を上手く使った楽曲が並ぶ。

テーマソングの「Fondant Step」は、2011年のデビュー作「ユラメク」の圧倒的な完成度で、ミク使いとして識られることになったヘブンズPことHeavenz（ちなみにその「ユラメク」はBernisによるリミックスが本作ラストに収められている）。オルゴールの音で始まり、軽く跳ねるリズムに変わる曲。感想のシンセソロが、温かみのある「シンセ」の音で、懐かしみもある楽曲。

小節の割り方と中間の展開部の造りがトリッキーな「メルヒェン街の電氣祭」。ストーリー性がある歌詞を書くHaTaの楽曲。曲そのものは、やや早口系のボカロ然としたモノだが、歌詞が物語のよう。♪雪催いの空の下で／名前のない物語が続いていくようだ／星と色彩が縷々と降る街で、ダンス＆ダンス♪、♪広場に冬花火、トランジスターラジオから歌声／半羊半猫の獣が見る夢、世界が明るむ♪

「フローズンワルツ」は題名通り3/4のワルツだが、無機質な打ち込みのエレクトロ音のリズムが、長音多めのミクの声との対比で際立つ、ピアノが中心の曲。若干のもの悲しさを伴うメロディが沁みる。曲はメンヘラフィーバー（ニコニコの本人プロフィールによる）香椎モイミ。

なお、SNOW MIKUでは毎年新しい雪ミクの衣装がデザインされ、それを採用したイラストを人気絵師が手がけているが、SNOW MIKU 2021は、先日ファースト画集

をリリースした女流イラストレーターnecömi先生が担当。

CDのジャケットには、ミクとペット？のラビット・ユキネ。歌詞カードは、ジャケットに固定されていて本のように開くタイプで、最初のページにも見開きでnecömi先生の美麗イラストが。

イラスト、でかっｗ

ミクのちょっと切なげな声がアルバムのカラーを決めている、冬を感じるミクコンピレーションアルバムでした。

【収録曲】

1. Fondant Step / Heavenz feat. 初音ミク ＜SNOW MIKU 2021 テーマソング＞
2. 小さな光だけど / 市瀬るぽ feat. 初音ミク
3. シャーベットルクリア / けーだっしゅ feat. 初音ミク
4. snowbound / メレル feat. 初音ミク
5. メルヒェン街の電氣祭 / HaTa feat. 初音ミク
6. フローズンワルツ / 香椎モイミ feat. 初音ミク
7. 繭を解く / keeno feat. 初音ミク
8. Starry Fantasy / じょん feat. 初音ミク
9. ユラメク（Bernis Remix）Remixed by Bernis The original:Heavenz ＜ボーナストラック＞

「[KARENT CD] KARENT presents White Luminescence feat. 初音ミク」