所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。ポピュラー系音楽において、ベースというパートは目立たないものの、音楽の基礎を支える大変重要な楽器です。あるアーティストの「ベース」を永く支えることになる盟友との名演をご紹介します。
スガシカオ。独特の歌詞の世界、和製ファンクと言っても久保田利伸とは違う方向性のフォークファンク系の独特の立ち位置、そして歌に対する飽くなき姿勢。40代半ばの脂がのりきっていた時期に、大手レーベル、事務所から離れ、インディーズに戻って自分の音楽を見つめ直した。その後メジャーで再デビューし、いまでも良質な音楽を届け続けてくれている。
そんなスガのツアーバンドだが、何度か変わっている。最初期のShikao & The Family Sugarは、当時のサウンドブレーン、キーボードの森俊之を中心に、“日本一忙しいドラマー”沼澤尚、ギターは名手間宮工など、そうそうたるメンツで、ツアーバンドとしてはゴージャスなメンツ。
エレクトロファンキーな“FUNKAHOLiC”
と“FUNKASTiC”
という、第一次メジャー期のラストを飾る作品のあたりでは、バンドがFUNK FIREへと変更、“天才”田中義人をギターに迎え、あの伝説のベーシスト日野“JINO”賢二ともタッグを組むドラマー岸田容男などを擁していた。
最近では、青山純亡き後MISIAのツアーを支えるドラマーFUYUや、アニメONE PIECEの主題歌「One day」を演奏したThe ROOTLESSにいたギタリストDuranを迎えた新バンドになっている。
この3つのバンドを通して在籍するのが、ベーシスト坂本竜太(厳密に言えば初代バンドShikao & The Family Sugarの後期に一時離脱しており、このときは職人松原秀樹が担当した)。
FUNK FIRE以降のバンドではバンマスを勤め、今ではスガのグルーヴにはなくてはならない存在になっている。
本作は2000年にリリースされたスガの10枚目のシングルだが、レコーディングメンバーは当時のツアーバンドShikao & The Family Sugarが核となっている。決して激した曲ではないのだが、ベースの存在感が曲をしっかりと支え、揺るぎないグルーヴ感を醸し出している。
その「AFFAIR」。♪気づかないうちにぼくの両手は/真夏のヒマワリをひきちぎってしまった/"最後にひとつだけ/もし君に酷い言葉残せるなら"♪と激せず歌われるのが、メンヘラっぽい冥さ。これをリードするのは坂本の雄弁なベースライン。C#m7⇒Bm7⇒E7⇒AM7⇒G#7と何度も繰り返される下降系のコード進行に合わせたラインがラストに急に駆け上るのが、センスよし。森の雰囲気あるオルガンと沼澤の乾いたリズムもハマってる。
クラビ系の音と、ワウがかかったギターのカッティングがファンキイな「ぬれた靴」。このシングルではスガ自身がギターを弾いているのだが、エフェクターの使い方がセンス良い。♪なれないスーツと、ひどいドシャ降りで/なんだか疲れきってしまった/式の帰り道で/誰かがいい出して/うすぐらい中華屋にはいった/”ねぇ 最近仕事うまくいっているの?”/うまくいってやしないけど/ぬれた靴の中が/かわいてしまうまで/ぼくらはどうでもいい/言葉をつないだ♪村上春樹が絶賛したという歌詞が「情景を切り取って」いる。
ラストの「AFFAIR(Backing Track)」は、1曲目の単なるオフヴォーカル版なのだが、ヴォーカルがないぶん、ワウギターの裏で薄く入っていた生ギターのカッティングの妙や、森のオルガンの小技が聴き取れるが、やはりベースがガンっと聴こえるのがいい感じだ。
この後一時、ベーシストの坂本はスガのバンドを離れるが、戻ってきて後、現在も不動のバンマスとしてスガを支え続ける。スガのスローファンクのグルーヴは、彼のノリではないかと思ったり。
ポップス系楽曲におけるベースの重要性を気づかせてくれる楽曲です。
【収録曲】
1. AFFAIR
2. ぬれた靴
3. AFFAIR(Backing Track)
「AFFAIR」
ベースラインを聴け!
一般的には打ち込みで済まされる事も多いパートだけれど、重要性がよくわかる。
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購入金額
290円
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購入日
2012年09月30日
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購入場所
yahooオークション
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