所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。日本語の歌は、母音が多い日本語を載せるため、どうしても独特な「国籍感」を醸し出す曲が多くなります。それを国外発祥のリズムやジャンルを採用して打ち消そうとする方法もありますが、上手くいく事ばかりではありません。そんな中、曲の造りはそれほど凝っているわけではないのに、なんとも言えない浮遊感があり、国籍を感じさせない曲をご紹介します。
宇多田ヒカル。20世紀末から現在に至るまで、一時休止時期はあるものの活動を続けるアーティスト。最初期の10代の感性を感情をぶつけた作品、生まれ故郷でもあるアメリカ進出を狙った中期、活動休止を挟んで再開後の緩やかな活動としている現在とそれぞれ違った表情を見せるが、本作は中期に属する2007年の作品。アメリカでの活動と日本での活動その比重、軸足を年によって変えながらも、外向き視線だった時期に生まれた作品、18枚目のシングル“Flavor Of Life”。
歌詞の内容は相変わらず新鮮だが、歌い方のテクニックが上がり、堂々とした印象。
表題曲「Flavor Of Life」。打ち込みも歌もヒカルがほぼ一人で手がけ、打ち込みの補助を行ったAlexis Smithが控えめに生ギターを弾く程度の「ほぼ」一人制作の楽曲。音色は柔らかいものの、シーケンシャルなフレーズが多く、無機質なバックにヒカルの情感溢れる声が乗る。
一方「Flavor Of Life -Ballad Version-」は、ベースをAlexisが弾き、岡本洋がピアノ、今剛がギターを担当、さらに生ストリングス隊を従えたゴージャスなヴァージョン。Aメロはリズムとギターのアルペジオ中心で音が薄いが、サビになるとストリングスがグッと入ってきて、厚みを増す。この曲はこちらのヴァージョンの方が本命かも。ヒカルの歌い方も、かすれの表情がこちらの方が良く、情感たっぷり。
CDにのみ収録された「Flavor Of Life -Antidote Mix-」は、Alexisによるリミックスヴァージョン。ヴォーカルに薄くフランジャーを掛けたようなフワッとした導入から、どのヴァージョンよりも合成音なのがわかるドラムスとシンセベース然としたベースを上げてリズムを強調し、ヒカルのヴォーカルの他には薄いコード楽器と空間系エフェクターで厚みを出した感じのミックス。スピードが速いわけではないのだが、若干縦ノリテイストが出て、ゆったり感がある他の2ヴァージョンとは明確に違う曲調になっている。
この曲は、TVドラマ「花より男子2(リターンズ)」のために書き下ろされた曲だという。もともとヒカルが原作マンガが好きで、そこからイメージしたと言うが、自分は原作を未読なので合っているか否かは不明。
ただ、アメリカ挑戦時期のさなかに書かれた作品のためか、国籍感がない感じの不思議な楽曲になっているのが、面白い。
つかれた時などに、フワッと聴きたくなる楽曲です。
【収録曲】
1. Flavor Of Life
2. Flavor Of Life -Ballad Version-
3. Flavor Of Life (Original Karaoke)
4. Flavor Of Life -Ballad Version- (Original Karaoke)
5. Flavor Of Life -Antidote Mix- (CD Only Bonus Track)
「Flavor Of Life-Ballad Version-」
デビュー10年を経てヒカルが到達した世界
日本のTVドラマの主題歌なのに、世界中で売れたらしい(当時世界一のデジタルダウンロード数)。
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購入金額
1,100円
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購入日
2007年頃
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購入場所
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