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最新BTアンプ 定評あるES100の設計者が独立して作った、小型ボディに高音質を詰め込んだ真面目な真面目な作り

Qudelix 5K(以下Q5K)は高音質で人気を博したRadsone ES100の開発担当者が独立して起こした会社「Qudelix」の第一弾の製品で、ES100と同じBluetoothレシーバーになります。価格は109ドルです。

 

 iPhoneとQ5K

 

ポータブルオーディオと言えば完全ワイヤレス型イヤホンが全盛期の昨今です。

ですが、より高音質を求めて有線イヤホンにしがみつくオーオタ、しかも、しがみつく割にはDAPやアンプは持ちたくないという大変ワガママな人々向けに、一定以上の音質と小型サイズを両立させたBluetoothレシーバーというジャンルが存在します。

 

2年前に発売されたES100はDACに「旭化成 AK4375a」、SoCに「Qualcomm CSR8645」を採用していましたが、Q5Kは最新の「ESS ES9218P」と「Qualcomm QCC5124」になり、より高音質化と低省電力化が期待されます。

 

BTレシーバーは安価な数千円から1万円超えの製品までありますが、このQ5Kはその中でも最上位の1万円越えの製品となります。

同スペック同価格の直接のライバルとしてはShanling UP4とFiio BTR5が上げられるでしょう。

 

Q5Kはこの中では25gと最も軽い製品になります。UP4は37gでシングルエンドでDual DACを使った高音質モードを持ち、BTR5は44gと最も重いですが信号処理用にFPGAを積んで高音質化を図っています。

 

発売されるまでは「開発担当だけで良い製品なんて作れるのか」「ES100の名前に騙されるな」「詐欺じゃないのか」と怪しむ声もチラホラ聞かれました。

しかしフォーラムでの受け答えや技術的な情報の開示はとても丁寧で、良くも悪くも本当に技術者の人が会社を起こしたんだなという事がよく伝わってきたので、思い切って最初のロットを購入する事にしました。

 

6月初頭に公式サイトで予約開始され中旬から発送開始、韓国で製造発送され、私は6月末に受け取りました。

製品の価格109ドルに送料が必要で、韓国の近隣国では通常配送の10ドルが選択でき、他の地域では20ドルのFEDEXによる高速配送となります。

日本でも20ドルプランが選べて、そちらにした人は発送から数日で届いたそうです。通常配送の私は二週間ほど必要でした。

 

7月初頭の現在はQ5Kは売り切れで中旬から再販するそうですが、購入される方は送料によって配送の日数が大きく違うのでご注意ください。

更新: 2020/07/10
外観

無難でシンプル

Qudelixの箱 周囲の面が全て説明書代わり

Q5Kのパッケージ

 

Q5Kは箱の周囲の面が説明書代わりになっていてコスト削減を兼ねた面白い作りです。

 

Q5Kの付属品

 

中身は本体とUSB-A to USB-CケーブルおよびUSB-C to USB-Cケーブルが入っていました。

説明書は箱が兼ねているのでありません。

 

 

BTR3とQ5K

 

Q5KとBTR3を並べてみました。体積的にはほとんど同じです。

Q5Kはスッキリしたデザインで悪くないですが、質感はガラスをあしらったBTR3の方に分がありますかね。

どちらも裏面がクリップになっていて服に固定出来るので扱いやすいです。

更新: 2020/07/10
スペック

最新スペックを詰め込み

 

まずは公式サイトからQudelix 5Kのスペックを引用します。

 

  • Qualcomm QCC5124 Bluetooth System-on-Chip
  • Dual ES9218P SABRE HiFi® DAC
  • 3.5mm Unbalanced output max. 2.0V RMS 
  • 2.5mm Balanced output max. 4.0V RMS
  • aptX Adaptive, LDAC, AAC, aptX-HD, aptX, SBC
  • 6 ~ 20 hours Battery Time (500mA Battery)
  • USB DAC 96KHz / 24-bit

 

Bluetooth周りのSoCとしてQCC5124を採用しています。

これまでBTアンプの多くがCSR8675を採用していたのに比べて最新の世代のものになりました。

世代が違えば製造プロセスも違い省電力化が進んでいます。

 

対応しているオーディオコーデックはaptX LLが消えaptX Adaptiveとなります。

aptX AdaptiveはaptX LLに対して完全上位互換ではなく、遅延の程度が40[ms]程度だったのが50〜80[ms]と低遅延具合に関して一歩劣るという話なので、これに関しては不満に思う方がおられるかも知れません。

 

Q5KはLDACに対応しているのですが、QCC5124用のLDACライブラリは開発時に存在しておらず、Qudelixチームが作成して実装したそうです。「Qudelix開発陣の実力の証明だぜ」と公式サイトで自慢しています。

 

 

DACとしてはESSのES9128Pを採用しています。

モバイル向けのアンプ内蔵型DACで2Vrmsの出力が得られるのでワンチップのくせにパワフルです。

バランス駆動用にデュアルで搭載されているので最大出力は4Vrmsとかなりの物で、大型ヘッドホンも音量は十分に取れますね。

 

「ヘッドホンで使用した際にどれぐらいの音量/電力量/電流量が取れるのか」という疑問に対して、実際にヘッドホンを使って測定したデータが公式サイトの記事で公開されています。

  

測定に使用されたヘッドホンは「300Ωを誇るゼンハイザーHD600」「低能率で電流喰いなAKG K702」「平面駆動型で能率の低いHifiman Sundara」という手強いラインナップです。

 

  

測定に使用された三兄弟

 

結果的にはどのヘッドホンも音量だけならシングルエンドで110[dB]オーバーまで取れて十分、バランス駆動になると4Vrms出す前にヘッドホン側の音量がサチって測定不可になっています。

具体的な数字では最大で240[mW]もしくは80[mA]以上の供給能力があると示されています。

 

実際の音質がどうかはまた別の話ですが、このサイズでこれだけのパワーがあれば出力について云々言うのは不要ですね。

 

 

バッテリーは500[mAh]のリチウムイオンバッテリーを搭載しています。ライバルのBTR5やUP4は550[mAh]だそうです。SoCがQCC512X世代になって省電力化された代わりにバッテリーサイズを削って軽量化と小型化に振ったのでしょうね。

 

スペック表でのバッテリー寿命が6~20時間とやけに振れ幅が大きいのですが、これは消費電力を大きく左右する要素がいくつかあり、それらの設定次第という事になります。

 

その要素は

  • Bluetoothのオーディオコーデックの種類が何か
  • シングルエンドかバランス駆動か
  • DACの出力が1Vモードか2Vモードか
  • DACの音質がスタンダードモードかパフォーマンスモードか

という4項目で変化します。

 

これも公式サイトに具体的な表が用意されていて、ぱっと見でわかるようになっています。

 

以下に表を一つ引用します。

 

Battery Time: AAC 44.1KHz

 

 

例えばコーデックがAAC 44.1kHzの場合、シングルエンドの1Vモードでスタンダードな音質なら20時間、バランス駆動で2Vモードの高音質なら7.5時間と半分以下になります。

AACでこれなので、96kHzのLDAC 990kbpsを使えばさらにバッテリー寿命が落ちるのは自明ですね。

実際にはイヤホンはもちろんのことヘッドホンも大抵のものは1Vモードで十分に音量が取れます。

ですから音質重視でLDACとバランス駆動で運用したとしても8時間以上は使用できると思っていいでしょう。

 

更新: 2020/07/10
音質

真面目なサウンド

音質を語る前に、気になる挙動が一つあるので紹介しておきます。

ソース側から音声信号が送られてミュートが解除された際、音の鳴り始めがブツブツと途切れて不快な音になります。

音声が途切れるとまたミュートになり、次の音声信号が来るとまた鳴り始めがブツブツと途切れます。

 

連続して音楽が流れている時などはいいのですが、パソコンで作業している際にたまに操作音がなるたびにブツブツとした音が聞こえるとなかなか不快感が高まります。

 

今後しばらくファームウェア改良と内蔵イコライザを含む設定アプリの開発に専念するそうなので、そのうち改良されることを期待しています。

 

 

受け取ってからしばらく家の中でパソコンとBTのaptXで、もしくはUSB-DACとして使用しました。

DACのスタンダードモードは若干音が眠くなる印象なのでパフォーマンスモードで常用しています。

  

手持ちのイヤホンヘッドホンを色々と繋いでしばらく使ってみて頭に浮かんだのはタイトルにも書いた「真面目」です。

しっかり分離してクリア、硬くてはっきり、広がりは少なく正面にきっちり、タイトな低音、と言った言葉が浮かびます。

 

発売前にフォーラムで競合製品に対するメリットを聞かれたQ5Kの製作者は次のように回答していました。

「ES9218Pを採用したライバルたちと比べて特別優れた特性を持っているなどとは言わない。他の製品もよく出来ている。でも私たちはES9218Pが持つ能力を最大限に発揮出来るよう設計したつもりだ。」

この回答も実に真面目な技術者っぽさに溢れています。

 

DACのブランドだけで音質を語るのはなんですが、ESSと言われれば「なるほどそうだね」と素直に思ってしまうイメージのサウンドに仕上がっています。

ワンチップのDACアンプを使った小さなレシーバには過剰な要求かも知れませんが、ちょっとは色付けがあってもいいのになと思わなくもありません。

Q5Kからアナログ出力して運用する真空管ポータブルアンプなどを物色し始めてしまい、いかんいかんと我に帰る有様でした。

 

左右のドライバの特性を測定して揃えることで特異なシャープさを持つER4S

 

手持ちのイヤホンでフラット系、今の基準で見ればハイ上がり気味で細いシャープな音色のEtymotic ER4Sを組み合わせると、大変クリアで明快なサウンドではあるのですがちょっと硬すぎるかなという気もします。

例えばスペックでは劣るBTR3はER4Sとのマッチングが抜群で、組み合わせによってはボヤけていると言われるBTR3のサウンドがプラマイゼロとなり、厚みが出て聞き応えのあるバランスになります。

 

ソニー自慢のアルミニウムコート70mmドライバをハウジング一杯にねじ込んだMDR-Z7

 

一方でQ5Kと相性が良いと思ったのはSONY MDR-Z7です。70mmの超大型ドライバを採用した一時ソニーのフラッグシップだった密閉型ヘッドホンで、現在はMDR-Z7m2に代替わりしています。

このヘッドホンは大型ドライバによる実体感ある低音が売りなのですが、環境が合わないとその低音が中域にまで溢れて被ってしまい、籠もった印象の音になってしまいます。

ですがQ5Kの組み合わせで聞くとなんとも綺麗に鳴らしてくれるじゃないですか。

これも硬さのあるQ5KとZ7の緩い部分が上手くバランスしたおかげでしょうか。

Q5Kの出力インピーダンスは0.2Ωと十分に低いそうなので、ダンピングファクターが大きくて低音が引き締まったのかも知れません。

 

細々と改良され続けたAKGの開放型モニターヘッドホンシリーズの最終進化系 K712

 

Z7の結果に気を良くして今度は能率が低くポータブル機器には辛いAKG K712も鳴らしてみました。

これがまた思ったよりもいい塩梅で聴けます。

据え置きアンプで鳴らしたような余裕のあるサウンドとまではいきませんが、モニターヘッドホンとして十分に聴けるレベルです。

しかも接続はシングルエンド、出力も1Vモードのボリューム6割程度で、まだまだ上に余裕を残した状態で音量が取れています。

 

 

他にもっと鳴らしにくい平面駆動のヘッドホンなども手持ちにあるので、ケーブルの算段がついたらテストしてみるかも知れません。

 

 

1300gの据え置きヘッドホンアンプの上に25gのBTレシーバー

 

結局Q5Kの音がどうかというと、実に真面目にES9218Pの能力を引き出しているのだな、という感想になりました。

ソフトウェア面の熟成は今後に期待するとして、今現在でも十分に価値のある製品だと思います。

 

25gのBTレシーバーでこれだけ音楽が楽しめる機器が作れる今、コテコテの大型機器はどんどん先細っていくのかなと、目の前の10kg超えの据え置きアンプを眺めながらなんだか寂しい気持ちもちょっと芽生えてしまいました。

  • 購入金額

    13,200円

  • 購入日

    2020年06月29日

  • 購入場所

    公式サイト

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