新型コロナウイルス蔓延による、イベント自粛の嵐が吹き荒れた2020年のGW期間中、世の多くの中森明夫が言うところの「世紀末的ウジャウジャネクラマニア少年」たちの関心事は、日本最大の同人系グッズ即売会である「コミケ」こと「コミックマーケット（C98）」の中止だっただろう。

しかし、同じ時期にもう一つ、熱心なマニアが集まるイベントが企画され、そちらも中止に追い込まれていたことを、識っている人はあまり多くないかもしれない。

かくいうcybercatもイベントの存在自体を識らなかった。

それは「マジケ」こと「マジックマーケット2020」。

その名の通り、マジック、手品に関する即売イベントで、プロ、セミプロから、アマチュアや大学サークルまで、手品のネタや解説本、トランプなどの小物類まで売られるイベントらしい。2019年には1000人以上が集まったとか。マジシャンであり、トザキマジックスクールで指導も行っている戸崎拓也氏が主催するイベント。

2014年から年一回開催．．．ということなので、オリンピックの影響を受けて開催日が夏からGWに日程移動はしたものの、今年（2020年）も5月3日に埼玉県川口市で7回目の開催がされる予定だった。

しかし、緊急事態宣言による外出見合わせや、密を避けるための大規模イベント自粛の要請を受けて、開催1ヶ月前にオンライン即売会に切り替えて、「マジックマーケットオンライン2020」として開催されることになった。

自分がこのことを識ったのは意外なラインから。

最近は、めっきりGoogle傘下のYoutubeの方が一般的になり、他にもクリエイター向けのVimeoや欧州で人気の高いDailymotion、SNSとしては動画配信・投稿機能が充実しているInstagram、さらにTikTokやTwitterのようなショートムービーを気軽に共有できるような動画投稿の場が増えてきたのもあって、すっかり相対的な地位が下がってしまったが、日本においてはまだまだ大きな勢力を持っている動画投稿サイト＝ニコニコ動画（ニコ動）。

ニコ動には、数多くいる投稿者のうちお気に入りの投稿者をフォローすることができ、フォローしている人が投稿したり規定の再生数をこえたりすると、マイページで通知してくれる機能がある。

その機能で、久々の投稿通知があったのがマジシャンのびーもさん。

1年8か月ぶりの投稿で懐かしくもあり、彼の動画をきっかけに好きになった歌い手やボカロ作家なども多かった、大好きな投稿者だったので気になって見てみた↓

彼は「演じてみた」と呼ばれる、ボカロ曲の詞の内容に合わせてマジックを展開するというジャンルの創始者？のため、今までの動画はバックにはボカロ曲が流れていたのだが、今回は単なるBGMで、初の声出し！

内容的にはいつもの通り、カードを用いたストーリー性のあるマジックなのだが、そこで語られていたのが、「マジケ」こと「マジックマーケット」。

いつもは会場のみ、1日だけの物品販売となるリアルイベントなのだが、今回は2020年5月2日～4日の期間限定のオンライン即売イベントとなったらしい。各出品者のPR動画も全て主催者の戸崎氏がつくるという神対応もあって、すごく興味が引かれ、マジックグッズ購入のためにわざわざイベント会場に行くほど手品にのめり込んではいないけれど、オンラインで観られるなら見てみよう．．．とぐるりと徘徊した後、結局購入したのはびーもさんのグッズだったとさ。

これは「占いのウラ ～マジシャンのためのタロット占い入門～」という、タロット占いの裏側を書いた本。

表紙の紙質や印刷自体は「同人誌然」としたもの

内容としては、タロット占い関係の解説本だけあって、22枚の大アルカナタロットカードのそれぞれの意味や、いくつか種類（系統）があるタロットカードの内容など学術的？なことにも触れられているが、そちらは深いわけではなく、主に、占いの話の構成や、話の展開のさせ方、依頼内容から読み取るべきもの．．．と言ったテクニック面が語られている。

一応大アルカナ22枚の内容の解説はあるが、1カード数行で詳しいわけではない。

よく占いは、「そのひとが言って欲しいことを言うのが良い占い」とか「内心ではほぼ決めているものの、決断がつかないときの後押しをするのが役目」とか言われるが、霊感・第六感が真に優れているわけでもない自分のような人間がタロット占いをする場合（もっともらしい話をする場合？）、依頼内容やその場の反応を見ながら、宣託を編んでいくことになると思われる。

そういった場合、どういう点に気をつけ、何がヒントになるか．．．などを、依頼者に宣託を返していく際に留意する点や話の組み立ての技法を書いている本。

話の持っていき方などが詳しく書かれている

だから「占いのウラ ～マジシャンのためのタロット占い入門～」であって「占い師志望者のためのタロット占い入門」ではないワケ。

内容が内容だけに詳しくは書かないけれど、話の持って行き方のテクニックなどは占いでなくても使えるし、とても興味深く読めた。

びーもさんの2つの出品物のなかで、（部数が少なかったとは言うものの）こちらの方はあっという間に初日完売したらしい。

コミケと同様使われなかったリストバンド型参加証は通販購入者に配布された

一般的なタロットの解説書や手品のネタ本ではないので、ニーズ的にはニッチだと思うけれど、面白かったな．．．

【仕様】

判型：B5縦

ページ数：42

内容（目次）：

　1. はじめに

　2. Performance

　　Case1：Aさん 男性 30代 仕事の悩み

　　Case2：Bさん 女性 20代 恋愛の悩み

　3. Explanation

　　3-1. その前に

　　3-2. タロット基礎知識

　　3-3. 基本技法

　　　・ストックスピール

　　　・直感

　　　・アドバイス

　　3-4. Performance 詳細解説

　　　　Case1：Aさん 男性 30代 仕事の悩み

　　　　Case2：Bさん 女性 20代 恋愛の悩み

　　3-5. Tips

　　　　・占いにおける態度

　　　　・占い師の位置づけ

　4. 参考資料

　5. おわりに

《おまけ》上の「マジケ紹介動画」のNG集←こーゆーの出してくれるから、びーもさん好き♥

　　　　　↓ある意味本編。上のOKテイクを観てから観ること。

　　　　　注）列車やバスの中、仕事中に観てはイケナイ．．．