所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アーティストが曲を書くとき、いろいろなモノからインスピレーションを受け、形にします。それは、自室で生まれることもあれば、セッション中といった音楽活動中に思いつくこともあります。また外出中に刺激を受けて曲が浮かぶこともあります。そんな「外的刺激」が多い旅行中に生まれたと言われている作品をご紹介します。
Jamiroquai。Acid Jazzという、JazzとFunkとSoulをクラブシーンに合致するような形で融合させ表現したジャンルの代表的なアーティスト。
アルバム“Emergency on Planet Earth”
で衝撃的なデビューを飾り、2ndアルバム“The Return of the Space Cowboy”、3rdアルバム“Travelling Without Moving”
と立て続けにアルバムをリリース、そのいずれもが大ヒットした。
ここまでの3作を初期3部作と呼ぶが、この3枚目のビックアップソング、1stカットシングルだったのが、“Virtual Insanity”。モノトーンの部屋の中、動く床の上で滑るように踊るJay KayのMVが印象的だったこのシングルは、彼がツアーで訪れた街でインスピレーションを受けて書かれたものだと言われている。
表題曲、「Virtual Insanity」。♪Other new technology/Oh, now there is no sound/For we all live underground♪と歌われる「underground」は札幌の地下街だと言われている。1995年の2月にワールドツアーで札幌を訪れた彼は、大都市なのに屋外には人影がなく(2月ならさもありなん)、地下街に潜るとそこにはヒトと光が溢れていた...というのにインスピレーションを得たということになっている(東京ドームでのライヴの時の発言なので、リップサービスもあるかも知れないが/また札幌地下街からインスピレーションを受けたのは「Virtual Insanity」ではなくて、同じアルバムに収められた「Didjital Vibrations」だという説もある)。
「Do You Know Where You're Coming From (Original Mix)」は、レゲエテイストのディスコビートジャンル「Jungle」の第一人者、M-BeatことMarlon Hartがコラボしたリミックスシングル
が有名だが、レビューで書いたとおり、自分としてはあのリミックスはイマイチなので、こちらの「Original Mix」の方が全然良い(この「Original Mix」もM-Beatのアレンジだが)。シンセ然とした音をバックに囁くような歌い方で入るイントロ、ちょっとスペースチックな?キーボードの音がまさに「初期Jamiro」と言う感じ。
インストの「Bullet」は、Jay Kayの筆にはなるが、インストナンバーで、Jay Kayはプレイしていない。スクラッチを使ったファンキィな導入部と、Toby SmithのスペーシィなキーボードとStuart Zenderのミュートの具合が絶妙なベースが弱音器をつけたペットの旋律を盛り上げる中間部の対比がCOOL。Derrick McKenzieのキレのあるハイハットオープンが入るリズムパターンがいい感じ。
この作品の表題曲は、3rdアルバムの“Travelling Without Moving”のオープニングトラックだが、このアルバムまでが初期のベーシストStuart Zenderが在籍したアルバム。Jamiroquaiは「バンド」ではなく、Jay Kayのプロジェクトなので、初期の曲のカラーを定めたとも言われるキーボードで「Virtual Insanity」の共作者であるToby Smithですら「雇われもの」だったようだが、初期の曲の音とグルーヴはTobyとStuartが決めたと言って良い。
そんな二人のプレイが堪能できるマキシでした。
FERRARIに使用料を払ったエンブレムとロゴが、「らしい」
【収録曲】
1. Virtual Insanity
2. Do You Know Where You're Coming From (Original Mix)
3. Bullet
4. Virtual Insanity (Album Version)
「Virtual Insanity」
初期Jamiroの到達点
Toby Smith+Stuart Zenderという初期Jamiroのサウンドを支えた二人のいた「Jamiroquai」の到達点。
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購入金額
1,200円
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購入日
1996年頃
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購入場所
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