所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。時代の音というモノがあります。録音機材の進歩や、新しい楽器の開発・紹介によって「流行りの音」というのはあるので、チラッと聴くだけでなんとなく「どの時代の音楽か」がわかるものもありますが、世相を反映した音というモノもあります。ネット前夜、世界がまだ「地域」にとどまっており、でも音楽界にもアメリカやイギリスというメインどころ以外のアーティストが出てきた時代。そして、予言された様々な事象があと数年後に迫っているという狂騒感。そんな「世紀末」に現れ、ダンスフロアで重宝された作品をご紹介します。
BASIAことBasia Trzetrzelewska。20世紀末に活躍したポーランド出身のシンガー。彼女が識られるようになったのは、イギリスのポップユニットMatt Biancoへの参加と、そのユニットのメンバー、Danny WhiteおよびPeter WhiteのWhite兄弟とともに創った作品群によって。特に3rdアルバム“The Sweetest Illusion”
の大ヒットによって、他国のチャート上位にも顔を出すようになる。
彼女の最大のヒットが「Drunk On Love」。エキゾチックな薫りと、ジャジィなテイストのある粋なアレンジ、そして踊れるスピードが、当時のディスコ文化に受け入れられた。その「Drunk On Love」のマキシシングルが本作。
表題曲とそのインスト版、カップリング曲が収められる。
まず「Drunk On Love」。厳密には「Drunk On Love (Edit)」となっており、アルバムに収められているのとは若干演奏分数が異なる(4分46秒⇒4分7秒)。アルバムでは、ギターソロに入る前にサビの部分の歌なし(軽いスキャットは入る)の繰り返しが入っていたのが削られ、サビのあとすぐにPeterのギターソロに入っていく。Peterのセンスはソロアルバム
で立証済みだし、ペットを吹くKevin RobinsonとBASIAの掛け合いも小粋。この時のペットに弱音器をつけたのが素晴らしいセンス。
続く「Drunk On Love (Instrumental) 」は、単なるヴォーカルトラックレスなのだが、Julian Cramptonのベースラインの小技や目立つピアノに隠されたDannyのオルガン音色のバッキングの妙などが聴けて、楽器やっているひとは面白いかも。
カップリングの「An Olive Tree」は、アルバム“The Sweetest Illusion”収録曲で、ボサタッチの実粋な曲。シンコペーション気味に進む曲が小粋な曲。軽めな感じで導入されるが、ラストはリズムがトリッキーになり、明らかに生とわかるブラスと、ラテンなタッチで熱く演奏されるピアノで盛り上がる。
このBASIAの大ヒット曲のシングルカットは各国で行われたが、国内正規盤の本品でザンネンなのが、当時ディスコで大ヒットしたRoger Sanchezによるリミックス「Drunk On Love (Roger's Ultimate Anthem Mix)」が収録されていないこと。複数の国で、このエクステンドリミックスが収録されたので、チョットザンネン...ただ、「Drunk On Love (Instrumental) 」の方は収録作品がほとんどないので、一長一短だが....
世紀末の「あの頃」の雰囲気が、なんとなく味わえる、小粋で、エキゾチックで、せわしなくて、切ない、楽曲です。
【収録曲】
1. Drunk On Love (Edit)
2. Drunk On Love (Instrumental)
3. An Olive Tree
「Drunk On Love」
ジャズテイストで踊れる曲の奔り(のうちの一曲)かも...
リズムパターンがセンスが良いなー...
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購入金額
1,200円
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購入日
1994年頃
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購入場所
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