所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。永くバンドを続けているグループの多くは、メンバーチェンジというものに無縁ではいられません。音楽性の違い、ツアーと制作の比率に対する考え方、現在属しているバンドでは実現し得ない方向性の模索、場合によってはちょっとした感情の行き違いもあるかも知れません。でも永い活動の果てに、またふたたび再合流する場合もあるかも知れません。メジャーデビュー後、一時離れていたメンバーが戻ってきた喜びにあふれた作品をご紹介します。
NANIWA EXPRESS(ナニワ・エキスプレス)。日本のフュージョンシーンが最も輝いていた頃、CASIOPEA、THE SQUARE(当時、後のT-SQUARE)と並んで、御三家と言われた人気バンド。しかし、THE SQUAREが、T-SQUAREと名前を変えた後も、活動量の多寡はあれど現在まで切れ目なく活動していること、CASIOPEAの方も、21世紀に入ってから休止期(2007~2011年)があるものの、フュージョンブーム後も比較的永く活動を続けたのに対して、NANIWA EXPRESSはフュージョンブーム衰退とともに活動を停止したため(1986年)、「伝説の」バンドになってしまっていた。
そんな彼らが、2000年の限定復活を挟み、2003年にNANIWA EXPとしてデビュー時のメンバーで再始動した(このグループ、デビュー直前にドラマーが鎌田清⇒東原力哉と変更になったが、それ以後不動のメンツ)。しかし2006年に、最年少メンバーでサックス&ピアノ担当の青柳誠がNANIWA EXPとしての活動を休止することになり、その後永く4人で活動を余儀なくされていた。それが、2014年に青柳が正式に復帰することになり、5人体制となったことを祝し?ライヴが行われた。そんな5人体制復活ライヴ、3ステージ(ビルボードライブ大阪1回、渋谷マウントレーニアホール2回)行われたうちの最終日、2014年11月30日の渋谷マウントレーニアホールでの演奏を収めたのがこの作品。
しきりに「1、2、3、4、5人です!」と点呼を取るリーダーの清水のMCがアツイ。名称もNANIWA EXPRESSに戻された、この時のメンバーは、デビュー時と同じで、清水興(ベース)、岩見和彦(ギター)、中村建治(キーボード)、東原力哉(ドラムス)に加えて、青柳誠(サックス&ピアノ)。
8年ぶりに5人に戻ったのが嬉しいのか、清水は何回も点呼を取っていた
選曲も解散前の1st~5thの「フュージョン全盛期」の曲が選ばれており、胸アツ。とくに1stと2ndは青柳がサックスを吹いている曲が多く、音の厚さと表現のヴァリエーションが4人時とは違う(青柳は解散前、徐々にピアノの比率が高くなっていた)。
そんなヒートアップした演奏が100分近くも収められている。
ライヴが最もロック色が強かった2ndアルバム収録の「RED ZONE」で始まるのがイイ。この曲はサックスがなければ始まらない。リキヤも相変わらず裸足のシングルペダルで“ズドドドズドドド”と力技で絶え間なくバスドラを鳴らすし、中村もショルダーキーボードでフィードバックのかかったエレキギターのような音を出しながらフロントに乱入する(中村は、現在でこそRolandの市販のショルキーを使うが、以前ほとんど市販のものがなかった時代に、自作の!ショルキー「ケンジター」を使ってブイブイ言わせていた)。
カズボン(岩見)がつま弾くフルアコの優しい調べに、マコッちゃん(青柳)のエレピが絡んで美しい「JEROME」。マコッちゃんのエレピソロは、スケールアウトやテンションバリバリの攻めたラインながら、曲にはなじむ絶妙さ。アドリブ部分での、マコッちゃんの譜割りの「遊び」にすかさずリキヤが反応する、この阿吽の連携!
つづくMCでは、このライヴの直前に急逝した、彼らを見出し世に出した旧CBS/SONYの名プロデューサー、“88”こと伊藤八十八氏に触れたりして、時の流れを感じたり...
アンコールの「9th Mountain High」は超ロック!ギターがリフ(曲中1~2小節の同じフレーズを繰り返し演奏するもの)を担当する曲は多いが、この曲は「ベースリフ」の曲で、清水のオーバードライヴしたベースがうなる。もちろん本来の?フロント組である、カズボン、マコッちゃん、中村もそれぞれギター、サックス、ケンジターで暴れまくる。ラストはリキヤが差し出す指の数で現場でキメの数が決まっていくのは、懐かしい「ライヴのナニワ」。
このDVDには「マルチアングルライブ」の名の通り、通常の全景やソロ奏者にフォーカスしたものを切り替えていくように編集した映像だけでなく、一人の奏者にずっとフォーカスし続ける「○○(メンバー名)アングル」というファイルも収められている。巧者揃いのメンバーなので楽器やってるヒトには参考になるかも。...といってもドラマーの「演奏してみた」映像のようにずっと入り続けるリキヤのペダル映像を観ても、バスドラ連打もシングルペダルの力業でねじ伏せるリキヤの足技を、そうそうまねは出来ないと...(^^ゞ
リキヤの裸足の足元が映ってはいるが...まねできない(^^ゞ
特典映像は、リハ~楽屋~舞台スタートまで~ステージ終了時の乾杯~「もうすぐ還暦」という話題のMC~5人になった(戻った)ということに対する各メンバーのコメント。
非常にアツイライヴだった。当時還暦目の前にしたメンツがいたとは思えないくらい、やんちゃ。
自分が若かった頃、校則破って初めてライヴハウスに行って、数メートルの至近距離で観た彼らの演奏が想い出されたりしてね。
あ~彼らが(自分も)元気なうちにもう一度は観ておかんとな....
【収録曲】[]内収録オリジナルアルバム
<DISC1>
1. RED ZONE [2nd“大宇宙無限力神”]
2. The Statue Of Liberty [1st“No Fuse”]
3. SPOT [2nd“大宇宙無限力神”]
4. JEROME [2nd“大宇宙無限力神”]
5. 大宇宙無限力神 [2nd“大宇宙無限力神”]
6. Loving You, Sometimes Leaving You [4th“Modern Beat”]
7. FOR MY LOVE [1st“No Fuse”]
<DISC2>
8. OLINO [3rd“Wind Up”]
9. Emergency [4th“Modern Beat”]
10. Believin' [1st“No Fuse”]
11. 9th Mountain High [2nd“大宇宙無限力神”]
12. METEOR [5th“Silent Savanna”]
・特典映像
「NANIWA EXPRESS 復活の1,2,3,4,5人! マルチアングルライブ2014 at SHIBUYA PLEASURE PLEASURE【ダイジェスト】」
・「9th Mountain High」~「METEOR(途中まで)」
録画フリーだったツアー初日(2014/11/10ビルボードライブ大阪)の観客録画映像
また再び5人に戻った喜びにあふれている
30年以上前と同じ。還暦を目の前にしてまだ、アツイ。
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購入金額
5,400円
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購入日
2017年03月01日
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購入場所
TOWER RECORDS
北のラブリエさん
2020/02/27
にしてもBDでほしいっすなこれ。
ディスク入れ替えしなくて済むだろうし。
cybercatさん
2020/02/27
そうですね。画質もチョイいまいちなので....