レビューメディア「ジグソー」

Alex追悼

時の流れは冷酷なもので、かつての名プレイヤーも過ぎゆく時間にはあらがえない。
..でも早すぎる終わりというのもある。
本日(2013/12/4)、Facebookのニュースフィードに流れたMISIAの投稿。
青山純さん 我らがアレックス へ-ではじまるその投稿にはドラマー青山純の訃報が、そして彼との想い出が綴られていた。

青山純、ドラマー。ドイツのSONORと言うブランドのドラムの使い手として識られる。SONORの重くカタイ音が彼の手(足)にかかるとパーゥンと弾んだ音になる。音を聴いてオッと思ってクレジットを見ると彼のプレイであることが結構あった。機械と合わせて叩いても自分のプレイができる柔軟さと打ち込みにも埋もれない説得力のあるノリを持っていた。

1970年代の佐藤博や松任谷由実のバンドドラマーを勤めたあたりから識られ始め、その後フュージョンバンドTHE SQUARE(現在のT-SQUARE)⇒PRISM

へと渡り、並行して山下達郎のレコーディングドラマーとして活躍する。

そのあとはSOUL DIVA、MISIAのツアードラマーとして、そのパワーあふれる明解で華麗なプレイで彼女の歌声を支えた。最近のMISIAのツアーは青山に替わってFUYUが同行することが多くなっていたが、どうも青山は体を壊して療養していたらしい。

そんな彼の在りし日の姿を伝えたくてこのDVDを紹介する気になった。2004年のアルバム“MARS and ROSES”

をひっさげたツアー。

このときのメンツは2000年代前半の一番上り調子だった頃のMISIAを支えた黄金メンバー。バンマスは今でもMISIAの重要なブレーンであるキーボード重実徹。そしてMISIAと絡む歌うサックスにアキオちゃんこと鈴木明男、ギターは鈴木健治にベース種子田健という実力派。MISIAと張れる味のあるクロい薫りのあるコーラスとオルガンを佐々木久美、それにドラムス、我らが「Alex」、青山純。

さらにこのときはMISIAの方向性が最もクラブ系、フロア系に傾いていた時期でもあったのでDJにTA-SHI、旧来のソウル系の楽曲にはホンモノのクロさを付加するためにゴスペルコーラスとしてLondon Freedom Choirの4人(ANDREW SMITH、LOREN SMITH、MICHELL DIXON、IAN PITTER)が加わった大所帯。

そんな打ち込みの曲からかなりソウルフルにアレンジされた初期の曲、ヒット曲のノンストップメドレーなど盛りだくさんのライヴ。

まずは「バンドメンバー紹介」。要はメンバー紹介なのだが、ちゃんと「曲」になっている。ややジャジィでゴスペルチックな曲は単体で聴いてもカッコよい。そこでの青山のプレイは彼の特徴であるきれいに揃った音のタム回しが聴かれる。

メンバー紹介時の青山。
メンバー紹介時の青山。
 

BELIEVE」は青山のハネるタム回しではじまって、黒人コーラスが入ったゴスペルチックな曲。MISIAもかなりソウルフルな節回し。ライヴの出だしがヒップホップ系の作品、“BACK BLOCKS”が強いDJフィーチャリングの曲が続いたので、このあたりで一気にクロくなるが、青山のドラムスは重い、というのではない絶妙なタメで粘りを出している。

このあとヒット曲メドレーを挟んで、ライヴの〆の定番となった「INTO THE LIGHT」へ。イントロあとのお約束の演出(リフレックステープの客席への射出)から曲に入ると、「重くてカルい」青山にしか出せないノリで、MISIAのステージのラストを支える。MISIAと絡むアキオちゃんもノリノリ!!

Alexの陽性なドラムプレイがMISIAを支えた
Alexの陽性なドラムプレイがMISIAを支えた
 

MISIAの声の調子も良く、ノリの良いライヴが再現される。

時を超えて残るのは、ひとをもり立てる、人を元気づける彼の陽性なプレイ。
そしてこのDVDの中のプレイではいつでも彼に会える。
さよなら、そしておやすみ、Alex、I miss you.

そうは言ってもスリーヴケース、ブックマーカー・絵葉書付きの初回盤を掴んでるわけですが。
そうは言ってもスリーヴケース、ブックマーカー・絵葉書付きの初回盤を掴んでるわけですが。
 

【収録曲】
1. IN MY SOUL
2. Escape
3. Rhythm Reflection
4. LAILA
5. めくばせのブルース
6. BACK BLOCKS
7. GROOVIN'
8. バンドメンバー紹介
9. つつみ込むように…
10. 陽のあたる場所
11. Little Rose
12. It's just love
13. 忘れない日々
14. 心ひとつ
15. キスして抱きしめて
16. BELIEVE
17. THE GLORY DAY
18. Everything
19. Never gonna cry!
20. Cry
21. sweetness
22. 果てなく続くストーリー
23. 飛び方を忘れた小さな鳥
24. Fly away
25. I miss you ~時を越えて~
26. INTO THE LIGHT
27. SNOW SONG
音楽の杜
「BELIEVE」

更新: 2020/02/02
必聴度

ライヴで輝くAlexのプレイが堪能できる

パゥーンと弾けるAlexの音、音聴いただけでプレイヤーがわかる人って多くはなかった...

  • 購入金額

    6,090円

  • 購入日

    2005年頃

  • 購入場所

25人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 北のラブリエさん

    2013/12/05

    最近見ないなとは思ってたんですけど、体壊してたんですね。
    吉田美奈子も昨日のライブで涙声だったそうです。
    好きなドラマーだった・・・だったっていうのが悲しいですね。
  • cybercatさん

    2013/12/05

    ラブリエさん、インストからロック、J-POP、アイドル曲までこなすオールマイティさとテクニック、その愛される人柄で多くの作品、アーティストと絡んできましたからね。
    56歳...もう少し彼のプレイを聴いていたかった、と思います。

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