所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽という世界、才能と努力と感性が決め手なので、年を喰っているから素晴らしいアーティスト/プレイヤーとは限らないし、性別も決定的なモノではありません。現在は以前より環境が整ってきているので、10歳ほどで広く識られているアーティストもいれば、大学生未満でプロとして活動していることも珍しくなくなってきました。そんな中、17歳にして芸歴10周年を迎えたドラマーが参加するユニットの作品をご紹介します。
Ear Candy Jazz Factory。ピアニスト成田玲が主催するジャズユニット。「綺麗Jazz」レーベルからの第1弾ユニットでトリオ構成。「綺麗Jazz」レーベルはその名の通り、「キレイめジャズ」を提供するレーベル。「イヤキャン」ことEar Candy Jazz Factoryは、雑にカテゴライズすると「スムーズジャズ」系の音楽だが、リズムがキレッキレなので、一筋縄ではいかない。
メンバーは成田の他は女性で、おしゃれベース番長ことベーシストの櫻井奈穂子と、(2020年現在は)女子高生ドラマーの佐藤奏。
自分は奏ちゃんからこのバンドに入ったのだが、このEar Candy Jazz Factoryのファーストアルバム“Tangerine Peel Jam”の最初の録音時(2017年)は奏ちゃんは14歳。初出時には6曲入りミニアルバムだった“Tangerine Peel Jam”にさらに4曲を加えて、全体をリマスターしたのが2019年2月リリースの“Tangerine Peel Jam ~Complete~”。
先日年忘れライヴとして参加した奏ちゃんの「佐藤奏 10周年記念ライブ-2 ~The Next Step~」の会場物販で入手。
奏ちゃんのプレイの特徴はキレの良さとハネの躍動感。
このアルバムには、キレイめとはいえ、十分それが堪能できる曲が集められている。
2曲目の「Urahara Cat Street」はかなりファンキィ。キレの良い奏ちゃんのドラムに櫻井のスラップベースが絡む。成田が提示するテーマは非常にわかりやすく、ポップだが、ピアノ+オルガン+クラビというトラディショナルな音色が、グルーヴ感を醸成している。クラビ⇒ピアノ⇒オルガンと3種類の音色で続くソロもそれぞれ味わいがあるし。
「Monsoon in Crimson」は新規追加の曲だが、非常に粋。この曲ではサックスで清水洋之助が加わる。イメージとしてはDIMENSIONから熱を奪い、ルパン三世フレーバーをかけたスムーズジャズ..という感じ。この曲は「Complete」になって新たに加わった曲だが、全体的に音がよりクリアでシャープ。奏ちゃんのハイハットのきれもイイナァ...
「Snow Kaleidoscope」も新録だが、この曲はあえてテクニックを前に出していない感じ。ただ音造りは非常に凝っている。ピアノにふわっとしたシンセが纏い、淡々とした比較的単純な8ビートに浮遊感あるメロディが乗る。所々でリズのキメが入るのだが、空間を切り取る「スパン!」という音が気持ちよい。また基本は8ビートなのだが、バスドラは一部16分音符のリズムを踏んでおり、躍動感を出している。
奏ちゃんはドラマーなので?音楽ジャンルに関しては制限を強くかけることなく、活動しているけれど(←ドラマー気質)、やっぱりこの分野が一番テクニックが堪能できるかな。
くだんのライヴでも(バックは打ち込みだが)2曲が披露され、間近で奏ちゃんのテクニックを堪能できた。
終演後のサイン会ではサインまでもらったりして(^^ゞ
ソロライヴなのにグループのCDにサインもらったりして(^^ゞ
Ear Candy Jazz Factoryの作品は今のところこの1作のみ。前述の「綺麗Jazz」レーベルアーティストも現在イヤキャンのみとなっていて、決してリリースが精力的という程ではない。ただ初出は2017年だけれど、2019年にそれをブラッシュアップした本作をリリースと言うことはまだ続くとみている。
当面情報をフォローしていきたいアーティストです。
ジャケ裏は「Tailwind」のPVで使われた飛行場でのショット
【収録曲】* ~Complete~初出
1. Tailwind
2. Urahara Cat Street
3. Monsoon in Crimson *
4. Run Through The Urban City
5. The Feeling of Samurai
6. Autumn Foliage *
7. Rain in Space *
8. Hack Your Way Through The Sky
9. Snow Kaleidoscope *
10. Step into The Inside of Kyoto
「Urahara Cat Street」
親しみやすいメロディの楽曲とリズム隊のキレの対比が良い
どの曲も「スムーズジャズ」本流で、奇をてらっていないが、安心の曲構成の上で聴く3人のプレイは、より、際立つ。
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購入金額
3,000円
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購入日
2019年12月29日
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購入場所
佐藤奏 10周年記念ライブ-2 ~The Next Step~
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