レビューメディア「ジグソー」

作が進むに従ってどんどん暗く、昏く...

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。アニメーション。いまや日本にとって対外的にアピールできる「文化」までになったその表現方法は、効果的な音楽が世界観を支えている面もあります。前世紀末、独創的な世界観で一世を風靡し、今なおアニメ界に大きな影響を残す作品の関連楽曲をご紹介します。

 

「新世紀エヴァンゲリオン」。1995年から翌年に掛けてTV放映がされたオリジナルアニメ。それまでのアニメとは異なり、やるせなさや不条理を芯に据えたストーリーで、「鬱アニメ」の始祖とも言われるが、後のアニメ界に与えた影響は大きく、今なおファンが多い作品。そのTV版はリメイクされる形で、新劇場版が制作されている(4部構成で最終章はまだ未公開←2020年公開予定)。ちなみに「新」劇場版と「新」が付く所以は、TV版の最終話が劇場公開であり、それが「劇場版」と呼ばれることによる。

 

高橋洋子によるTVシリーズのオープニングテーマ「残酷な天使のテーゼ」も、今なお高い人気を誇る楽曲だが、新劇場版に関しては、既発表の3作通してテーマソングを宇多田ヒカルが担当している。ヒカルは、世代的はモロ「エヴァ世代」にあたるが、意外にもリアルタイム視聴者ではないらしい。しかし後に出逢ってのめり込み、ヱヴァンゲリヲン新劇場版では自身が作詞作曲した楽曲を提供することになった。

 

2007年公開の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」では「Beautiful World」を、2009年公開の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」ではそのミックス違い「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」を提供したが、それに続く2012年の「急」あらため「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に提供したのが本作「桜流し」。

 

しかしいろいろな点で前2作とは違う楽曲となっている。

 

・前2作での好評を受けて、3作目のテーマソングも制作することになったヒカルだが、映画のテーマソングなのに制作時には台本もコンテも見せてもらえなかったらしい(監督の庵野秀明の意向)。

・ヒットが狙える人気アニメ映画のテーマソングなのに、配信限定で物理CDシングルが用意されなかった(2作目の「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」も配信限定だったが、元歌の「Beautiful World」は物理CDがあり、「PLANiTb Acoustica Mix」はMix違いの扱い)。

・リリースされた2012年は、宇多田ヒカルにとって活動休止中の期間(2010~2016年の「人間活動」期間)のさなかであり、この期間唯一の新曲である。

 

そんな特異な立ち位置の楽曲だが、「配信限定」とはいうものの、それ以外の手段でも提供された。

 

それが「桜流し」1曲のイメージビデオが収められたシングルDVDである本作。

 

庵野監督から「ヱヴァにとらわれず作って欲しい」と言われて制作されたからか、それとも「人間活動」中で表舞台からは引いていた時期の作品だからか、通常の「MV」や「PV」と呼ばれるものとは一線を画し、ヒカルもヱヴァもワンカットも映らず、淡々と風景と赤ん坊の映像が映し出される映像。

イメージビデオの前半は公園のような場所で延々と風景を映した画像
イメージビデオの大半は町に近い山のような場所で延々と風景を映した画像

 

ラストの方は赤ん坊が母親(たぶん)の指を握っている映像
その風景に時々授乳中の赤ん坊が母親(たぶん)の指を握っている映像が挟み込まれる

 

それに切ないヒカルの声と詞が乗る。

 

♪あなたが守った街のどこかで今日も響く/健やかな産声を聞けたなら♪♪もう二度と会えないなんて信じられない/まだ何も伝えていない♪

 

それまでの新劇場版のテーマソング、「Beautiful World」も、いい加減暗めの曲調だったが、2作目のアコースティックアレンジ「PLANiTb Acoustica Mix」でさらにおとなしくなり、本作でさらに沈んだ感じ。もっと「ひとの内面」に沈んだような楽曲で、ある意味「ヱヴァ」らしい。

 

ただ最後に♪どんなに怖くたって目を逸らさないよ/全ての終わりに愛があるなら♪と歌われるように微かな明かりは見えるけれど。

装丁も素っ気なく、白ベースの歌詞カードとDVDにイメージビデオのワンカットが載るだけ
装丁も素っ気なく、白ベースの歌詞カードとDVDに、イメージビデオのワンカットが載るだけ

 

来年(2020年)公開予定の最終章「シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 」でのテーマソング担当はまだ発表されていないけれど、ヒカルが引き続き担当した場合、どんな解決を提示してくれるのか、それとももっと沈み込むのか...そんな想像が膨らむ作品です。

 

【収録曲】

1. 桜流し「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」テーマソング

更新: 2019/09/19
必聴度

エヴァとシンクロしているならあり

この「盤」の必聴度、という意味ではあまり高くない。1曲1100円(定価、当時)だし。

  • 購入金額

    990円

  • 購入日

    2012年12月21日

  • 購入場所

    Neowing

11人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 未完さん

    2019/09/19

    エヴァQからそんなに月日たってたことに驚き(笑)
    宇多田さんの歌は最初はちょっと抵抗あったけど、今では好きです。
    次の曲も気になりますね
  • cybercatさん

    2019/09/20

    ヒカルの曲とエヴァが合っているのか、アニメの方を詳しく見たことがないので不明ですが、最終章のテーマソングが誰になるのかは気になりますね。

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