所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。 こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。長寿バンドの「区切りの年」。サラっと流す人たちもいれば、それに向けて休養したり、節目で解散を選んだりと、バンドによって捉え方は様々です。ファンクバンドとしてスタートし、一時ポップス色を強めたバンドが、30周年の区切りで、ふたたび原点を見つめ直した作品をご紹介します。
FLYING KIDS。平成元年(1989年)に始まった「平成名物TV」のコーナー、「三宅裕司のいかすバンド天国」というアマチュアバンドのオーディション番組の初代グランドキング(5週勝ち抜きバンド)になり、メジャーデビューした彼らは、途中一時解散(活動休止)時期を挟みながらも、30年以上の歴史を紡いでいる。
当初は、ヴォーカルの浜崎貴司、コーラスのじゅんちゃんこと浜谷淳子、リーダーでベーシストの伏島和雄、ギターは丸山史朗と加藤英彦のツインギター、キーボードは飯野竜彦で、ドラムスは中園浩之という7人構成だったが、1998年に一時解散し、2007年に再結成したときには、じゅんちゃんが寿退団?して、6人のヤローばかりの所帯となっていた。
しかし、音楽的には歳を経てさらに深みが出たというのが、リリースした2枚のアルバムを聴くとわかる。
ただその後、オリジナルメンバーのイーノことキーボーディストの飯野竜彦が脱退し、活動量が低下してしまっていた。
その彼らが、30周年目前に新メンバーを加えて活動を加速、昨年(2018年)アルバムをリリースした。
新たに加わったのは、ヴォーカルのElli、キーボードのSWING-O、サックスの宇賀まり、パーカッションの竹本一匹。つまり7-1-1+4=9で、いままでオリジナルから減る一方だった構成が、一気に4人の加入でバンド史上最大人数に。
特に、再活動時にはじゅんちゃん不在で、コーラスが漢クサくなってしまっていたのが、Elliと宇賀まり(コーラス兼任)の加入で華が出た。さらにElliに関しては、コーラスだけではなくヴォーカリストとしてもクレジットされているが、その通り今までのじゅんちゃんパート以上に前に出て歌う形になっており、そのソウルフルな歌声がハマザキに負けておらず頼もしい。またFLYING KIDSのファンキィな演奏に、宇賀まりのサックスが絡むと著しくエロくなる。
キーボーディストのSWING-Oは、cybercatとしては、さかいゆうや小林香織への楽曲提供やプロデュースでおなじみの、一般的にはMISIAや佐藤タイジ、清水翔太などへの楽曲提供やトラックメイク、プロデュースで識られている人物で、メンツとしては申し分なし。
さらに竹本一匹によるパーカッションが加わったことで、以前はドラムス以外はじゅんちゃんのダンバリンだけだった打楽器に幅が出た。
その一方、オリジナルメンバー5名の存在感が「濃い」のもあり、半数近くが新メンバーになっても、彼らの「芯」は揺らがず、変わらない(変わって欲しくない)ところは変わってない。
この新メンバーを加えた、新生FLYING KIDSのアルバム名は“みんなあれについて考えてる”で、彼らのデビューアルバム“続いてゆくのかな”
のオープニングチューン、「あれの歌」の歌詞からとられている。つまり周年記念盤と言うこともあり?、かなり原点を意識している感じ。
オープニングチューンも、デビューアルバムの「我想うゆえに我あり」のセルフカバー、「新・我想うゆえに我あり」。元曲も結構アツくるしいファンクナンバーだったが、「新」はそのアツさに加え、宇賀まりのサックスがいい感じのスピード感と華を添える。伏島の奏でる印象的なベースラインを含めて、基本原曲にかなり忠実なのだが、オルガン系音色だったオリジナルのイーノのプレイから、ピアノ中心に換えたSWING-Oのプレイがイイ感じにジャジィ。あと元曲は間奏がなかったが、泣きのサックスソロがあり、クロさが増している。「イカ天」でも第1週目の曲としてぶつけてきた、彼らの原点ともいえる曲を、もう一度新メンバーで演る、ということに彼らの矜持を感じる。
「明日なんて忘れちゃおう」は新メンバーSWING-Oの筆。不思議なことに、FLYING KIDS中期のポップス路線にかなり近いイメージの曲。つまり、曲調全体としては爽やかながら、ハマザキのアクの強い独特な存在感を放つ声が、すべてをダイナシにするFLYING KIDS色に染めるファンクポップチューン。この曲は、ハマザキのヴォーカルに寄り添う宇賀のサックスの相性と、SWING-Oのトーキングボックスのレトロな感じがハマっている。自分としては彼らの濃いファンクも好きだが、ポップな彼らも好物なので、この路線も進めていってホシい。
新曲ながら、30年前同様アツいファンクなのが「ラッセーラ」。これは2本のギターでの、クリーンでキレの良いカッティングとディストーションが強いリフの対比が、彼ららしい。一方ハマザキのヴォーカルに絡みつくように入ってくる宇賀のサックスと、彼のダミ声に負けていないELLiの黒々したヴォーカルが、今までのFLYING KIDSにはない色で新たな魅力。
他にも新メンバーSWING-Oの曲ながら、1stアルバムの「行け行けじゅんちゃん」の一部をオマージュしていたり、ハネるリズムとふっといベースラインが、むしろオリジナルのFLYING KIDSらしい「ファンキースター」や、ちょっとレゲエ調で竹本のパーカッションがフィーチャリングされた、忌野清志郎のカバー「夜の散歩をしないかね」など魅力的な曲が多い。
全体として「一周回って還ってきたが、より高みに登った」という感じで、30年来のファンとしてはとても楽しめた。
あとは活動続けている間に、生で見ないとなー...
【収録曲】
1. 新・我想うゆえに我あり
2. Don’t Give It Up!
3. ♂+♀(ボーイミーツガール)(Album ver.)
4. 明日なんて忘れちゃおう
5. あいのいたみ
6. ラッセーラ
7. ファンキースター
8. アンネの日記
9. 夜の散歩をしないかね
10. クエスチョンズ(Album ver.)
11. 銀河系
12. ウスアカリ
「ラッセーラ(MV-YouTube Ver.-)」
今のメンツ、とてもしっくりくる
より大人数になって、新加入のメンツも多いのでもっと変わるかと思ったが、「芯」がしっかりあるので、変わらないところは変わっていない。でも、「華」がでた。
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購入金額
1,000円
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購入日
2019年07月13日
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購入場所
メルカリ
北のラブリエさん
2019/09/10
でも雰囲気変えて浜崎貴司がアコースティックで田島貴男とやったっていうのもみたかったなあ。
cybercatさん
2019/09/10
2020/01/10 浜崎貴司 GACHIスペシャル