レビューメディア「ジグソー」

オートフォーカスにも対応したニューコスビコン採用機

実家(と言っても我が家だが)の押し入れに眠っていた本機。カムコーダ登場以前の本機を、今回はレビューしてみようと思う。

 

 

 

更新: 2019/08/24
仕様と特徴

ニューコスビコン搭載、低照度環境にも対応

撮像管 ストライプフィルタ内蔵 2/3インチセパレートメッシュ静電収束ニューコスビコン

走査方式 525本 2:1インターレス

水平解像度 250本以上(中心部)

S/N比 45dB以上(Yチャンネル)

標準被写体深度 1,400lx(@F4.0)

最低照度 30lx(推奨値:150lx以上)

ブームマイクロホン 単一指向性エレクトレットコンデンサマイクロホン

レンズ 自動絞り6倍電動ズームレンズ(AF付) f=12.5mm-75mm フィルタ径55mm F=1.4 マクロ機構付

ホワイトバランス 自動調整方式

電源 DC12V

消費電力 出画時 約5W

     スタンバイI時 約1.5W

     スタンバイII時 約0.4W

寸法 180*217*405(mm)(レンズ、電子ビューファインダを含む)

重量 約3.0kg(レンズ、電子ビューファインダ、ケーブルを含む)

 

オプションである三脚、VZ-CT20に設置した様子

オプションである三脚、VZ-CT20に設置した様子
オプションである三脚、VZ-CT20に設置した様子

 

 

更新: 2019/08/24
使用感

電子ズームは使い勝手よし。AFはまだ発展途上

本機のズームイン/アウトは、勿論手動でズームリングを回して行うことでも勿論可能であるが、グリップ部の内側に設置された親指でシーソースイッチを操作することでも可能だ。かつ、このズームスピードは二段階に調整が可能で、シーンに合わせたズームイン/アウト速度が得られる。また、グリップを握った親指のみで操作可能なため、同時にフォーカスリングを回しての調整を行うことができる。

AF機能は超音波測距を利用したもので、極端な話だが完全な暗闇でも焦点を合わせることができる。しかし、撮影そのものに障害がない位置でも測距ユニットの延長線上に障害物があった場合、もしくは何もない場合――たとえば、ひな壇下段に立っている人物に焦点を合わせようとすると、それより奥である舞台の後幕へ、ガラス越しの撮影、など――に正確な焦点距離計測ができなくなってしまう。このことを考えれば、追従性は劣るものの手動で焦点を合わせた方が結像が良いという結果が現れる。当時からすればかなりの技術進歩だろうが、やはりAF機能はまだ発展途上だと感じられる。

 

レンズの上部に鎮座するオートフォーカスユニット。
レンズの上部に鎮座するオートフォーカスユニット。

レンズの上にあるものが、超音波計測用のパラボラだ
レンズの上にあるものが、超音波計測用のパラボラだ

 

 

更新: 2019/08/24
デザイン性

いたって分かりやすい配置。肩当て部はパッド付

本機は撮影するには単体動作はできず、あくまでビデオデッキとセットでの運用が必要になる。そのための操作ボタン類はグリップ上部にまとめてある。それ以外のスイッチは、全て向かって右側のみに集中しており、右手でグリップを持っている状態でも全てのスイッチが操作できるよう配慮されている。

また、ズームリングにはノブも付いており、手動でズームイン/アウトする場合でも操作しやすい。レンズフードと一体化したフォーカスリングはノブなどはついておらず、またAFユニットがあるため回す際には最初に持つ位置に気を付けなければならないが、AFを利用するならばこの悩みは一切関係がないことだろう。

 

上部には、日付設定用のボタンなどが並ぶ
上部には、日付設定用のボタンなどが並ぶ

 

下部には、主にカメラの主要な設定を行うツマミがある
下部には、主にカメラの主要な設定を行うツマミがある

 

更新: 2019/08/24
機能性

たった3kgの機動力

上節でも述べているため繰り返しにはなるが、これに加えてビデオデッキも持つ必要があるのは言うまでもない。しかし、カメラ部の重量が3kgである。肩に乗せて担ぐ形での運用となるため、腕や手への負担はそれ以上に軽い。大きさは現代から言えば業務用かと間違われるほどに大きいが、まだ半導体技術も現在とは比べられるはずもない当時、ディスクリート部品を多用しての設計であると考えればかなりの小型化、軽量化であることは間違いない。

メインフレームはアルミ製であり、強度と軽さを両立させることに一役どころではなく買っているのは間違いない。また、専用の運搬鞄へと収納する際は、電子ビューファインダ部を取り外すこともできる。これにより、更に横幅を抑えることが可能となっている。

 

電子ビューファインダはこのように取り外すことも可能だ
電子ビューファインダはこのように取り外すことも可能だ

 

 

グリップを折りたたんだ状態。サイズ比較のために、フリスクのケースを並べてみた
グリップを折りたたんだ状態。サイズ比較のために、フリスクのケースを並べてみた

 

 

 

更新: 2019/08/24
実用性

低照度下でも運用できるのは大きい

あくまで撮像素子が撮像管であり、低照度環境での性能はそう高くはない。しかし、夕暮れ時のまだ薄明るい状態であればそれなりの画が撮影できるともなれば、通常の用途では必要十分だろう。

勿論、撮像管である以上、光源などが映り込んだ場合に尾を引くのはご愛敬だ。そして当たり前だが、太陽光など強烈な光源へとカメラを向けることは厳禁である。心臓部である撮像管が使えなくなってしまうからだ。

 

心臓部である撮像管
心臓部である撮像管

 

 

更新: 2019/08/24
総評

スペックで現代機に敵う筈はないが

無論、本機は1982年製の製品だ。画質も勿論、何もかも今のものに敵う筈がない。本来の記録媒体はVHSであり、電源はビデオデッキに挿入される密閉式の鉛蓄電池。それでも最大運用時間は2時間ほどだ。

しかし、それで撮影した映像というものは、何とも言えない良さがある。綺麗だとか、ただ古いものが好きだとか、そういうものではないが、「何か」を教えてくれる、そう感じることができる一台だ。

 

 

余談だが、本機を運用するに当たり、ビデオデッキを使っての電源供給は、バッテリースロットの大きさなど制約も多いため、筆者はバッテリーユニット兼変換ユニットを自作し、これとUSBキャプチャを利用してスマートフォンに録画する、というスタイルを取っている。

 

手前が自作のユニットボックス
手前が自作のユニットボックス。使用電池は単3を8本だ

 

最後になったが、下記Togetterにビデオデッキを含めた修理などの進捗をまとめている。

興味のある方は、是非とも覗いてみてほしい。

 

撮像管カメラの修理・改造(随時更新) - Togetter 

  • 購入金額

    0円

  • 購入日

    1982年04月16日

  • 購入場所

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