レビューメディア「ジグソー」

FiiOのアンプモジュールとしては最良の選択

FiiO製DAPとしては前世代のフラッグシップモデルとなるFiiO X7。しかしながら、私自身はこの製品をの音質を酷評しています。

 

 

 

 

 

 

実はこのプレイヤーは自分で購入するよりも遙かに前、初めて使ったときから音質面での印象は芳しくありませんでした。以前OTOTENでオーディオテクニカのイヤフォン試聴用に用意されていて使ったのですが、しばらく聴いてあまりにも音に納得できず、自分が当時使っていたAstell&Kern AK100IIに切り替えて試聴したほどでした。AK100II自体、今となってはそれほどの音質とは思えないのですが、それでもX7よりはずっとマシだったのです。

 

 

 

 

 

 

その後、値段につられてジャンク扱いで購入したFiiO X7ですが、自分で改めて所有してみても、根本的な印象に変化はありませんでした。ただ、OTOTENで使ったX7も、自分で購入したX7も、交換可能なアンプモジュールには、最も基本的なモデルとなるAM1がセットされていました。ひょっとするとアンプモジュールを替えれば良くなるかもと思い、試しに買ってみたのが2.5mmバランス接続対応型となる、AM3でした。

 

 

 

 

 

 

しかし残念ながら、このアンプモジュールを使い、バランス接続を試してみても本質的な音の悪さは変わらないのです。ひょっとすると、この輪郭が不明瞭で生気の無い音が高音質だと真剣に思って作っているのではないかと思ったほどでした。

 

実はAM3を買う前に、FiiO製アンプモジュールとしてはもっとも評判が良かったAM3Cのリネームモデル、AM3Dの限定生産の話を聞き、一応買っておこうという程度の動機で予約はしていました。これでダメならX7自体を諦めようということです。このアンプモジュールはあくまでアナログ出力部だけのものですから、AM3Dを使っても音が悪いということになれば、デジタルプレイヤーとしての実力が低いということとイコールですからね。

 

更新: 2019/07/26
総評

アンプモジュールとしては確かにこれが最も良い。だがX7の実力では…

見た目は以前取り上げたAM3と大差はありませんが、一応確認してみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箱のデザインは他のアンプモジュールと同一ですが、AM3Dでは搭載しているTHX AAA-78の関係上THXロゴが貼付されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モジュールが収められている金属缶や、その中の詰め方などはAM3とほぼ同じです。強いていえばAM3では紙箱に収められていた保証書がビニール小袋入りとなっている程度の違いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンプモジュールのデザインはAM3とほぼ同じ(若干色合いなどに違いはあります)ですが、何故かAM3Dにはハイレゾロゴシールが貼付されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

モジュール底面には4.4mmバランス端子、3.5mmシングルエンド端子、充電/接続用のUSB microB端子が用意されています。

 

 

 

 

 

 

 

現在私が持っているアンプモジュール3種です。デザインだけならAM1のマッチングが最も良好なのですが、音質の方は…。

 

 

さて、それではAM3Dで聴いてみましょう。イヤフォンは64AUDIO U3やNoble Audio Sageを利用しています。

 

 

 

 

 

 

 

今までのアンプモジュールと一聴して違いが分かります。AM1やAM3は聴いていて全く心地よさがなかったのですが、AM3Dを装着することでFiiO X7からようやく「音楽」が流れてくるようになりました。

 

とはいえ、10万円近辺のDAPに約2万円のオプションを組み合わせたということを踏まえた上で評価すると、とても価格相応と思えるような音質ではありません。AM3比では音場もある程度は拡がるようになりますし、特定の帯域の強調感も緩和されまともなバランスに随分近づきます。それでもFiiO X7よりは安価なONKYO DP-X1AやAstell&Kern AK70等と比べて、X7を敢えて選択するかと言われれば答えは否です。

 

DP-X1Aはより上位クラスの他社製品と比べれば最低域や最高域の伸びはありませんが、帯域内のバランスは整っていますし、ある程度は音楽を楽しめます。AK70もやや力感には欠けるものの意外とキレや質感は出てきます。しかしAM3Dを組み合わせたFiiO X7であっても、そういったライバル製品のような美点を見つけることが難しいのです。あくまでごく普通に聴けるようになっただけで、優れているとまではいえません。

 

 

もしFiiO X7/X7 MarkIIを持っていて、もう少し何とか良くならないかと考えている方であれば、AM3Dはその希望をきちんと叶えてくれる実力は備えています。今までのアンプモジュールのように、下手をすると元よりも弱点が多くなるなどということはありません。

 

ただ、AM3Dが出たから、それを使うためという動機でX7シリーズを買うことは全くお薦めできません。その予算があれば他社製の同価格帯~やや安価という製品を試聴して、その中から気に入ったものを選んだ方が良いでしょう。個人的には、AM3Dでやっと使えるようになったとは思いましたが、現在愛用している他社製品を押しのけて使いたくなるという魅力は全く感じません。結果的にX7を活用する動機とまではなり得ませんでした。

  • 購入金額

    19,760円

  • 購入日

    2019年06月01日

  • 購入場所

    eイヤホン

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