レビューメディア「ジグソー」

3部作の2作目は「夕方」イメージ?エネルギッシュなプレイながら、日本的旋律などが入り、すこし郷愁を誘う

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽は、生で聴いてその息吹を感じる良さと、レコーディングされた計算され緻密に構築されたものを聴く良さがあります。いずれのジャンルもそれぞれの良さがありますが、どちらが良いポイントが多いかというのはジャンルにより(あるいはアーティスト/プレイヤーにより)差があります。前者の方の比率が高いものにジャズ系音楽があります。ライヴで出会ってその演奏を家でも思い出したくて購入した作品をご紹介します。

 

昨年(2018年)ラストのライヴとして参加したピアノトリオSANOVA。ピアニスト堀江沙知のプロジェクトで、ニューウェイブジャズというか、進化形フュージョンというか、ちょっと分類不能だが、ピアニストのリーダーアルバムにありがちな叙情的な曲ばかりではなく、キレッキレかつキメッキメのテクニカルチューンも多く、気持ちよい。キメでの複雑なリズムや、変拍子を挟みながらも、それを難なく弾きこなす力量と、覚えやすいメロディで、曲全体としてはキャッチー。

 

とても気に入ったので、ライヴ当日にそれまでの自主製作のデモ音源集

と最新メジャーアルバム(3rd)

を連れ帰った。

 

結構聴き込みながらも、「このバンドはライヴでこそ輝く」「次に直に聴くときに買い増そう」と他の作品に手を出さずに来たのだが、その「次に直に聴くとき」は意外に早くやってきた。

 

百貨店のファッションイベントの一環で、複数のアーティストが呼ばれたなかにSANOVAがおり、30分ほどのミニステージが2回あった(両ステージは内容違い)。

 

1stステージは4人目、2ndステージは最初に場所取りできたので、ともに沙知さんの正面2mという好位置で聴くことが出来た。

距離的にはこんな感じね
距離的にはこんな感じね

 

沙知さんの真正面ともいえるが、ドラムの真正面でもあったw
沙知さんの真正面ともいえるが、ドラムの真正面でもあったw

 

そのときの会場物販で購入したのが、2ndメジャーアルバム“Elevation”。ライヴで聴いた曲たちも含まれ、そこでは相変わらず熱い演奏が聴くことができる。

 

「MITAMA」は、ライヴで良く取り上げられるらしい(その日も演った)、ハイスピードな16ビートのリズムと疾走感あるメロディが高揚させるアゲアゲな曲。やーまん(山根幸洋)のベースプレイものっりノリで、キメが多いリズムの仕掛けと絡んでぐんぐん曲を前に進ませる。変拍子風キメに続くブレイクを破るピアノグリスがゴージャス。

 

「Damn it」は、印象的な変拍子風ピアノリフで始まり、その後力強いベースラインとブレイクに挟み込まれるハイハットのフィルインという緊張感がある導入に続き、どことなく日本的郷愁があるメロディにつながるという曲。途中のうねるような展開部のリズムが印象的。

 

ラテンな「reminisce」は、ハッピーな展開がいい。以前良く聴いていた松岡直也

をもっとソリッドにした感じ(←構成がトリオで音数が少ないのと、少人数ならではのリズムの合致度があるので)。ラスサビでバックに被さってくるストリングス系の音が意外性があってセンスが良い。あとCDの三矢真之のドラムが熱い!

 

アルバム通しての参加はピアノ沙知さんとベースにやーまん、ドラムス三矢なのだが、他にもペットとサックスを入れた夏まつり風の「natsuno Utage」、ヴァイオリニストNAOTOが加わった「regards (feat. NAOTO)」といったゲストプレイヤーが入ったものもあって飽きさせない。

 

会場で購入するときには、またサインをいただいたりして。

このときはサインに立ってくれたのは沙知さんだけだった
このときはサインに立ってくれたのは沙知さんだけだった

 

これでメジャーアルバム3枚中2枚が揃った。最後に残るはSANOVAの代表曲のひとつ「Cloud9」の入る同名の1stアルバムのみ。また生で観たときに買おうかなと。

 

その日が待ち遠しいけれど、それがそんなに遠い未来ではないような気がしている今日この頃です。

 

【収録曲】

1. 暁月夜(akatokizukuyo)
2. MITAMA
3. Trick or
4. 花天月地
5. Damn it
6. Rat
7. natsuno Utage
8. reminisce
9. 汝を玉にす
10. regards (feat. NAOTO)
11. 未来への道

 

「MITAMA」

 

「Damn it」

 

「reminisce」

 

更新: 2019/05/07
必聴度

変拍子風のキメやフレーズが多いのがやや敷居が高いか?

曲のテーマ自体は相変わらず覚えやすく、キャッチーなのが多いのだけれど。

  • 購入金額

    2,400円

  • 購入日

    2019年03月16日

  • 購入場所

    GENTA Jazzライブ SANOVA 1st Stage 会場物販

15人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • 北のラブリエさん

    2019/08/26

    いやあ、私もこういうの大好物ですね。
    しかもイベントのとは言えライブ行けちゃったりとかうらやましい。

    でもってやっぱ音楽ものレビューさせるとねこさんは強いですな。
    知識も経験もあるし、言葉の引き出しも豊富で。

    JVCだったかのイヤホンのレビューも分かりやすいしさあ。
    もう嫉妬しちゃいますよ笑

    で、話題を戻すと音がもうちょっとこってりだとさらにいいかな。
    でもそうしたら爽快感とかなくなっちゃうか。
    難しいな。
  • cybercatさん

    2019/08/26

    前住んでいたところは、こういったイベントが多かったのが、よかったですね…

    数日前予約〜当日飛び込みで参加したライヴも、片手では効かないので…

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