レビューメディア「ジグソー」

名作Savantの正統進化モデル

今年に入ってから手持ちのイヤフォンがそれなりに充実してきて、よほど価格面での魅力が無ければ新しいものは買わないようにしていました。現在イヤフォンについては、用途やシチュエーションに応じて以下の4モデルを主に使っています。

 

 

 

 

 

 

 

また、あまり持ち歩いてはいないものの、自宅内での音質検証に使われることが多いのが、以下の2モデルです。

 

 

 

 

 

 

他にも買った製品はそれなりにありましたが、音質的にある程度納得できる水準だったのがこれらということになります。

 

最近では、ポタフェスやヘッドフォン祭りといったイヤフォン・ヘッドフォン関連の展示会も、DAPやヘッドフォンアンプは別にして、イヤフォンそのものよりもケーブル等の用品を見に行くようになっています。

 

ところが先日見に行った「ポタフェス 2018 秋葉原 冬」の関係で久々に買ってしまったイヤフォンがありました。それが、今回取り上げるNoble Audio Sageです。店頭展示機として使われていたNoble Audio製品の一部が破格ともいえる値段で売られていたところに出くわしてしまいまして…。

 

 

Sageは以前から使っていた、前述のSavantの後継モデルというべき存在です。

私が使っている初代Savantはシェルが樹脂製だったのですが、後継のSavant IIでフェイスプレート側がアルミ削り出しへと変更され、その後継に当たるSageもほぼ同じ構成となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

現在ラインナップされているNoble Audio Universal Fit IEMは「Reference Family」と「Musical Family」とに大別されます(低価格帯のEDCシリーズは別枠)が、このSageはReference Familyの方に属しています。ただ、いずれもフェイスプレートの配色やディテールは異なるものの、概ね同様のシェルデザインを採用しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

本機はBAドライバー2基を搭載する製品ですが、同社のラインナップではBAドライバーを3~4基搭載する製品よりも上位という位置付けであり、価格もオープンプライスですが市場価格で7万円台を想定するという強気なものとなっています。

 

Noble Audio製のイヤフォンに搭載されるBAドライバーは原則として全て米Knowles製ですが、本機やフラッグシップ製品「KATANA」「Kaiser Encore」に搭載されるドライバーは、Noble Audioを主宰する"Wizard"ことJohn Moulton氏が仕様や構造を細かく指定した特注品である「Noble Driver」と呼ばれるものとなっていて、これが汎用ドライバーを数多く搭載する製品よりも高価な理由となっています。

 

更新: 2018/12/25
音質

Savantの弱点だった低域方向が大幅に進歩

それでは音質の方に触れていきましょう。今回はAstell&Kern KANNに、添付の3.5mmステレオケーブルで接続して試聴しました。

 

 

 

 

 

 

また、添付のイヤーチップ(Mサイズ)はサイズが合わなかったため、AZLAから発売されている「Sedna Earfit」のSサイズを装着しています。

 

 

 

 

 

まずは「Shape Of My Heart / Sting」(今回のソースはいずれもLPから取り込んだ24bit/88.2kHz WAV)を聴いてみます。

 

音場の広さは特別広くはなくごく普通といったところですが、アコースティックギターの質感は素晴らしいものです。スティングのヴォーカルは充分に力は感じさせるもののそれほど強く主張せず、演奏との均整が取れた音場を構築します。傾向としては初代Savantに近いのですが、低域方向の深さはワンランク以上向上していますし、音場の濃厚さも少し増した印象です。

 

次に再生したのは「Lunatic / Gazebo」で、これを聴くと低域方向の力感がSavant比で目に見えて向上していることが感じ取れます。Savantは低域に関して、ある一定以下の帯域が綺麗さっぱり消えてしまうような印象があったのですが、Sageは実用上不満が無い程度まで低いところがきちんと出るようになりました。さすがに本当に低い最低域辺りの馬力はありませんが、BA2基でこの程度出ていれば低音マニアの方でなければ特に不満は無いはずです。

 

「My Heart Will Go On / Celine Dion」では、冒頭のティン・ホイッスル(イントロのちょっと

尺八っぽい音の笛)がやや細身で金属的になる傾向はあるものの、曲にじっくりと浸れる密度の濃い空間が構築されます。Noble Audioの製品らしくどこか抑制を効かせたように感じる部分はありますが、Savant比では解像感も緻密さも向上していて、概ね殆どの要素で進歩したと言って差し支えないでしょう。

 

 

ここでさらに使いこなしを進めた例として、64AUDIO U3で使っているケーブルとイヤーピースをそのままSageに移して使ってみました。

 

 

 

 

 

 

「Dangerous / David Garrett」ではヴァイオリンの音色がより伸びやかかつリアルになり、音場の広さも一回り広くなります。響きや細かいニュアンスが大幅に明瞭に表現されるようになるため、製品のグレード自体が向上したように感じられます。まあ、この組み合わせでは新品価格で10万円に到達してしまいますので、それに見合った音質というべきなのかも知れませんが…。

 

弱点としては、この組み合わせでもスネアドラムの抜けがもう一歩かな、と感じられること、最低域に関してはどうしても出し切れていないことという程度でしょうか。今回の購入価格で考えれば、ただただ見事としかいえない音質ではあります。

 

64AUDIO U3、JH Audio Michelle、Noble Audio Sageと、近いレベルで競っている製品が並んだだけに、どう使い分けるかが今後の悩みどころとなりそうです。

 

  • 購入金額

    25,000円

  • 購入日

    2018年12月15日

  • 購入場所

    eイヤホン 秋葉原店

12人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (6)

  • cybercatさん

    2018/12/25

    わー、いつの間にやらUIEM沼にww
    Nobleってちょっとお高い価格設定ですが、この購入価ならアリ、ですね。
  • jive9821さん

    2018/12/25

    > cybercat さん

    UEIM沼には以前から嵌まっているのですが、最近はむしろ安い方を手当たり次第買うことは無くなってきました。とはいえ、高い方でもまだ6桁価格(実売)の製品に手を出していませんので、一応常識的なラインかと思っているのですが…。

    CIEMは潰しがきかないので今まで避けてきたのですが、64AUDIOの新製品(日本国内では今のところ発売されていない)A3eにかなり惚れ込んでしまったので、ひょっとするとひょっとするかも、というところです。
  • harmankardonさん

    2018/12/26

    >どう使い分けるかが今後の悩みどころとなりそうです

    大丈夫です.UIEMでも,6桁台を1本買うと,悩まなくなります.
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