最近CIEM 2pin対応のイヤフォンの数が増えてきて、質の良いリケーブルの手持ちが不足していました。2.5mm4極バランス版の方は先日掲載したWAGNUS. Chocolat Lilyが好感触で目処が立ったのですが、3.5mmアンバランスはどうしても数が足りなかったのです。
前回(今年の春)のヘッドフォン祭りで、AZLA純正品のLabkable Silver Galaxy Mix+を購入して、これを64AUDIO U3と組み合わせていて良好なバランスでしたので、出来ればもう1本欲しいと思っている内に入手不能となってしまいました。
元々Labkableでは3万円クラスのケーブルとして発売したものであり、その価格に充分見合ったパフォーマンスは見せてくれていると思います。先日eイヤホンの店頭でより高価なケーブルも含めて色々と試聴してみましたが、64AUDIOのイヤフォンとの組み合わせではSilver Galaxy Mix+を明らかに超えるほど良いと思うものはありませんでした。もっとも、Effect AudioやWAGNUS.辺りのケーブルは時間の都合上試せてはいませんが…。
AZLA純正のSilver Galaxy Mix+は、AZLAそのものの実売価格の下落に合わせるように値下がりしていて、コストパフォーマンスという意味では最高ともいえる製品でした。もう2~3本買っておかなかったことが悔やまれるほどです。
そこで流通量が多い内にSliver Galaxy Mix+を中古で買うことを検討していたのですが、ここでこのケーブルを標準添付しているAZLA自体の中古価格が大幅に安くなっていることに気付きました。ケーブルを単品で買うよりも、特価品のAZLAを探した方が早いのではないかと考え、見つけたのがこちらです。
今回購入したAZLAはLunatic Silverという外装色です。もう1色Meteor Grayというものも用意されているのですが、率直に言ってそこまで大きく印象が変わるわけではありません。
ケースも含めて付属品はきちんと残っていました。もっとも、ケーブルさえ無事なら他はどうでも…というのが本音ではありますが。
コネクター部に若干亀裂が見られるということで、通常の価格よりは安くなっていたようです。AZLAは出荷時点でピンが異様に固く、着脱していればヒビが入ってしまうのも頷ける気もします。
イヤフォン自体は価格相応には届いていない
元々この世代のAZLAは、販売価格が約5万円という製品でした。現在はマイナーチェンジが施されたAZLA MkIIが発売されていますが、これは約1万円値下げされています。本体側の変更箇所はノズルのフィルター程度であり、添付ケーブルが変更されていることが大きな違いとなっているわけで、それだけSilver Galaxy Mix+が占めるウェイトが大きかったというべきでしょう。
発売時に明らかにされていた通り、中身のドライバーはDynamic Motionによる設計であり、Dynamic Motion DM200Hとほぼ同等とみられています。これはBEDと呼ばれるダイナミックドライバーとBAドライバーを同軸上に配置するという凝った仕様のものではあるのですが、DM200Hは約3万円の製品でした。シェルの構造などは異なり、AZLAはエアフローにも拘りをみせるなど音質的な違いはある程度はあるでしょう。
それでも単品価格約3万円のSilver Galaxy Mix+を組み合わせて約5万円という価格帯であったことを考えれば、イヤフォン本体の価格もやはりDM200Hと大きくは変わらないとみるのが正解でしょう。正味5万円のイヤフォンとして考えてしまうと少々実力不足といわざるを得ません。
今回はケーブルをEstron Linum musicに交換してAZLA本体の実力を確かめてみました。Linum musicは固有のキャラクターが薄く、イヤフォン本体の音質を見るのに向いているケーブルです。
まず、基本的にはいかにもダイナミックドライバーらしい太い低音と、BAらしい緻密な高音が同居しているという印象は受けます。ただ、低域は少々大げさ気味、高音はやや金属系の音の質感が悪いという辺りの特徴は、3万円以下クラスのハイブリッド型イヤフォンにありがちな傾向です。少なくとも実売価格が近かった3BAのJH AUDIO Michelleとの比較では、それぞれの純正ケーブル同士で比べても、低域の量感では上回るものの高域方向の質ではそれなりに劣るという程度です。むしろ低域も解像度や力感ではMichelleが上回ります。
AZLAはBAドライバー側の特徴なのか、ヴォーカルのブレスや、ギターのピッキングノイズなど、細かい音は良く出るのですが、これはちょっとわざとらしさを感じさせます。いかにも「こんなに細かい音が出るんだぞ」と強調してみせているようにしか感じられません。普段イヤフォンで音楽を聴いている人はこういう音に不自然さを感じないのかも知れませんが、スピーカーで聴いていればこのバランスの不自然さは理解できると思います。
また、AZLAの大きな弱点といえるのはシェルデザインで、ハウジング部分が大きく重心も外側にかかるため、短めのノズルと相まって耳から外れやすいということです。私の耳では、SpinFitで捻り込んでようやく何とか耳に収まるという程度でした。販売店の試聴機では直ぐに外れてきてきちんと試聴できなかった記憶が蘇ります。
ケーブルがもう少し落ちるものでも、発売当初の価格が3万円台であれば充分に競争力はあったでしょう。しかし、約5万円ははっきりと割高です。もっとも、現行のAZLA MkIIと比べるとバランスはこちらの方がまだ整っていますし、ケーブルの違いか音場感や楽器の質感には結構な違いがあります。今なら2万円少々で売られていることもありますので、それくらいであればケーブル代を考慮してコストパフォーマンスは良好とみることもできます。ただ、約5万円というほどの実力は残念ながら感じられませんでした。
なお、ケーブルをNoble Audio Savant Universalに付け替えてみると、Savantの表現力がワンランク以上アップした印象があります。ケーブルの方の実力はやはり素晴らしいと思います。
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購入金額
10,400円
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購入日
2018年10月27日
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購入場所
eイヤホン 秋葉原店
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