所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。女性詞と男性詞。歌には性を感じさせない歌詞も多いですが、特に愛や恋を歌ったものに関しては、女性目線と男性目線の歌詞があります。一つの曲で女性の立場で書かれた詞と男性側から書いた詞とを歌い分けた作品をご紹介します。
安倍なつみ。モーニング娘。の最初期の中心メンバー...というか、オーディション番組で最終選考まで残りながら、結果的に選ばれなかった彼女を惜しく思ったつんく♂が、最終選考に残った他の人員とユニットを組ませ、ノルマ(課題曲を5日間で5万枚完売させる)を達成できたらメジャーデビュー...という企画で始まったのがモーニング娘。とも言える。
その後モーニング娘。はのちに強力なメンバーである後藤真希が追加されたこともあり、「ブランド」として残ることになって、最初期メンバーは8年ほどで全員いなくなったが、今でもグループとしては存続している。ただやはり初期メンバーほどツブが大きく、卒業後も芸能界で永く活動したメンツも多い。
安倍なつみもその一人で、ここ数年は目立った活動はないが、もともと歌が頭一つ抜けて上手かったこともあり、ソロシンガーとして2015年前後まで永く活動した。
そんな彼女の約10年前の9thシングル。
まず「Too far away 〜女のこころ〜」。もともとは、水越けいこの1979年のアルバム中の作品、「Too far away」が元曲だが、表題曲は、谷村新司が同曲をカバーした「Far away」のアレンジが下敷きになっている。生のストリングスと飯室博のギターをフィーチャリングして、バックには打ち込みながら壮大な感じのドラムを据えて、ドラマチックな形。ヒットした谷村版にかなり近い王道アレンジ。ただこの曲では元曲の作詞者でもある伊藤薫によって、女性視点の歌詞に書き換えられている。元曲)♪見えない糸で結ばれている/そんな約束僕は欲しいよ/つきなみだけどこの世に一人/君だけ好きだ君だけ好きだ/君を風に変えて空に飾りたい/僕は星になって君を守りたい♪⇒本作)♪羽を下さい翼が欲しい/あなたの元へはぱたくための/夢の中ならいつでも言える/あなたが好きと何度も言える/もしもあなたの手が胸に届いたら/私... 星の降る中で♪クライマックスの「...」の部分は無言、というのが凝っていて「刺さる」。
次の「Too far away」は、歌詞は元歌の通り(男性視点)だが、逆にアレンジは谷村版や、さらには元となった水越版のような「壮大系」のモノではなく、シンプルに松田眞樹のピアノのみの伴奏。これはこれで歌の表情がよく聴きとれて、感情が良く表れていて良い雰囲気。壮大さはないが、透き通っていて、彼女の透明感ある声と良くマッチしている。声に表情を付けるヴィブラートも強く感じられる。
DVDは(ザンネンながら?)PVではなく、インタビューと(おそらく)ジャケット撮影の時に撮った写真のスライドショー。ま、一回聴けば(見れば)終わりかな、という感じの「付録」だけれど、インタビューでこの時彼女が25歳であったことが明かされる。歌詞の内容的にはかなり背伸びして歌ったことになるが、感情こもっていて不自然さがなく、歌いこなしているなぁと。
一つの曲を男女の視点で歌った曲、男性(伊藤薫)が書いた詞を女性(安倍なつみ)が歌うことで、男女の愛の形の違いなど、新たな世界を感じさせたアレンジ。どちらの側面からも「愛」を歌っているのは変わりがないし。
シンガーっていろいろな人の人生をなぞれるからステキな商売なのかも。
【収録曲・内容】
<CD>
1. Too far away 〜女のこころ〜
2. Too far away
3. Too far away 〜女のこころ〜 (Instrumental)
<DVD>
1. JACKET MAKING & INTERVIEW
2. PHOTO SLIDE SHOW
「Too far away 〜女のこころ〜」
同じ曲を両面から書いた詞を、異なる表現で歌っている
男と女の感じ方、やっぱり違うのかな...?
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購入金額
1,680円
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購入日
2007年頃
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購入場所
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