mazdaことマツダ株式会社の車に関する本。
20世紀には様々な自動車メーカーがあった。
しかしどんどん淘汰が進み、普通乗用車を造らなくなったメーカーや他メーカーの単なるバッヂブランドになってしまったメーカー、さらには完全に解体されてしまったメーカーもある。
そんななか、一時期ささやかれていた「自動車メーカーが“個”を保つために必要な生産台数(400万台)」を切りながら、独立して明確な“個”を保っているメーカーがいくつかある。
例えば、BMWやPSA(Peugeot Citroën)、日本では富士重工(スバル)やスズキなどのほかに「マツダ」がある。
このあたりのメーカーはなまじ手を広げないのが「生き残る」ポイントだ。ある意味「集中」して、このブランドはこういう車という強い個性を放つ車を造れるか否かがカギ。
マツダの世界シェアはわずか2%。しかしその2%に圧倒的に支持され、選ばれ続けられれば生き残ることが出来る、という戦略。
そんなマツダの特徴は独自技術に裏打ちされた高いオリジナリティ。
その代表格が、NSU(今のAudi)が開発し、世界の自動車メーカーにライセンス供与しながら、NSU自身も含め、どこも常用化に至らなかったロータリーエンジン。これを、世界中で唯一量産し続けるレベルまで磨き上げた。
他にも、トヨタのプリウスに先駆けて実用化したミラーサイクルエンジンや、常識はずれの低圧縮比を実現し、発生する有害物質を浄化するのではなく、そもそも有害物質の発生を抑える方向に行った、真のクリーンディーゼルエンジン(SKYACTIV-D)の開発など、独自性の高い技術を誇る。
そんなマツダの車は、レアものオタクのcybercatの感性に合うのか、いままでの人生の中で所有した6機種の車の中で半分の3種を占めている。
そんな「しっくりくる」メーカーであるマツダ、帰省の移動時など本を読む時間があるときに、特集本があるとつい買ってしまうのだが、そんな一冊。
ロータリーエンジンとスカイアクティブ技術の解説を行った特集本「マツダ魂」。
表紙をめくると、マツダの象徴でもあるコスモスポーツとロードスター
鉄道関係からナイフ、果ては宗教モノまで特集するオールカラー本、サクラムックの「ビジュアル図鑑シリーズ」。適度な文字数と綺麗な写真で構成され、1000円以下という手ごろな価格とあいまって、細切れになりがちな移動時に眺める本としては有用。
内容としては二輪車に荷台を牽引させた...という風情の三輪トラックから始まるマツダの歴史と、マツダという会社のアイデンティティの一つとなったロータリーエンジン開発秘話、その流れでトヨタに先駆けること27年前の日本車初のル・マン24時間レースでの優勝、そして最近のマツダを象徴するSKYACTIVテクノロジーの各パーツの説明と、それらを搭載した市販モデルの紹介...と続くもの。
現行所有のアテンザ←うちのはワゴン(フルサイズワゴンでドライバーズカーって貴重)
内容的には、そこまで詳細なものではなく、インタビュー以外は他の自動車雑誌や、インターネットで拾えるようなものだが、往復5時間くらいの帰省旅程中にチラチラ小間切れで読むにはちょうど良いかなっていう感じ。
これがもう少し詳しくても1000円超えるようなら手を出しづらいので、価格設定が絶妙。大きさもA4より一回り小さくて、100ページ前後というサイズ感も企画の勝利だな..と感じるシリーズでした。
【目次】
孤高のロータリーヒストリー
黎明期
ロータリーエンジンの開発とコスモスポーツ
ロータリーエンジン飛躍の時代
オイルショックでロータリーエンジンが受難の時代
排出ガス規制を克服して再びロータリーエンジンが高性能エンジンの代表に復活
ロータリーエンジンからスカイアクティブへ
モータースポーツでも活躍したロータリーエンジン
スペシャルインタビュー1)小早川隆治(当時の開発メンバー)
必見!回顧録 ロータリーエンジン開発からル・マン優勝まで
環境に配慮した水素ロータリーエンジン
マツダミュージアム
飽くなき挑戦はスカイアクティブへ
SKYACTIV技術説明書
SKYACTIV-G/SKYACTIV-D
SKYACTIV-DRIVE/SKYACTIV-MT
SKYACTIV-CHASSIS
SKYACTIV-BODY
安全に対するマツダの取り組み
マツダモノ作り革新
スペシャルインタビュー2)藤原清志(常務執行役員)
キーパーソンが語る SKYACTIV技術の真実
Mazda Design たどり着いたのは命あるものが魅せる一瞬の動き
スペシャルインタビュー3)前田育男(デザイン本部長)
ジャパン・デザイン「魂動」その神髄に迫る
新世代ラインアップ全6車種を分かりやすく解説
CX-5
アテンザ
アクセラ
デミオ
CX-3
ロードスター
Vision of the future
夢を実現するために“マツダ魂”は未来に受け継がれる
・オールカラー 114ページ
開発者は良い意味でのヲタク的精神を持つべきである
マツダの技術者は、ひとつのことに対する深掘りがスゴい。あきらめない、ということは、個人にとっては「失敗に終わってもその過程で成長できる」なんて言えるが、メーカーにとっては最終的な成功こそ善。そこをなんとか細く長くやり続けるのがマツダ。そこに共感する。
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購入金額
853円
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購入日
2016年頃
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購入場所
mickeyさん
2018/06/20
乗っていました。
2台とも人馬一体というか乗っていて
楽しい車でしたね。
cybercatさん
2018/06/20
FDは思うとおりに動く、NAは車体が感じられると優勢な感覚の方向は逆でしたが、とても一体感がありましたね。