所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。音楽そのものは時を超えても、その音作りはその当時の流行や技術的制約などによって「××年代っぽい」という時代感があるものです。そんな「時代を感じる」リミックスをご紹介します。
Sing Like Talking(SLT)。21世紀に入ってから10年近く活動が低調な時があったが、現在復活し、活動開始30周年を超えた老舗バンド。結成は1980年代後半だが、特に1990年代前半の活動が特徴的で、日本人離れした洋楽テイストを持つ楽曲はまさにツウ好み。デビューライヴに「あの」TOTOのドラマー故Jeff Porcaroと、凄腕ベーシストNathan Eastがリズム隊を務めたという伝説と合わせて、話題を呼んだ。完全に「アルバムアーティスト」で、アルバムとしてはチャート1桁前半のランクインを連発していたが、シングルとしては大ヒットがない、という珍しいアーティスト。
本作は、1990年代の初頭、SLTが急激に「あか抜けて」来たころの作品。Cameoのキーボードなどに名を連ね、日本では久保田利伸や荻野目洋子を手掛けたRod Antoonが手掛けた3rdアルバム“Ⅲ”が彼らの飛躍のきっかけだが、そのアルバムからのリミックスによるシングルカットが本作、“Livin' For The Beat (Power Of The Beat Mix)”。とても刺激的な「あのころ」の音が懐かしい。
表題作「Livin’ For The Beat (Power Of The Beat Mix)」は、いわゆるディスコミックス。リズム楽器のみ⇒シンベプラスでエクステンドされ、ココンココン、スパンスパンと打ち込みのリズムが跳ねるバックに乗せて、Michael Jacksonばりの切れの良さで佐藤竹善が歌うファンキィナンバー。..つか、元曲よりリズム強調でコード楽器が控えめのミックスなので、ヴォーカルが浮かび上がり、上手い佐藤の透る声が堪能できる。
「Interlude:Street」は、その名の通り中つなぎの小品で、ドゥーワップ形式の小粋な曲。フィンガースナップのみのパッキング?でメンバーの美しいコーラスが聴ける。作曲者には佐藤といつもコンビで曲を書いている藤田千章、もう一人のメンバーの西村智彦のほかに、Rodの名も見えるので、どちらかといえばスタジオで造った即興系の曲なのかも。
ラストの「Hey, Dreamer」はブリっとしたシンべと、ゲートが強くかかったスネアが「あの頃」らしいファンキィな曲。泥臭さが少なく、あまり熱量を感じない曲のつくりがCOOLなデジタルファンクという感じ。
この作品の後、SLTの「三部作」と呼ばれるアルバムが続く。“0 [lΛV](ラブ)”⇒“Humanity”とリリースされ、三部作最後となる“ENCOUNTER”
でついにアルバムチャート1位を獲得する。
そんな上り調子だったSLTの勢いと、まだ「失われる」前の日本の最後の輝きが合わさった、力強い楽曲です。
【収録曲】
1. Livin’ For The Beat (Power Of The Beat Mix)
2. Interlude:Street
3. Hey, Dreamer
「Livin’ For The Beat」...リミックスではない。BGMに曲を使っているだけで映像は無関係。
90年代サウンドが懐かしい
バブルの残滓...というか、崩壊を観つつも踊り続けたウォーターフロント系というか、当時の音は派手で、刹那的。ただ、キレもよく、ダイナミック。
あのころのがむしゃらな力強さは、今の音楽界には、ない。
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購入金額
0円
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購入日
1991年頃
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購入場所
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