音元出版から特別増刊という形で発売されているヘッドフォン・イヤフォン・ポータブルオーディオの専門誌である「PREMIUM HEADPHONE GUIDE MAGAZINE」の通算10号となる雑誌です。
まあ、はっきり言ってしまうと音元出版のこの類の雑誌は、スポンサー商品の礼賛記事ばかりであまり内容はないのですが、読み物としてはまずまず内容があることもあり、おまけの品が面白そうなときには買ってしまうことがあります。
今回は英国CRYSTALLINE AUDIO製のフォームタイプイヤーチップ「Crystal Tips」が付いてくるということと、家族を病院に送っていって時間がかかりそうだったので、病院近くの本屋で陳列されていてそこそこ長時間読めそうな本であるという理由で買ってきました。
内容についてはあまり細かく触れてしまうと読む価値を半減させてしまいますので、あまり詳細には触れないようにします。強いて言えば評論家・ライターの方々の現在の一押し試聴ソースというのはなかなか面白かったです。中には「あんなクオリティーのソースで判断しているんだ…」と呆気にとられてしまうものもありましたが・・。
イヤーチップのお試しとしてはアリ…かな?
記事の中身は製品の紹介やスペックを参照するだけにとどめておくのが正解でしょう。イヤフォンは特にそうなのですが、各人の耳の形状や装着具合によって音質はいくらでも変わってしまう機材であり、他人の評価を鵜呑みにするべきものではありませんからね。
一般的に「百聞は一見にしかず」と言いますが、オーディオ機器の場合は「百読は一聴にしかず」です。自分で音を確かめる以上に参考になる材料などありません。その意味では直接その製品を体験できるおまけである「Crystal Tips」の存在は大きいものがあります。
今回付いてきているCrystal TipsはMサイズ・Mコアというものです。どのイヤフォンで使うべきか考えたのですが、Crystal Tipsがフォーム型のイヤーチップであるということを考えると、比較的高域がよく出ていて、しかも空間の密度が特別に濃く無いものが適しているのでは無いかと考え、Acoustic Research AR-E100と組み合わせてみることにしました。
なお、AR-E100は純正ケーブルでは無くBispa製のeイヤホン向けオリジナルモデルである「<咲> saku」を組み合わせた状態で使っています。また、イヤーチップは添付品のシリコンチップタイプを使っています。
これをCrystal Tipsに交換してどうなるかという話ですが、Crystal TipsはComply等と同様のフォームタイプのイヤーチップであり、基本的な傾向も近いものがあります。
音質的には低域方向が厚くなり、音場も広がりが乏しくなる代わりに密度は濃くなります。ただ、Complyの標準型(Tタイプ)と比べると高域方向の変化は質・量共に小さめでそれほど悪影響は感じられません。
もっとも、個人的にはComplyよりはずっと良いとは思ったものの、やはりフォームタイプだなと感じさせられてしまう部分もありました。とにかく響きや余韻といった要素がシリコンチップよりも明らかに減ってしまうため、David Garrettのヴァイオリンの音が妙に痩せてしまいます。フォームタイプはどれを使っても低域は厚くなるものの、何かつまらない音になってしまうという印象があり、Crystal Tipsもその印象を覆せるほどではありませんでした。
普段店頭で買おうとするとCrystal Tipsは3ペア入りで2千円を超える価格設定となっていますので、試しに使ってみる程度で買うには少々敷居の高さを感じさせられます。その点、1,500円の雑誌に1ペアが付いてくるのであれば、試してみるのには手頃と感じられるのでは無いでしょうか。特に今回のように買い増そうと感じられる程の満足度では無かった場合に、後悔せずに済むというのが有難いところです。
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購入金額
1,500円
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購入日
2018年06月01日
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購入場所
すばる書店
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