所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。デビューがグループの中の一員で、そのグループが馬鹿売れした場合、ソロ活動やグループ解消後の活動というのは意外に難しいモノです。そのグループの印象を引きずりすぎても、他メンバーの魅力がない分アピールに欠けた中途半端なモノになりがちですし、かといって完璧に180°別路線での活動だと、コアなファンしかついてきません。そんな場合はグループの方向性から想像しうる範囲内で活動をはじめ、徐々に路線を模索して自分の行くべき先を探るのが常套手段です。後から俯瞰してみると、(特にカップリング曲が)後の活動へ続く道になったのだと感じられる作品をご紹介します。
hiroこと島袋寛子。かつて女性ポップグループSPEEDで、最年少メンバーとして小学生のときにデビューした彼女も、hiro名義のソロ活動、Coco d'Or名義でのジャズ系楽曲への挑戦、間にSPEED再結成を挟んで、今は本名(出生名)に戻しての活動と永い芸歴?を誇っている。
時代(名義)によって、それぞれ別の注目すべき点、面白い点があるが、SPEED時代に使っていた「hiro」の名義でのソロ活動が、鮮烈なSPEEDのイメージをベースに持ちながら、他メンバーにはない個性を追求していて一番なじみやすい。
そんな彼女の6枚目のシングル。順番としてはかなり「SPEED節」が強かった“Confession”
の次に当たるが、曲調としては一転、SPEED節が奥に引っ込み、後のCoco d'Orに通じるジャジィなテイストも感じられる曲になっている(とくにカップリング曲)。
「Love You」。曲はdreamやELTに多く曲を提供した大谷靖夫。彼にしては?かなり素直な曲。SPEED時代のダンサブル路線はなりを潜め、ハチロクのミドルテンポ曲。音域的にも、やや鼻にかかる中高音域多用で、少しハスキィな高音域は使っておらず、キーの設定がイマイチ?中間部のドラマチックなギターは古川兄弟の古川望。
カップリングの「しあわせの道」は、生ギターのアルペジオのイントロから始まる淡々とした打ち込み中心の曲なのだが、オルガンがとラッパ系が良い仕事していて、小粋でジャジィな仕上がり。Bメロの節回しもかなりジャジィ。サビはhiroの高音域を使っていて、少し発声の頭がかすれるhiroの色気が良く出ている。インパクトとしてはいわゆる「B面向け」の小曲なのだが、完成度や魅力の引き出し方としては明らかに表題曲を上回る。
全体としては、SPEED延長路線からの脱却を図っている途中...という感じでまだ強い印象を残すというほどではない。ただ、SPEEDのメンバーの中で一番音楽に強いこだわりを持っていた彼女の、自身のカラーの確立の過程では通らなくてはならなかった径(みち)かも。
ジャケットのイメージもそれまでの快活系の方向性からは外れている
そんな「脱皮前」のうごめきが垣間見える作品です。
【収録曲】
1. Love You
2. しあわせの道
3. Love You (Instrumental)
4. しあわせの道 (Instrumental)
「Love You」
まだ過渡期。
SPEEDのhiroからヴォーカリストhiroへ。まだ剥けていない。でも新しい次の姿が見え隠れする。
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購入金額
1,050円
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購入日
2002年頃
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購入場所
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