レビューメディア「ジグソー」

個性的としか表現できない音

先日64AUDIO U4を買って、さすがに当分イヤフォンを買わないだろうと思っていたのですが、その予測はあっさりと外れました。付属品がキャリングケースとイヤーピース1組しかないという、HEIR Audio 2.Aiがなかなか安く売られていたのを見つけてしまったのです。

 

 

 

 

ケーブルも欠品でしたが、U4にマッチするケーブルを探す過程で適当なケーブルは手元に増えていましたので、使う分には困らないだろうと考えて購入しました。

 

 

 

 

 

 

 

以前購入したNoble Audio Savant Universalと同じようなハードケースが付属しています。Noble Audioは元々HEIR Audioに在籍していた"WIZARD"ことDr. John Moultonが独立して自ら立ち上げたブランドであり、この両者の製品に対する思想は今でも割合近いところがあるようです。

 

 

 

 

 

もっとも、同じBA2ドライバー機とはいえ、新品価格はSavantの方が2倍ほど高価ですが…。

 

 

 

 

 

ケースの中にはこれだけが入っていました。まあ、イヤーピースも他から流用可能なサイズであり、付属品がなくてもそれほど不都合はありません。

 

私はカスタム型のイヤフォンは持っていないのですが、今まで所有したイヤフォンの中では最もカスタムイヤフォンを連想させるシェルデザインです。もっとも、JH AudioのThe Siren Series(Michelleは除く)でもそうだっったのですが、このタイプの形状はあまり私の耳への収まりが良くないのが弱点となってしまうことが多いのです。この機種ではどうでしょうか。

更新: 2018/04/14
総評

ドライバー構成からは想像も出来ない低域寄りのパワー型

それでは早速試聴してみますが、標準添付のケーブルが欠品しているということで、まずは組み合わせるケーブルを決めなければいけません。

 

 

 

 

 

この写真で組み合わせているのはSoundsgood A2ですが、このケーブルでは所々に妙な癖が目立ったので、結局最もケーブルによる色づけが少ないEstron Linum musicで試聴することにしました。

 

 

 

 

 

組み合わせるDAPは、写真にもあるAstell&Kern KANNです。

 

 

 

 

まず第一印象としては低域の強烈な存在感です。同じ2BAのSavantは一定以下の周波数帯となる低域が綺麗さっぱり無くなってしまう傾向がある(出ている範囲に関しては濃厚です)のですが、Heir 2.AiはSavantよりは結構低い方が出ていて、その低音が少しアクセントを付けて強調されているような印象を受けます。一方中~高域は出ていないわけではないのですが、低域よりは明らかに量が少なく、控えめな印象を受けます。

 

極端な例としては「Infinite Synthesis / fripSide」の冒頭で街の喧騒のような効果音が入っているのですが、この音を直接外で録音したようなイメージなのがSavantで、部屋の中からガラスにマイクを向けて収録したのが2.Aiという位の印象の違いを受けます。他のイヤフォン・ヘッドフォンでは多少程度の差こそあれSavantに近い印象しか受けませんので、2.Aiの音がそれだけ極端ということでしょう。

 

そしてもう一つ特徴的な点は、音場が狭くその中で凝縮されたように濃く展開されるということです。Savantが左右のイヤフォンの外まで広がっていく音場だとすれば、2.Aiは左右よりもさらに狭い範囲で音場が構築されるという印象を受けます。ただ、その中一つ一つの音がとにかく力強くエネルギー感に満ちているのです。2BAとしては濃厚な印象を受けるSavantの音が薄口に感じられる程の濃さです。

 

こう書いてしまうとパワー感だけで押してくる音と印象を受けてしまうかも知れませんが、例えばDavid Garrettのヴァイオリンのようなソースであっても、それぞれ個別の音の質は高いのです。ただ、全体としては低音がどうしても突出してしまうので、折角質の良い楽器の音が活かされない感はあります。

 

 

最初に懸念した通り、装着感でも少々厳しいものがありました。添付のイヤーピースでは、すぐに耳から浮いてきてしまうのです。これはSENNHEISER IEシリーズ用のダブルフランジタイプのイヤーピースを流用することで何とか落ち着かせることは出来ましたが…。

 

 

音質でも装着感でも、万能性という意味ではかなり難がある製品といえますが、この圧倒的な力強さが填まるソースもありますし、何本も持っているイヤフォンの中の一本としてであれば存在意義は十分に感じられます。私が現在ほぼ常時持ち歩いているのはU4、Michelle、Acoustic Research AR-E100の3本ですが、それに次ぐグループであるSavant、Etimotic Reserach ER4-PT、audio-technica ATH-CKR10の中には入ってくるのではないかというところでしょうか。万人にはお勧めしがたい製品ですので、興味がある方は必ず試聴されることをお薦めします。

  • 購入金額

    8,640円

  • 購入日

    2018年04月12日

  • 購入場所

    HARD OFF

13人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2018/04/14

    ケーブル無しでも,この値段なら試してみたくなりますね.
    一度に一つしか聴けないことはわかっているのですが,ダメです.

    私は最近,ケーブル沼にハマりつつあります.
  • jive9821さん

    2018/04/15

    > harmankardon さん

    これくらいの価格だと、つい「これ使ってみたかったんだよな」で買ってしまいますね。使ってみて気に入らないと、すぐに不要イヤホン入れに投入されてしまうのですが…。

    私はケーブル沼はあまりに危険な領域なので、一歩踏み入れた足を引っ込めるよう努力しているところです…。

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