レビューメディア「ジグソー」

iSCSIを試してみる

元々自宅のNASとしてはQNAP製のローエンドモデル、TS-212Pを使っていて、ファイル置き場という意味ではRAID1による冗長性も確保されていて十分満足していました。

 

 

 

 

しかし、自宅のDLNA兼録画サーバーとして使っているPCは、設置スペースの都合上Mini-ITXのケースで組み立てているため、HDDは最大2台までしか搭載できず、この用途で使うにはHDDの合計容量に若干難点がありました。そのため、割合大きめなHDDを宛がってはいるのですが、それでも余裕はありません。現在は8TB+6TB(OS起動用には別途SSD)ですが、合計空き容量は2TBを切っています。

 

 

 

 

そこで注目したのはiSCSIによるHDD領域の確保でした。以前仕事仲間の技術者の方が「結構使える」と言っていて、一度試してみたいと思っていましたが、なかなかiSCSIに対応した手頃な価格のNASケース等がなく、多少安い程度だったこのDS713+を買うことにしたのです。

 

 

 

 

 

 

一応ASK取り扱いの国内正規品です。かなりの長期不良在庫だったようですね。ただ、現行モデルのDS718+と比べても、CPU周りの性能以外はそれほど大きく変わらないように見えます。ちなみに搭載CPUはDS713+がAtom D2700、DS718+がCeleron J3455で、メモリー容量拡張可能の可否の違いもあります。ただ、今回の価格であればDS718+の約1/3ですので、その辺りは妥協しました。

 

 

 

 

 

LAN端子が2系統あるモデルだけに、LANケーブルも2本添付されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

フロントはホットスワップ対応機としてはごく普通の構造ですね。リアパネルは2系統のLAN端子の他に、2系統のUSB 3.0、1系統のeSATAが確認できます。eSATAを利用することで、Synologyが提供している拡張ボックスに装着したHDDを、内蔵ベイのHDDと同等に利用することが出来るようになります。

 

更新: 2018/03/04
性能

Gigabitの上限には達している

まずは使い始めるに当たり、HDDを内蔵する必要があります。

 

今回は同容量で比較的サイズが大きいSATA HDDが余っていなかったので、シングルドライブで容量を稼げる、Seagate ST8000VN0022(IronWolf 8TB)を1台だけ装着することにしました。

 

 

 

 

 

 

HDDを装着したら、Synology製NASの標準OSである、DSMをインストールします。一応DS713+では、最新のDSM 6.1.5を利用可能です。

 

 

 

DSMのセットアップについては割愛します。

 

詳細については後述しますが、iSCSI経由で利用した際の速度を測定してみました。接続したPCは、Core i7-3770+ASRock H77M-ITXのPCです。H77M-ITXの内蔵NICはRealtek RTL8111Eであり、特に高性能というほどのものではないことはご了承ください。

 

 

▲DS713+(iSCSI) Crystal Disk Mark
▲DS713+(iSCSI) Crystal Disk Mark

 

 

シーケンシャルは115MB/s前後であり、bps換算すると920Mbps程度ですから、もはや1系統のGigabit ethernet(理論値1000Mbps)としては限界に近い速度と言って良いでしょう。併用しているTS-212Pとも明らかに違う速さです。

 

DS713+の冷却性能等はまずまず優秀でしょうか。7,200rpmのST8000VN0022を連続稼働して、周辺温度+10℃少々といったところです。

 

 

 

 

更新: 2018/09/15
総評

現行モデルと比べれば見劣りはあるが、安ければ十分に魅力的

結論に行く前に、iSCSIについて少し触れておきましょう。

 

iSCSIとは大雑把に言ってしまうとSCSIプロトコルを、TCP/IP上でやりとりしてしまうという仕組みです。本来のSCSIは専用コントローラーと専用信号ケーブルで接続する必要がありましたが、iSCSIは物理的にはごく普通のイーサネット環境があれば良いことになります。ちなみにIEEE1394(FireWire、i.LINK)も、物理的には違うものの論理的にSCSIの一種ということになります。

 

速度だけを見れば、通常のネットワーク共有でもこのレベルの環境では大きな差は生じないはずですが、それでもiSCSIを利用する最大のメリットは、NAS上のディスク領域をPC上から完全にローカルディスクとして扱えることです。今回作成したiSCSIのボリュームはこんな感じとなります。

 

 

 

 

名前の通り「DS713_iSCSI」というボリュームラベルのGドライブが、iSCSIで接続したNAS上のディスク領域(ここではサイズに2047GBを指定)です。Windowsのディスクの管理では、ローカル接続のHDDと全く同様に見えています。

 

もっとも、iSCSI接続にはデメリットもあり、通常のNAS上のディスク領域とは異なり、複数のPCで共有することは出来ません、iSCSIで接続したPC専用の領域となります。

 

 

今回はiSCSI環境を構築して、実用性があるようならば実際に運用してみるという目的でNASを用意しましたので、この価格で必要な条件を満たしてくれたDS713+に対する満足度は極めて高いものがあります。

 

とはいえ、同クラスの後継商品であるDS718+と比較すると、純粋に性能が大きく劣っていることは事実ですので、誰にでもお勧めできるというところまでは行きません。

 

ある程度性能面に割り切りを持って、必要な機能を満たしていれば良いという観点での製品選びであれば、この価格でIntel CPUを搭載して拡張ボックスやiSCSIに対応するDS713+のコストパフォーマンスは素晴らしいものがあるといえるでしょう。

 

 

追記:

 

Synology製NASで利用可能な監視カメラ統合管理ツール、Synology Surveillance Stationを導入して、監視カメラを実際に運用した話をカメラのレビューに記載しました。そちらもご参考までに。

 

 

 

  • 購入金額

    16,800円

  • 購入日

    2018年02月27日

  • 購入場所

    PC4U

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