はじめに
筆者は 2012 年からサブマシンは APU と決め打ちして A8-3870K を皮切りに A10-5800K、A10-6800K、A10-7850K や A10-7800 ときて A10-7870K まで各シリーズを愛用してきた。
そして 2018 年 2 月には Zen アーキテクチャに Radeon Vega を引き下げ、開発コードネーム Raven Ridge の Ryzen™ シリーズとして生まれ変わった APU がローンチされた。これは流石に飛びつかずにはいられない。
そんな訳でローンチ当日 2018/02/13 に出先でスマホポチポチして 10:00 ちょっと過ぎにポチった。
APU の魅力
APU の魅力は dGPU が不要な分、故障要因となるパーツ数を削減出来、尚かつグラフィック性能はボチボチ確保出来る点にあると思っている。
dGPU が無いと実現出来ない GPU 支援機能なんかも CPU と同居したパッケージに収まっている iGPU でもある程度出来ちゃったりするので、用途さえ見定めておけば非常に魅力的な CPU (APU) なのである。
肝心な用途は主に Web ブラウジング、メールチェック、777Town といった軽量なゲーム、TV 視聴/録画や動画視聴 (もちろん Fluid Motion 使用) といった感じで筆者用途にはぴったり過ぎる感じとなっている。ちなみにこの用途で 24-365 稼働とさせている。
Raven Ridge のスペック
折角なので Ryzen 5 2400G だけでなく 2200G のスペックも合わせて掲載してみる。
今回購入した Ryzen 5 2400G は APU なのに 4C8T と贅沢な感じのする仕様で尚かつクロックも Summit Ridge な Ryzen™ シリーズよりも少し高めの設定となっている。
iGPU としては Radeon™ Vega11 を内包している。
TDP は基本 65W で cTDP (Configurable TDP) にて 45W~ という仕様だが現状では対応しているマザーボードが見当たらないので 65W と見ておくと良いだろう。
Ryzen 5 2200G と 2400G とではスレッド数と CU 数で明確な違いが存在するのでどちらを選ぶか慎重にすべきだろう。筆者は APU であっても基本演算性能の高い方と考えて居るので迷わず 2400G をチョイスする事となった。
Ryzen 5 2400G の外観など
SocketAM4 にマウントした状態でヒートスプレッダを撮影した。
2017 年 50 週にアメリカで製造されて中国にて完成した個体であると分かる。
付属のリテールクーラー。”リテール” だけどマザーボードに付いている爪を用いず 4 点でネジ止めするタイプの物になっている。
ヒートスプレッダとの接触面となるベース部分にはグリスが塗布済み。
基本的にパッケージ内の APU とこのクーラーで直ぐにマウントして使うことが出来る様に配慮されてはいるが、筆者はリテールクーラーを使わない派なので今回は使用しない。
マシンの組み上げ
これは Ryzen 5 2400G マシンを組み立てた当時の写真となっている。
PCI-E x16 スロットに何も差していないスッキリさが良く出ている。
ベンチマーク
組み上げ当時からあちこち手を入れて現行スペックはこの様になっている。
APU のオーバークロックは無し。メモリのみ OC メモリを用いて DDR4-3200 動作としている。
CINEBENCH R15
Multi 804cb、Single 155cb と思いのほか Singe スコアが高い。これは上手い具合にターボが聞いている物かと思われる。
Multi に於いてもプリセットされたスコアと比較する限り i7-4770k に近い性能であると示される。
CPU 部の性能としても申し分のない演算性能だ。
3DMark FireStrike
こちらは FireStrike のみでメモリモジュールの動作速度別にデータを採取し、グラフとしてまとめた物。
DDR4-3466 に関しては無理矢理動作させたので安定性の確認などをしていない為、常用出来ない物ではあるが一応完走出来たのでデータとして入れ込んである。
また、この 3DMark FireStrike のデータ採取時は UMA Frame Buffer Size がマザーボードのデフォルト設定 256MB になっていたのでスコアが少し低めに出ている点もご了承頂きたい。
CPU 性能を示す Physics は DDR4-2133 時、上にぶれている感じとなってしまっているがそれ以降はメモリ速度が上昇するにつれて演算性能も微増している。
これは Summit Ridge と同様に Zen アーキテクチャの特長ではあるが、CCX が 1 基の Raven Ridge では前者ほど伸び幅は大きくないようだ。
それよりも Ryzen 5 2400G でメモリ速度の重要性が増す Graphics スコアはメモリ速度によって大きな差が生まれてくる。
DDR4-2133 基準だと Ryzen 5 2400G がオフィシャルにサポートしている DDR4-2933 で約 15.2%、DDR4-3466 で約 19.8% もの伸びがある。
ここは是非とも DDR4-2933 以上のメモリと合わせて使っていきたい所ではある。
Graphics スコアに関する印象としては組み替え前の A10-7870K + DDR3-2400 のスコアよりも 1.9 倍を示しているので、上昇幅から言うともの凄い性能アップという一言に尽きる。
また、ここで UMA Frame Buffer Size の設定差という物をみてみたい。
マザーボードでデフォルト値とされていた 256MB と、手動で 2GB を割り当てた場合の 3DMark FireStrike のスコアとなる。
DDR4-3200 同士の比較だが、Graphics スコアの伸び幅をメモリ速度に換算すると DDR4-3466 よりも上に相当する伸びを見せてくれている。
UMA Frame Buffer Size を 2GB と設定するとその分はハードウェア予約領域として OS からは使用できなくなるので注意が必要だ。
システムメモリとして 8GB 載せている場合、実容量が 6GB と少々キツい事になるから 16GB 程度は乗せて起きたい所。若しくは割当量を小さくする等でも対応可能だ。
消費電力と温度
動作環境とシチュエーション別で消費電力と温度のデータを取りグラフ化した。
Windows10 Install 直後と示す物はバックグラウンドプロセスも少なく、本当に IDLE という感じであり、常用環境 IDLE というのは各種ドライバやソフトウェアが裏で多少なり動作している環境の IDLE という事を示す。
消費電力に関しては HDD を 3 台接続している関係上 IDLE が高めにでている。HDD を全て撤廃した環境だと恐らく IDLE 20W 台後半も見えてくるだろう。
IntelBurnTest VeryHigh では Ryzen 5 2400G が消費しうる電力を見ることが出来る。これを見る限り、当方環境では多く見積もっても 130W 以下で運用可能なシステムであると言える。
ゲーミング用途としては 3DMark FireStrike 時の消費電力である 95W 前後が重めなゲームの良い目安となるだろうと思われる。
Ryzen 5 2400G の温度面として CPU クーラーはリテールクーラーではなく、Scythe 阿修羅を用いているがそれでも 70℃ を越えてくる発熱っぷり。ソルダリングではない事が確認されているので、コアとヒートスプレッダ間がグリスだとこのくらいになってしまうのかなと痛感させられる所でもある。
消費電力に関しては非常にワットパフォーマンスに優れていると言えるが、発熱に関しては高負荷時のみ若干気を使う必要があるかもしれない。中低負荷程度であればさほど問題もなくリテールクーラーでも運用できるだろうと思う。
おわりに
待ちに待った Raven Ridge は期待以上の物を与えてくれる素晴らしい APU であるとしか言いようが無い。
点数を付けるなら 100 点満点をあげたいところだが、ソルダリングではない為に高負荷時の発熱が高いのでは―― とちょっと気がかりなマイナスポイントもある。実用上大きな問題にはなっていないので数ポイントの減点程度だろう。
歴代 APU の中でも最初に触れたときの感動は最高レベルの物であると断言出来る。
なによりも超高コスパな APU だけに得た満足は非常に高い物であった。
-
購入金額
21,370円
-
購入日
2018年02月13日
-
購入場所
1's
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。