NZXTの新しいPCケース“H700i”を購入しました。
今までは静音性を重視してDefine R4を使っていたのですが、5年ほど使い続けていたのでそろそろ別のケースに買い替えたくなったので。
元々は同じFractal DesignのDefine Mini C TGを考えていて、パーツもそれに合わせてMicroATXを選んでいたのですが、日本で一向に発売される気配がなく、待っていたらこちらのHシリーズが発表されたのを見てビビッと来るものがありこちらにしました。
同じくMicroATXのH400iにしなかった理由は3.5インチベイが1つしか無かったのと、H700iのトップが横方向排気で上に物が置けるのが良さそうだったので。
11月の日本国内での発売に合わせて予約購入しました。
本国での価格が$199.99のところが29,980円。まあこんなもんですかねぇ。
なのでレビューしているのは2ヶ月ちょっと使用した後です。
組んでいる途中の写真で使えそうなものが無かったので、とりあえず組んでみた写真を。
パーツは基本ホワイト、それ以外はブラックで揃えてみました。
MicroATXなので下のスカスカ感が結構出ちゃってますけど。
PCIブラケットはFractal Designのものを流用しています。
ちなみにこのSSDはIntel 545sですが、残念ながらロゴが逆になってしまいます。
LED
上部のLEDストリップはこの状態で標準搭載され、下部にあるLEDストリップは付属品でどちらも同じアドレッサブルLEDで、Windows上のCAMソフトウェアで制御が可能です。磁石内蔵で両面テープ付き、延長ケーブルも付属しているのでケース内なら大抵どこでも付けられます。
2本目以降のストリップを繋ぐコネクタはケース前方にあるのですが、標準装備のLEDストリップのリア側から引き回されているので流れるようなプロファイルだと違和感があるかもしれません。
そのまま繋いだ場合のLEDストリップ最大搭載時の図を載せます(Twitterに上げる用のテキトーな図でゴメンナサイ)。
ケーブルマネジメントバー
このケースのシンボルと言える大きな“ケーブルマネジメントバー”は3点ネジ留めとなっていて、1cm程度前方に移動させることで、横向きSATAポートのケーブルに干渉しづらくできます。
取り外すこともできるので、前面のSSDのケーブルを繋ぐ際は外してしまったほうが良いでしょうね。
SSD用のSATA電源ケーブルはストレートタイプが必要なので、使う予定の電源が全てL字コネクタだったりしないか確認したほうが良いかもしれません。
従来のゴムグロメットのほうがケーブルを隠しやすいのではと思うかもしれませんが、ゴムは劣化もありますし、見た目が良いとも言えないのでバーはデザイン的にもプラスだと思います。
スマートデバイス
このケースは公式でスマートPCケースと謳っているのですが、その理由がケース内に搭載されたスマートデバイスです。
SATA給電で動くUSB2.0ピンヘッダ接続のこのデバイスは、マザーボード右上のケーブルマネジメントバーに隠された位置にあり、1系統のLED制御と3系統のPWMファン制御が可能になっています。
LED制御についてはケースに搭載されたLEDストリップを制御することが出来ます。NZXTが出しているHUE+というLEDコントローラーの簡易版ですね。
注意が必要なのはこのLED制御で、LEDストリップなら4本、Aer RGBなら5基まで接続可能ですが、1系統のみということでAer RGBを接続する場合はケース付属のLEDストリップを制御できません。混ぜて使うこともできません。ケースのLEDストリップとAer RGBのどちらも光らせるなら別途HUE+を買う必要があるということです。
ファン制御については3系統ですが、標準で3分岐ケーブルが3本付属しているので、追加でケーブルを購入することなく9基のファンを制御できます。
制御モードによってはスマートデバイス内蔵のマイクと、パーツの温度を考慮し、機械学習で静音化に最適な設定を導き出すという、先進的で面白い機能もついています。
設定を弄れば低温時にファンを停止したり、自分好みに色々変えられます。
ファンはCorsair LL140 RGB
欲を言えばファン起動温度と停止温度を個別に設定できたり、CPUやGPU以外の温度を基準に設定できると、境界付近の温度でファンが回転と停止を頻繁に繰り返す事を改善できたり、使い勝手は良くなると思います。
組み立てについて
基本的にはここが難しいとか分かりづらいという点は無かったと思います。
気になった点は、フロントパネルおよびトップパネルはほとんど力任せで外すような方式なので、頻繁に構成を変更したり、フィルター清掃を行ったりしていると壊れそうで結構怖いですね。
現状でも10回は外していないと思いますが、本体にかかる爪の部分が少し欠け始めています。
マザーボード用のスペーサーは1つがネジ穴ではなく突起があって、それをマザーボードのネジ穴にはめ込む事で、ネジ留めをしなくとも正しい位置に固定でき作業がしやすいです。
裏配線部にはケーブルを綺麗にまとめられるようにケーブルルーティングキットと呼ばれるガイドが各所に設けられており、ベルクロもあるので初心者でも綺麗にまとめられると思います。
ただ、個人的にはLEDパーツを多く使用しているのと、スリーブケーブルに取り替えているため、ガイドにケーブルが収まりきらず、そういった場合にはむしろ邪魔に感じることもあります。
フロントI/Oパネルのケーブルを繋げていて気付いたのですが、このケースにはリセットボタンがありません。NZXTとしてはそもそも利用頻度が少なく、OS起動中に不意に押してしまった場合にデータ保存がされない等の被害が予想されるかららしいですが、リセットボタンが有用なシーンは今でもあるのでそこは付けてほしかったかも。
USB3.0ケーブルはフラットタイプなので、狭い場所を通しやすくなっていますね。
スマートデバイスのSATA電源ケーブルは3.5インチベイ付近まで伸びているので、Ainex S3-1504SAUAのような3分岐ケーブルを使うとHDDとまとめて給電できるのでスッキリします。
3.5インチベイは標準位置だとPSUシュラウドにあるPCIe補助電源ケーブル用ホールを半分ほど塞いでいるので、6pinや8pinはOKですが8+6pinとかだと前方へ移動させる必要があるかもしれません。
パーツ交換
購入後色々とパーツを交換することがあったので、交換のしやすさと拡張性についてです。
今回はCPUクーラーとケースファンを交換。
追加でHUE+ EXTENSION KITを購入し、LEDストリップを最大の4本にしました。
CPUクーラーについてですが、240mmラジエーターの簡易水冷で今回はトップに配置しました。
トップのファン設置部は独立可能な大きいファンステイ状となっており、標準時はファン搭載位置の低いケースファン用のモードで、裏返すと搭載位置が上がるラジエーター用のモードとなります。
ラジエーター取り付け時にはこれを取り外してラジエーターを先にネジ留めしてからケース内に入れることができ、ラジエーターを支えながらドライバーを回すという作業は不要になるので便利ですね。
バックプレートの交換にはもう今になっては当たり前ですが、CPUカットアウトがあるのでマザーボードを取り付けたまま作業ができます。
ケースファンはCorsairのLL140 RGBへとりあえず2基だけ試しに交換してみました。
どうせケース付属のスマートデバイスでは同社のAer RGBを追加できなくてコントローラーが別途必要なら、他社でも気に入った製品にしようと思ったので。
LEDコントローラーのLighting Node PROはマザーボード裏の2.5インチベイのトレイを取り外して、コントローラー付属の両面テープで貼り付けています。
コントローラーとハブ共にSATA電源が必要で、ケースファンからのLED用ケーブルもあるので配線はかなり苦しくなります。
CPUクーラーのポンプとファンもRGB LED 4pinケーブルが各個に必要なので、こうLEDパーツが多いと裏のケーブルガイドが邪魔になってきます。
LEDストリップはケーブルを引き回して、トップの次はリア側に流れるように配線してみました。
リアファンの横にはスペースが無いので、ケーブルはファンの下を通してマザーボード側に通しています。
ストリップの端子自体は一般的な5050LEDストリップ等と同じ4ピンなので、こういったL型コネクタ等を流用しています。保証はできませんが。
あくまで端子が同じだけで、マザーボードのRGB LED 4ピン端子とは電圧からして違うので絶対に接続しないようにしましょう。
お遊び編
私の場合はハイエンド構成ではないので、ケース内にデッドスペースが多く生まれてしまう訳ですが、そこを利用して今回はフィギュアを入れてみました。
文字が邪魔かもしれませんがご容赦ください。
http://kurokamina.hatenablog.com/entry/H700ifigure
ケーブルマネジメントバー中央の穴をあれこれ活かしてフィギュアを浮かせています。
ついでにケーブルマネジメント改善のためにSSDを2台減らしました。
PSUシュラウド上に液晶モニタも載せてみました。
http://kurokamina.hatenablog.com/entry/H700iMonitor
7インチでこれくらいです。グラボが2段目以降のPCIeスロットだと大きすぎるかもしれませんね。
USB給電なので、今回はNZXTのINTERNAL USB HUBを使ってケース内にUSB TypeAポートを用意しました。LEDコントローラー等で足りなくなるUSB2.0ピンヘッダを増やせるのも便利です。
ついでにLL140 RGBをもう1基追加してファンを全てRGB LED化してみました。
この2つはとりあえず実験的に入れてみましたが、通常のPCパーツ以外を中へ入れているのは落ち着かないので、簡単に取り外せるようにして普段は外しています。
普段はといえばLEDも普段は消灯しているので、苦労して配線したLEDケーブルが無駄になってますね笑
話は脱線しましたが、こんな事ができる程度にスペースは広いので水冷を組むには良いかもしれません。
面白いギミック満載
スマートデバイス、ケーブルマネジメントバー、ケーブルルーティングキットといった便利で楽しい機能が多く、ケース付属のファンコンとしては間違いなく現時点で最高のものが載っていると思いますし、ケーブルマネジメントについてもよく考えられていて、機能性についてはかなり満足しています。
E-ATX対応ですが、横幅272mmまでの対応なので注意が必要です。
ATX,MicroATXの横幅が244mmなので、E-ATX対応によるケースの大型化は僅かですが、トップの横方向排気や360mmラジエーター対応もあってH400i比では大きく感じるかもしれません。
H700iがそういった大型化に繋がる機構を持ち、Mini-ITXがH200i、MicroATXがH400iと来て間隔を開けて700というナンバリングをしたのは、ATXまで対応でラジエーターは280mmまでといったH600iを出すためなのかな?と疑ってはしまいますが。
目を引く美しさ
冒頭で初めて見た時にビビッと来たと書きましたが、正直機能性とかどうでも良いからこのケースが欲しいと思ったくらいに気に入りました。
外観についてはプラ系パーツを排除していることもあり安っぽさは感じません。
トップとフロントは完全なフラットデザインで、横方向に設けられている通気孔はブラックに塗装されているので目立ちづらくて良いですね。
内部は大きなケーブルマネジメントバーが目を引きますね。H700iはブラックも良いですが、個人的にはバーが目立つホワイトのほうが好みです。
PSUシュラウドにあるNZXTの文字がLEDで浮かび上がるのも好き。
スマートデバイスが必要ないなら・・・
このケースは3万円弱と決して安価ではないので、必要ないパーツは外して安くしてほしいと思う人は多いかもしれません。
特にスマートデバイスについてはファンコントロールはマザーボードで十分という方も多いでしょうし、LEDストリップもマザーボードから制御できるAURA SYNC等に対応したもののほうが良いとかそもそも要らないという方が多いかと思います。
ケースファンについてもデチューン版といえ比較的高価格なAer Fシリーズの120mmを3基、140mmを1基も付けなくていいと思ってしまいます。私もAer Fは全て取り外して別のファンへ交換していますし。
もしスマートデバイスとLEDを無くし、サイドパネルを通常のスチールにしたような安価なH700iが発売されたら、それはそれで人気が出るような気もします。
S340 Eliteという選択肢もあるので、スマートデバイスが必要ないだけならそちらを選ぶのもアリかも。
PCケースの新たな潮流
5インチベイレスや強化ガラスは好みが分かれるかもしれませんが、電源カバーやケーブルバーを持ち、裏配線はケーブルガイドに沿ってケーブルを通す、これらは今後のPCケースではスタンダードになっていくかもしれません。
今までもPCケースがファンコントローラーを内蔵していたり、ファンハブを持っている事がありますが、H700iのスマートデバイスはマザーボードのファン制御よりも優れる機能を持っており、PCケースに頭脳を持たせるというNZXTの目指しているコンセプトを明確に感じ取ることができます。
正に次世代のPCケースを感じさせるだけのものがH700iにはありました。
決して安価ではありませんがオススメできるPCケースです。
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購入金額
29,980円
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購入日
2017年11月15日
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購入場所
Amazon.co.jp
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