レビューメディア「ジグソー」

主張しすぎないことが安心感に繋がる

以前の日記で、昨年12月に開催されたポタフェス秋葉原 2017冬では、物販コーナーの内容がイマイチだったという話を書きましたが、eイヤホンの秋葉原店で開催されていたセールでは、特に中古方面で見るべきものがいくつかありました。

 

実は予告されていた特価品の中で、本気で購入を検討していたのはNuForce PRIMO8(@\14,900)でした。これはコンディションをチェックして、試聴で納得できたら買うつもりで店頭に出向いていました。しかし、実際にAstell&Kern AK100IIで聴いてみると、レビュー等で紹介されてイメージしていた傾向とは大きく異なる音で、残念ながら納得できず購入は見送りとなります。

 

そこで近い価格で何か他に面白そうなものはないかと特価コーナーを見ていると目にとまったのが、このNoble Audio Savant Universal(@\17,900)でした。ただ、この価格で売られているものはケーブル欠品でしたので、24,900円で売られていたケーブル添付のものを試聴させていただきました。

 

すると、詳細は後ほど音質の方で書きますが、意外なほど好感の持てる音が出てくるのです。この音でこの値段なら安いと思い、これを買うことは決めたのですが、そうなると7,000円差でのケーブルの有無が問題となります。ただ、このモデルはCIEM 2Pinケーブル対応であり、暫定的にはJH AUDIO Michelle添付のケーブル(3.5mmステレオミニと2.5mmバランスで2本添付)が流用できることから、後で面白そうなケーブルを買ってみれば良いかということで、ケーブルが無い方を購入してきました。

 

 

 

 

添付品は一部のイヤーピースとケーブルが欠品という状態でした。イヤーピースはそれほど特殊なものではないので、代用できるものが多くあるため気にする必要も無いでしょう。

 

 

 

発売当時は約8万円という価格帯の製品でしたが、それほど高級感のある外装ではありません。まあ、Noble Audioのハイエンド、Kaiser K10の弟分ということで「Baby K10」という開発コードネームが付けられていた製品ですから、彼らにとっては特に高価な製品という意識はないのでしょう。

更新: 2018/01/17
音質

緻密でありながら押しつけがましさを感じない

私が普段使っているイヤフォンといえば、自分自身のリファレンスとして使うつもりで購入した、JH AUDIO Michelleです。

 

 

 

この製品を選んだポイントは、ずば抜けて凄いと思う部分がない代わりに、私が聴く殆どのソースを水準以上の音にまとめ上げてくるという万能性の高さでした。実際に私がDAP等の音質評価をするときには、このMichelleで聴いた音を基準としていますし、それに耐えうる実力は十分持った製品だと思います。

 

ただ、元々ステージモニターを手掛けるJH AUDIOの製品だけに、音の輪郭をクッキリと伝えようという意識を感じる音作りでもあり、リスニング用として使っていても何となく分析的に聴いてしまうという部分はあります。

 

そこで、新たに買い足すのであれば、グレード的に近くてもリスニング寄りの傾向を持つイヤフォンも持っておきたいと思ったのです。Savantには、その求める要素が実現されていると感じて購入してきました。

 

 

ここからの音質評価は、この後購入したケーブル(Bispa 咲 BSP-HPCL-TTEPEPCM)を組み合わせた状態で、ONKYO DAC-HA300をプレイヤーとして接続して評価したものとなります。

 

 

 

 

まずはここ最近の定番「Shape Of My Heart / Sting」を聴いてみます。バックのアコースティックギターの音はMichelleよりも柔らかく、直接音に対して胴鳴りの音がやや多めに感じられます。ピッキングの音はMichelleよりはやや小さめとなります。スティングのヴォーカルはやや太く感じるでしょうか。印象的なのは音場の密度の濃さで、広がっている空間が音で満たされているような印象です。ハイハットはMichelleよりは目立たないのですが、きちんと聴くとかなり細かい音が出ていることがわかります。一音ごとの明瞭さはMichelleに分がありますが、Savantには楽曲にじっくりと浸っていられる良さがあります。

 

もっとも、ソースを打ち込み全開の「two souls -toward the truth- / fripSide」にして聴いてみると、さすがにこのような傾向の楽曲ではMichelleの明瞭なサウンドが似合っていることがわかります。南條愛乃のヴォーカルはかなり良いのですが、バックの音のエッジがさほど立たないので、何となく楽曲が落ち着いて聞こえてしまいます。

 

Savantは低域方向の量が少しだけ足されている感はあるのですが、極端な強調感がなくバランスが良いという長所があります。とはいえ、実は最低域方向はさほど出ていません。「Great Expectations / TOTO」などを聴いていると、低域方向はMichelleの方がしっかりと下の方まで出ているという事に気付かされるのです。もっとも、これはある意味当然で、実はSavantの中にはBAドライバーが低音×1、高音×1の2基しか入っていないというのです。

 

注)Noble Audioからは内部構成は公表されていません。

 

それがわかってしまうと、むしろBA2ドライバーで良くここまで濃密な空間を構築できるものだと感心するばかりです。今文章を打っている間に流れていたのは「Carmen Fantasie / David Garrett」だったのですが、ヴァイオリンとフラメンコギターの組み合わせとなるこの曲は、惚れ惚れするような生々しさです。

 

 

Michelleと比較すると万能性という意味では一歩譲りますが、リスニングで使う分にはより音楽をじっくりと楽しめるのが、このSavantの魅力です。最近は割合周囲が静かなときにはSavant、外出時などうるさいときにはMichelleという使い分けとなりつつあります。

 

Savantを入手して困った点といえば、MichelleとSavantで大体の用が足りてしまうため、他のイヤフォンの出番が著しく減ったということでしょうか…。

  • 購入金額

    17,900円

  • 購入日

    2017年12月16日

  • 購入場所

    eイヤホン 秋葉原店

21人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (2)

  • harmankardonさん

    2018/01/17

    手を広げていますね.
    次は,リスニング用として,思い切ってUnique Melody行くしか無いような...
  • jive9821さん

    2018/01/17

    > harmankardon さん

    単純に普段よりも異様に値段が下がってたので試してみただけだったのですが、聴いてみて購入を即決してしまいました。

    Unique MelodyはMACBETH IIに興味はあるのですが、仕様がSavantと近いタイプなので敢えて買う意味があるかと考えて、今のところは近づかないようにしています。もっとも、家で音楽を楽しむのは殆どHD650ですから、これ以上上のクラスのイヤフォンは買っても無駄な気もしています…。

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