先日中野で開催されたヘッドフォン祭りで、手ぶらで帰るのも何なのでと買ったイヤフォンです。
NUARLという新興ブランドですが、元々コンピューター、モバイル系の周辺機器を手掛けていたMTIという会社が、新たにオーディオに特化したブランドとして立ち上げたとのことです。そのNUARLの第一弾製品として、希望小売価格3,980円(税別)ながら、70KHzの高域再生に対応したイヤフォンと話題になったのが、このNX110Aです。
今回購入したNX110Aは厳密にいえばヘッドフォン祭り会場限定のお買い得パッケージで、通常のNX110Aに別途4サイズのSpinFitイヤーピースと、NUARLブランドロゴ入りのイヤフォンポーチが付属して、価格を約3割下げたものとなっています。実売価格の約半分はおまけの価値にしか見えないほどです。
標準添付のイヤーピースも勿論含まれていますので、計7ペアが入っているということに…。
このカッパー色はそこそこ個性的で、高級感というほどのものがある訳ではないのですが、ローエンドクラスとしては質感は悪くありません。ただ、3.5mm側のコネクターは、かかる負荷などを考慮するとこのクラスの製品ではL字型の方が良かったような気がします。
パッケージの中身をすべて並べた状態です。SpinFitは、イヤフォンポーチの中に収納されていました。
ちなみに、SpinFitは単売品で買うとこれくらいの製品です。もっとも、今回代理店が変わったということで、価格やパッケージングは多少変わるかも知れませんが…。
おまけの2品は、本体の価格を考えればかなり良質ではないでしょうか。ポーチも思ったよりは厚手でしっかりとしたものです。
音に興味を持つための入り口としては及第点
さて、70KHz再生対応などと華々しく登場したNX110Aですが、希望小売価格3,980円というエントリークラスの製品であるということは忘れてはいけません。
勿論、ドライバーにある程度こだわらなければ70KHzの再生は難しいですから、その意味で力が入っていることは間違いないでしょう。しかしながら、よく知られているように人間の可聴範囲はせいぜい20KHz程度まで。ある程度年齢をかさねていたり、若くても生活環境が悪かったりすると15KHzすら聞き取れない人も決して少なくはありません。人間が20KHz以上の音を知覚できるという研究結果もありますが、それでも耳で聞き取る訳ではないとのことで、イヤフォンは20KHzを再生できていれば十二分ですし、それ以下の周波数しか再生できないイヤフォンでも高域が出ていないと感じることはまずありません
例えば、私が以前高域方向が強いとレビューしたaudio-technica ATH-IM02の再生周波数範囲は20~15,000Hzですし、私自身はまだ辛うじて20KHz程度を聞き取れる程度の聴力は保っていますが、それで高域が伸びていないと感じることはありません。
何故このような前置きをしたのかというと、以上の内容を踏まえてお読みいただかないと、以下の文章に疑問を持たれる方も必ず出てくると思われるためです。
試聴は手持ちのポータブル機器の中で最も駆動力に優れると思われる、ONKYO DAC-HA300を使って行いました。
まず、フラットバランスについてですが、
・最低域=あまり出ていない
・低域=分厚い
・中域=やや少なめ
・高域=少しだけ多め
・最高域=(量的には)あまり出ていない
となるでしょうか。
ヴォーカルや弦楽器・金管楽器の質感はこの価格帯としてはなかなか良く、音楽の大事な部分はきちんと聴かせるだけの実力はあります。
ただ、どうしても苦手とするのはバスドラムやハイハットなど、可聴範囲の割合端に寄る楽器の質です。バスドラムは量は出ているのですがあまりアタックなどはきちんと描かれず、ただ音が出ているという印象です。その上ベースが妙に分厚く鳴るので、低域の方が張り出してきて他の帯域がやや埋もれ気味に感じられてしまいます。
高域方向は意外と細かい音も出ているのですが、金属的な質感や細かいニュアンスが出るほどの領域には達しておらず、「意外と出ているな」という印象で止まってしまいます。それでも、同じ日に買ってきた、遙かに高価なFOCAL SPHEARよりは、高域の質に限っていえばこちらの方がマシですが…。
恐らく音楽を楽しむために買うイヤフォンとしては、この3千円クラスの製品がまさに入門用といえる訳で、その意味で音楽そのものを不足無く伝えるだけの実力を持ったNX110Aは、有力な選択肢になり得る存在でしょう。
ただ、良い音楽を存分に楽しむという目的であるのであれば、その趣味のない人にとっては厳しい話になるかも知れませんが、出来ればもう1ランク上の製品を買って欲しいと思います。
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購入金額
2,800円
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購入日
2017年11月03日
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購入場所
ヘッドフォン祭り2017会場 フジヤAVIC
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