絢香、ヴォーカリスト。結婚以前の初期は発声学の師である西尾芳彦とのタッグで超量産体制をしいていたが、結婚&病気療養を経た再始動後は西尾とは袂を分かち、ゆるやかに独自の路線で攻めている。そんな彼女の活動の中では最初期に当たるのが本作、“melody~SOUNDS REAL~”。
デビュー3ヵ月後の2ndシングルで、まだ1stアルバム
リリース前。そのため?持ち曲も少なかったからなのか、5万枚限定生産のこの作品ではスタジオ録音曲と同じ曲(+1曲)がライヴ音源で収録されている。
表題曲とは別リミックスやオフヴォーカル版がシングルに同梱されていることは少なくないが、通常は曲のリリース⇒ライヴ開催となることが多いので、「同じ曲のライヴ版」が同一のシングルに収められることは多くない(逆に旧作のヒット曲のライヴ録音がシングルにカップリングされることは多いけれど)。
しかし本作は同じ曲が2回ずつ、スタジオ版とライヴ版とが収録されているので、そのふたつの味わいの違いが味わえる。
えげつなくはない形で声にパワーを乗せて歌う「melody」。基本この曲は編曲者L.O.Eの一人バックなのだが、バンド仕立てのアレンジで、エレキギターのミュートカッティングの残響とアコギのオープンカッティングの力強さが引っ張る1コーラス目とストリングス系のキーボード音が優勢になる2コーラス目の対比もよく、絢香の表現の幅をうまくサポートしている。アウトロの一瞬ダミるスキャットがライヴ感。
「ブルーデイズ」。L.O.Eの弾く生ギターが単調めのリズムマシンに乗る部分がほとんどのシンプルなバック。これが絢香の弱ハスキーな声を支える。絢香の声は基本あまり張らない優しい声なのだが、唯一パワーが載るブリッジの部分=♪あの時/見送った背中/声枯らし/止めれば良かったの?/暗い後悔ばかり/幾度となく駆け巡ってくの♪の情感が♪いつものように一人帰り/カギをさしドアをあけると/「おかえり」と君が出迎えてくれるなんて/淡い期待抱いて♪とはじまるこの失くした恋を歌う歌にリアリティを与える。
3曲目から5曲目は2006年3月にshibuya duo MUSIC EXCHANGEで行われたアンプラグド系ライヴの収録。特に3曲目にあたる「melody ~Live Version~」は「~Live(録音)~」ではなく、「~Live Version~」とヴァージョン違いを謳っているのが「正しい」変わり方。ベースレスでリズムもドラムスではなく矢吹正則によるカホンなので、迫力的にはスタジオ録音の1曲目の方が遥かにあるのだが、絢香の歌に込められた情感は、二胡奏者でもある土屋玲子のヴァイオリンと絡みつつ歌うこちらの方がダイレクトにハートに響く。
スタジオ録音とライヴ録音、その良さはやっぱり「違う」。スタジオの緻密さとライヴの空気感。スタジオの構築された美しさとライヴの意外性ある瞬間の美。特にカップリングされたライヴがアコースティック系のセットでもあったため、それぞれの良さが味わえた一品でした。
【収録曲】
1. melody
2. ブルーデイズ
3. melody ~Live Version~
4. Sha la la ~Live Version~
5. ブルーデイズ ~Live Version~
「ブルーデイズ」
-
購入金額
1,200円
-
購入日
2012年頃
-
購入場所
ZIGSOWにログインするとコメントやこのアイテムを持っているユーザー全員に質問できます。