以前同じサンシャイン製の純マグネシウム製ターンテーブルシート、STS-1を取り上げたことがあります。
この時には、はっきり言えば若干疑いの目で見つつ導入してみたのですが、明確なメリットが感じられるという結果となりました。
STS-1の導入と、フォノイコライザー Phasemation EA-200の導入でKENWOOD KP-9010でもまだ行けるという感触を得ましたので、次に手を入れる部分として考えたのが、レコードスタビライザーの導入でした。簡単に言えば、レコードの針が動く範囲にかからない程度に置く、重りのことです。
今でも安定して入手出来て、価格も手頃という製品といえば、audio-technica AT618があります。これは実売価格で4千円程度と手頃で、重量も600gとまずまず重く、ゴムカバーが付いているためマッチングという意味でも大外れが無いという、なかなか良く出来た製品です。ただ、どうせならもう少し面白そうな製品は無いのかと探していて目にとまったのが、このサンシャイン S4Sという製品でした。丁度安い中古品があったので、ハズレならAT618を手配すれば良いかという程度の感覚で購入してみました。
これも先述のSTS-1と同様に、純マグネシウム素材で作られているとのことです。
よく見ると真ん中に分割線があることがおわかりいただけるでしょうか。実はこの製品は最初から2ピース構造となっていて、用途に応じて分割されることを上手く活用して欲しいという意図を持っているようなのです。
下の写真の、表面が銀色の側の穴が、ターンテーブルのスピンドルが収まるように設計されています。もっとも、実はこの製品はあくまでインシュレーターやベースというべき製品であり、一応レコードスタビライザーとして使えるように工夫されているだけというものです。そのためスピンドルの直系にピッタリと合っているわけでは無く、厳密に言えばセンターが綺麗に出しにくくなっています。
メリットもあるが、全面的に向上するわけでも無い
2ピースの固まりの重量合計が約400gということで、レコードスタビライザーとしてみたときにはさほど重量がある製品ではありません。それなのに、半分に割って使うことも想定しているというのです。格安なAT618ですら約600gという重量を持っているわけで、200g程度のスタビライザーでどの程度の効果が得られるのでしょうか。
そこでまずは2ピースを組み合わせた形となる、約400gの状態で試聴してみることにしました。
ちなみに、KENWOOD KP-9010では、この状態ではダストカバーを閉じることは出来ません。
さて、音質の方ですが曖昧さが減り、非常に明瞭な音へと変化します。KP-9010本来の持ち味がより強調される方向です。ただ、最初の内はかなり良いと思っていたのですが、「Shape Of My Heart / Sting」を再生してみると少しあっさりしすぎている感があるのです。
ヴォーカルが少し細身になり、バックのアコースティックギターの胴鳴り成分が減ってしまうのです。ロック系のキレは増しますが、弦楽器などの音は味わいが薄くなり、ちょっと味気ないという印象を受けてしまいます。Hi-Fi感は出るものの、レコードらしい味が減ってしまうというべきでしょうか。
そこで今度は半分の約200gの状態で使ってみることにしました
すると先程よりは全体的にややふくよかさが増してきますし、その割にキレの向上は依然として感じられるという状態になります。
ただ、スタビライザーの有無で思ったほど極端には音は変わらないという印象を受けました。約400gの状態で使って振動を抑えすぎてしまうことで、むしろデメリットの方を強く感じたほどです。
200gの状態であれば、少し明瞭さが増しキレも多少良くなりますので、使うことにそれなりにメリットは感じられるでしょう。ただ、KP-9010の音質傾向を考えると、むしろゴム素材で接触するAT618の方が無難な方向に動くのではないかという気がしています。
とはいえ、このようなグッズ一つでも音の方向性を変化させることが出来てしまうことが、アナログの面白さであり奥深さでもあるのでしょう。同時に厄介さも伴うわけですが…。
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購入金額
1,236円
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購入日
2017年10月07日
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購入場所
Amazon
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