Folder5。安室奈美恵らによる沖縄ブームに乗る形で「和製JACKSON 5」のような形で活動していた7人組グループ=Folderが、ボーイソプラノのDAICHIが変声期に入ったのを期にもう一人の男性メンバーJOEとともに離脱し、残ったのが女性5人のFolder5。元々コーラス担当で全員歌もダンスも結構うまかったが、あまりブレイクすることなく、足かけ3年ほどで活動を停止した。
そんな彼女たちのラストシングルが本作。
「ラストシングル」というにはインパクトには欠けるが、特に表題曲が懐いアレンジで、ディスコブームのあたりを識っている世代にはたまらない。
「MY MIRACLE」はなんと言ってもイントロのファンキィなギターのカッティングが印象的(クレジットないンだけれど誰なんだろ)。これでチョイ古めのディスコ系ファンクの薫りが立つ。ファットな音色のシンセも時代っぽくってイイ。ハネるリズムに上手く乗せてるのがノリの良さを出している。各メンバーのソロパートもあって、比較的メンバーの歌唱地力が高かったこのグループの良さを出しているかな。
「カテナチオ」。曲はGACKTのアレンジを多く手がけている大久保昌文が作編曲なんだけれど、ちょっと一本調子かな。ダンサブルなビートに比較的上下動のない一本調子なメロディが乗るという小室系の楽曲。それをハモりでなくユニゾンで歌うので「学校授業合唱」という感じで彼女たちの良さが活かせていない。途中のBメロで転調して結構強引にサビで元キーに戻すアレンジは面白いんだけれど。大久保は作曲より編曲向きなのかなー。
「Magical Eyes (mochi2 wonder mix)」は以前レビューした「Magical Eyes」
のリミックス。リミックス曲には踊ることを前提にビートを効かせて長尺にした“extended dance mix”系と、歌詞などに沿ってバックを絞ったり効果音で脚色したりして世界観をより深めるようにしたものがあるが、このリミックスは明らかに後者。音の加工にストーリー性があって、魅せる。♪君に流されていくキモチ/素直に伝えるから/ずっと/傍にいて♪の部分の「傍(そば)にいて」がメンバー一人一人の歌唱で左右に散らされ訴える。2コーラスが終わった後のブリッジは、リズムがオフった暗めのふわふわとしたバックで歌にはモジュレーションのような加工がされて歌詞を聴き取りにくくして?その後の♪二人がつないでいく/小さな歴史の中で/変わらない笑顔だけ/ずっと/あるように♪の所の「解決部分」のインパクトを高める。スリリングな感じから解決に向けた物語性がいい。リミックス担当はEXILEや倖田來未、ジャニーズ系ユニットの編曲を多く手掛けるh-wonder。
彼女たちはこのシングルのリリースの直後、本作の表題曲を含む2ndアルバム
をリリース。そのあと1年後にノンストップリミックス集とベストアルバム、全曲BOXなどを出すが、そのまま音沙汰なしの自然消滅。メンバーによると「いつの間にか「終わって」た」という状態だったラシイ。
それでもこのユニットからはAKINAが歌手として10年ほど活動し、現在もタレントとして残っているし、HIKARIこと満島ひかりは若手女優として定着してきた。MOEも石原萌として地元で芸能活動しているみたいで、他の二人も含めてみんな「行くべき道」を見つけたみたい(ちなみにFolderの頃のリードヴォーカルDAICHIは今をときめく三浦大知)。そんな彼女たちのラストシングルが、少し懐メロ調であったのは何となく符号的。メンバーのその後の活躍を見るにつけ、もう少しプロデュースが上手くいっていたら化けたかもしれない、そんな気持ちを持ちつつ聴き直した作品です。
【収録曲】
1. MY MIRACLE
2. カテナチオ
3. Magical Eyes (mochi2 wonder mix)
4. MY MIRACLE (instrumental)
「MY MIRACLE」
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購入金額
300円
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購入日
2007年頃
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購入場所
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