レビューメディア「ジグソー」

時代を拓いたPの激レアアイテム

所持する音楽データに対する私利私欲...イヤ私情私見あふれるコメント、音楽の杜。こういった分野のものは「好み」ですし、優劣を付けるのもそぐわない気がしますので、満足度の☆はあくまで私的な思い入れです。20世紀では音楽シーンの中心はアメリカやヨーロッパで、日本の楽曲は国内の狭いセールスが中心でした。それが今ではJ-POPやアニソン等のように海外でも高い売り上げを誇る分野も多くなってきました。そしてまたボカロ曲も発祥国である日本が強い分野です。そんなボカロ曲の一般化、グローバリゼーションに大きく貢献した伝説のPの作品をご紹介します。

2017年は初音ミク10周年。2007年8月31日、音声合成ソフトVOCALOIDの日本語音声としては第二世代最初の作品として「キャラクター・ボーカル・シリーズ 初音ミク」が発売された。それまでは主に音楽製作用ソフトとして仮歌やデモテープ作成に使われていただけのVOCALOIDに「命」を与えたのがイラストレーターKEI

が描いたパッケージイラスト。YAMAHAの革新的デジタルシンセサイザーである(初代)DX7のカラーリングを踏襲して、緑と黒(実機を一時所持していたcybercatからするとあれは黒ではなく濃い焦げ茶なのだが)で彩色されたツインテールスタイルのミクは熱烈に迎えられ、それまで音楽制作に興味が薄かった層まで巻き込んで「ボカロ曲」という独自のジャンルを創り出した。

初代初音ミクは実は発声ソフトウェアとしての完成度はさほどに高くなく、その後リリースされたMegpoid(GUMI)や次の世代の結月ゆかり等に比べると「歌わせる」のが難しいキャラクターだったが、それが逆に一部のクリエイターの創作魂に火をつけ、細かくパラメーターを調整して上手く歌わせること(いわゆる調教)に心血を注いだPが多数出て、この分野の楽曲のクオリティが飛躍的に上昇した。

そんないまや日本を代表する音楽ジャンルの一つとなったこの分野の最初期に、大きな影響を与えた人物がいる。

Tripshots。ボカロ曲が世に出始めた初期から活動し、寡作ながらその楽曲と映像の完成度で多くの支持を得た。楽曲としてはたまにSDキャラと合わせてコミカルな曲も書くが、トランス系のクラブミュージックが中心。そしてなんと言っても映像制作を本業とする彼の真骨頂はその映像。3Dモデルにより描かれた初音ミクが自身の楽曲と素晴らしいシンクロを魅せる「Nebula」は以前ここでも取り上げたが、

完成までにおよそまる一年を費やしたというその動画はギター以外の楽曲・動画の全ての部分を一人で製作した事による隅々まで行き届いた気遣いと造り込みと合わせて当時としてはもの凄いクオリティだった。その彼の創った3Dデータは「トクミク(Tripshots式初音ミク)」とよばれ、多くのフォロワーを得た。

寡作とは言っても永い活動歴を持つ彼はある程度の作品数はあるのだが、「モノ」としての商品(CDやDVDなど)は非常に少なく、コンピ系のCDなどに1曲収められるのみというものが多い。

そんな中彼の出世作「Nebula」を収めた“Tripshots Artworks/PRODUCT.01”の直系の後続作品が本品、“Tripshots Artworks/PRODUCT.02”。

5枚のイラスト入り。トレーシングペーパーの1枚以外は両面
5枚のイラスト入り。トレーシングペーパーの1枚以外は両面

“PRODUCT.01”の方ではDVDだったものが、Blu-rayにパワーアップ。しかしながら収められたのはやはり2曲のみ。

1曲目の「Nebula HD」はその名の通り「Nebula」のHD版。ただ単に1080pにアップコンバートしたのではなく、もう全然違う。画そのものの根本的変化は極小。間奏時にミクの指先から光が放たれる演出のバックの幾何学模様が違うのと、アウトロの二人のミクが手を合わせたあとに描かれる銀河の形が違うのが明らかに目に付く大きな変更で、あとは光系のエフェクトの色合いが異なる程度しかパッと見で気づくところはないが、ミクの髪の毛の書き込みの緻密さやコスチュームの質感やしわの入り具合のクオリティ上昇がパない。そして光と影。光が当たったところの艶やかさのアップと、これ対して黒く沈むところはより暗くなり、立体的に。まさにDVD画質からBlu-ray画質になった感じで、やや平面的だったミクの顔の立体感たるや。

続く2曲目の「gift nor art」は今まで基本一人で楽曲及び動画の製作を行ってきたTripshotsとしては珍しく楽曲そのものは他者製作で、Tripshotsは映像だけを担当。しかしその組んだ相手がアニメ「エロマンガ先生」や「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」のキャラデザなどを手がけるアニメーター織田広之としても知られるテックトランス界の第一人者Hiroyuki ODA。ODAは「鼻そうめんP(HSP)」としてボカロ界隈でも活動するが、彼の浮遊感あるハイパートランスな楽曲にTripshotsが画をつけている。この曲でのミクは「Nebula HD」よりさらに進化しており、強い目力をもつミクが語りかけるように歌う。バックの画像も「誕生(意味深)」をモチーフにしたもので、ミクが生まれ変わるようなそんな映像(オープニングに一瞬「生殖」と表示されるということは?)。とてつもなく美しい。

初音ミクというコンピューターソフトは様々なPにより命を吹き込まれ、多くの歌を歌ってきたが、その先頭を切って奔った作品の一つでボカロ界隈でも記念碑的な作品。そしてこのジャンルが10年も続き、初音ミク自体もその後、初音ミク・アペンド⇒初音ミク V3⇒初音ミク V4Xと絶え間なく進化することになるその基礎を造った作品の一つ。

この作品、レアモノハンターのcybercatとしては珍しく「しくじった」モノで、2009年時点ですでにTripshotsを識っていてフォローもしていたのにもかかわらず、2013年4月27~28日のTHE VOC@LOID 超M@STER 24での本作発売直後に情報を仕入れられず、2~3ヶ月後に情報入手したときには既に完売。オクなどにも全く流れず、かなり永い間購入店の入荷待ちリストに挙げていたモノ。今回売りに出されたのですかさずゲット。動画そのものはネットでも入手できるけれども、やはり「モノ」には叶わないかな、と。

4年以上前にしてこのクオリティ
4年以上前にしてこのクオリティ

入手して今観返してみても、5年近く前の作品とは思えない高いクオリティとミクへの深い愛が感じられる伝説のクリエイターの作品です。

【収録曲】
1. Nebula HD
2. gift nor art
*オリジナルCG画集(A4サイズ5P両面)付属

「gift nor art - HSP&Tripshots ft. Hatsune Miku」


Tripshots.net

更新: 2019/03/09
必聴度

「gift nor art」よりは「Nebura」の方が衝撃的

Tripshotsカラーが好き、ということなのかな

更新: 2019/03/09
必見度

特に「Nebura HD」のミク愛がすごい

元映像の「Nebura」でもすごかったのに、それをはるかに上回るクオリティ。

彼のYoutubeチャンネルには「Nebura HD」のMVはないので、その映像をチラ見せした動画を↓

  • 購入金額

    5,300円

  • 購入日

    2017年01月24日

  • 購入場所

    駿河屋

16人がこのレビューをCOOLしました!

コメント (4)

  • れいんさん

    2017/09/04

    やっぱりツインテは宝なのですね!
    うほー
  • cybercatさん

    2017/09/04

    トリミクはKEIのオリジナルを上手く3Dに昇華させているので、なびくツインテがすばらしい!
  • supatinさん

    2017/09/04

    cybercatさん、こんにちは
    (*・ω・)*_ _)ペコリ

    nebulaを初めて見たときの映像と音楽による衝撃は忘れられません
    2作目もブラッシュアップが凄まじいですね
    ただただ「凄い」と凡人は語彙を失います・・
    (*´꒳`*)
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