村松健。ピアニストにして奄美三線弾き。彼の作風は時代によってかなり違う。当初は「フュージョン」カテゴリーで出てきたのもあり、バンド形式でシンセ系の音も多く、生ピアノもかなり深いリヴァーブを伴う加工された音色。それが少しソリッドな音造りになり、「和」の旋律が混じり始める。さらにピアノ以外の楽器が入らなくなってきてほぼニューエイジ~ヒーリングの方へと軸足を移す。その後奄美大島に本拠を移したこともあり、ピアノと奄美三線のコラボなどアーシィでエスニックな方向性に行く。今はこれらのフィールドを行き来しながら現役活動中...というポジション。
本作“夏休みの宿題”は今から四半世紀以上前の11作目のアルバムだが、作風的には明確に「和」のテイストを感じる旋律に、ベースやドラムスと言った洋楽器の音色が融合している形。ただその音もスネアドラムはスナッピーを落として小太鼓のような音だし、フルートは和笛のような響きにもきこえる和洋折衷さ。
そんなどこか懐かしい旋律のつまった彼の作品は「朝をひとりじめ - on the first train -」で幕を開ける。ちょっとお祭りの「鉦」のようなカチャカチャとした音色とその無機的な打ち込みループのアンマッチや、旋律の和の要素と展開部のジャジィな音取りの対比が面白い。彼の声が所々メロディやソロの旋律をなぞっているのもジャズピアノっぽいが、基本の音の選び方が東洋的というね。ラストコードの意外性はかなり攻めたジャズだけれども。
続く「ともしびの歌」はイントロの不安定なコードから一転、曲に入ると折笠満のセロと神田幸彦のヴィオラが村松のピアノを優しく包むノスタルジックな曲。童謡を聴くような懐かしさがある。
いっぱいにペダルを踏んで切らない音でポツポツと語るのは「あおき沼、あおき魚」。ひとつひとつの音の重なる「揺らぎ」が心地よい。ベッドホンで聴きながら目を閉じると、水の中から夏の青い空を見上げているようなキモチになる。
村松の作風の中ではこのあたりが多分最も特徴的かつ代表的な作風。リズムマシン程度のローテクながら機械が入ったり、他の楽器が入ることで彼の独自の感性が浮き彫りになっていたりしているのがわかりやすく親しみやすい。そして日本人の心の奥底にしまわれている懐かしい引き出しを覗いたような、切なさと、甘酸っぱさと、寂しさとを感じさせるメロディのからみが「ちょうど良い」感じ。夏が去りゆく季節にはなぜか聴きたくなる作品です。
【収録曲】
1. 朝をひとりじめ - on the first train -
2. ともしびの歌
3. ベルを鳴らして坂道を
4. 幼い日の君に
5. ハマナスの夏
6. 太陽に近い街
7. 金魚のまどろみ
8. クジラと泳ぐ日
9. あおき沼、あおき魚
音源はYoutubeにもニコニコにもないのでmusic.jpのアルバム販売ページ(長めの試聴ファイルあり)
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購入金額
2,800円
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購入日
1990年頃
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購入場所
北のラブリエさん
2017/09/14
cybercatさん
2017/09/14
北のラブリエさん
2017/09/14
cybercatさん
2017/09/14
自分は知りませんでした。
北のラブリエさん
2017/09/14
Wikipedia
cybercatさん
2017/09/14
北のラブリエさん
2017/09/14
佐野さんとか河野さんとかあちこちで引っ張りだこの人たちで。
cybercatさん
2017/09/14
れいんさん
2017/09/14
まだ
おいらの夏は
終わってねぇえええええええ
cybercatさん
2017/09/15