まずは本編についてですが、シングル等で先行発表されていたのは、アニメ「アトム　ザ・ビギニング」の主題歌としてリリースされた「光のはじまり」だけとなりました。

もっとも、前作の限定盤に添付されていたカバー曲集で特に好評を博した「ガーネット」の元歌を歌っていた奥華子の提供曲があったり、アーティスト活動からの引退を発表していた川田まみの作品があったりと、ちょっとした意外さはあります。

個々の楽曲については深く言及はしませんが、いかにも本人の好みを反映したと思われるような曲調の楽曲が多く、水準としてもまずまずまとまっていると思います。

ただ、私自身の好みから言えば、コンセプトアルバムとしてきちんとまとまっていた前作「Nのハコ」と比べると、アルバム全体を通して聴いたときの印象はやや薄いかなと感じます。楽曲としては前述の奥華子作である「逢えなくても」や「It'll be dawn soon.」など、シンプルにヴォーカルを活かしているものの方が好印象です。

カバー曲集については、なかなか面白いのはDreams Come Trueの「未来予想図」を取り上げていることでしょうか。オリジナル版は公式にアップされていませんので、Ms.OOJAのカバーを貼っておきます。

一般的によく知られているのは、恐らく「未来予想図II」の方だと思いますので…。こちらもオリジナルはありませんので、Acid Black Cherryのカバーを貼っておきます。

個人的にはこのカバー集では「ほんとはね。」が特にイメージに合っていると感じます。

そしてBlu-rayで添付されている「Nのハコ」ツアーのライブ映像ですが、これはパシフィコ横浜　国立大ホールでの公演を収録したものです。実は同じ会場に以前Chicagoのライブ（Jason Scheff在籍時最後となる日本公演）を観に行っているのですが、そのとき以上に会場が埋まっていることに驚かされます。

内容としては「Nのハコ」収録曲を中心に、第一作「東京1/3650」に収録されていた、アニメ「グリザイアの果実／グリザイアの楽園」で使われ、いずれもシングルとしてリリースされた楽曲や、シングルのカップリングとして発表された「Simple feelings」などを加えた構成であり、前作の復習に適したものとなっているのですが、これがなかなか素晴らしいのです。単品でライブ作品として発売されていても買ったかも知れません。

率直に言えばアルバム単体の評価であれば3.5ですが、カバー曲集とライブBlu-rayを評価して4という感想です。個々の楽曲はそれぞれ悪くないのですが、アルバムとしての流れが何となく私の感覚ではしっくりときませんでした。

とはいえ、ここまでのフルアルバム3作（第一作の前にミニアルバム「カタルモア」があります）とも比較的高い水準を保ち続けていることには素直に感心させられます。多分次回作も期待を込めて予約購入となるでしょう。