Z270 Gaming Carbonで組んでいたPCが、なんと一体型水冷CPUクーラーの液漏れ(!)で死亡してしまったため、同じMSIのマザーである、Z270 Gaming M5にバトンタッチ。
Z270 Gaming Carbonよりも機能豊富になって復活しました。
早速、Z270 Gaming M5についてレビューしてみたいと思います。
まずは外観・機能をチェック
マザーボード全体の写真を撮り忘れてしまったので、オフィシャルの写真でご紹介。
今時な、IOポートから電源周りのレギュレーター・ヒートシンクをカバーするプラスチックパーツが目につくデザインです。
PCI-Eスロット周りにも、スロット番号が記載されたパーツがはまっていて、下位モデルとの差別化が図られています。
Z270チップのヒートシンクにもLEDのギミックが仕込まれており、Z270世代から急に派手になったLEDコントロール機能とあわせて、ライティングMOD PCを組む際になかなか映えるデザインだと思います。
それでは、個別に見ていきましょう。
パッケージ
パッケージはミドルハイエンドクラスということもあり、ごく一般的なパッケージで、エンスージアスト向けの超ハイエンドマザーのような特別感はありません。
むしろ、このクラスであればパッケージにかけるコストはマザーボードにつぎ込んでもらった方がよいと思いますし、不満もまったくありません。
IOポート周り
IOポート周りは、今時のマザーボードらしく、USB3.1を搭載しています。
また、MSIのGamingシリーズのマザーボードはKiller NICを搭載していることも特徴で、USBコネクタの上にあるLANポートは、Killer E2500 Gigabit LANポートとなっています。
コネクタの配置については公式の画像がわかりやすいので、そちらで確認していきたいと思います。
- PS/2 GAMING Device Port
- DisplayPort
- LIGHTNING USB 3.1 Gen2 Type-A
- Killer™ E2500 Gigabit LAN Port
- HD Audio Connectors
- USB 2.0 Ports
- Clear CMOS Button
- BIOS FLASHBACK+
- HDMI
- LIGHTNING USB 3.1 Gen2 Type-C
- VR Ready USB 3.1 Gen1 Ports
- Optical S/PDIF-Out
となっています。
うれしいのはPS/2のデバイスポートがあることと、OCを行うときにCMOSクリアボタンが背面にあるのは便利だと思います。
USB3.1が増えたことで、USB3.0端子はなくなっており、USBが少し複雑な構成となっています。
6番はUSB2.0で、マウスやサウンドデバイスなどはここにつなげることになると思います。
通常の2ポートのほか、BIOS Flashback+に対応したUSB2.0コネクタが1つ、合計3ポートとなります。
BIOS Flashback+ですが、CPU、メモリ、グラフィックカードがなくても簡単にBIOSのリカバリが行える機能です。
しかも、BIOSが飛んだ状態でもUSBメモリにBIOSファイルを書き込んでおけばリカバリできますから、BIOSアップデートの失敗時などに便利かと思います。
幸い、そういった事象が起こらないのが一番なのですが…。
特長的なのは、3番のUSB3.1と、11番のVR Ready USB3.1。
これについては後ほど確認してみます。
CPUソケットまわり
今時のマザーボードらしく、I/Oポートおよびヒートシンクにもプラスチックカバが飾りとして取り付けられています。
VRMのヒートシンクにカバーをしてしまうと放熱的にどうなのよ?という気もしましたが、PC動作中に放射式温度計で測定したところ、40度くらいにしかなりませんでしたので、案外大丈夫そうです。
メモリまわり
メモリスロットはSteel Armor装備のDDR4 Boost仕様となっています。
メタルシールドでEMIを防止する仕組みですが、Steel Armorは4スロットまとめて一体化されたプレートでシールドされているので、メモリスロットがしっかり取り付けられているので安心感があります。
M.2スロット
M.2スロットは2基備えており、いずれもPCI-Express Gen.3 x4対応のスロットとなります。
当然ながら、NVMeにも対応していますので、今時なSSDをフルスピードで利用可能です。
こちらは最近のMSIマザーではおなじみの、SSD用ヒートシンクのM.2 Sheldを搭載したスロット。
このM.2 Sheldの冷却効果は思ったよりも高いので、できればこちらのスロットを優先的に使いたいところ。
M.2 Shield対応のM.2スロットはコネクタパーツがM.2 Shieldが取り付け可能な特殊な形状ですので、CPU側にあるM.2スロットにM.2 Shieldを取り付けることはできません。
個人的には、両方ともM.2 Shield対応のスロットにして、2枚目のカバーは別売、とかにしてくれるとよいかと思います。
デバッグコードLED
PCの挙動がおかしいときのチェックに便利な、デバッグコードLED。
ここに表示される2桁のコードで、どのような不具合が出ているのかをチェックすることができます。
起動できないときの問題の切り分けに重宝する機能です。
しかし、このLEDって正常動作時にはあまり意味がないのですが、このマザーボードの場合、なんとOS起動後はCPUの温度を表示してくれるんですね。
ユーティリティを開かなくてもCPU温度がわかるのは、温度の把握がしやすくて便利な機能だと思います。
VRMまわり
ヒートシンクを外してみました。
MSIといえばMilitary Class 5ということで、チタン製チョークコイルとDark Capによる電源周りとなっています。
サウンド周り
Realtek ALC1220によるサウンド周り。
LchとRchをPCBの別々の層に回路を配置してセパレートしているらしく、ノイズ対策もしっかり、という構造だそうです。
実際、アンプに繋いでマザーボードのサウンドを出力していますが、今時のオンボードサウンドってよく出来ているな~と関心しきりでした。
これでは、なかなか別売のサウンドデバイスが売れない訳だ…
カードの確認が終わったので、早速組み込んでみます。
今回は、Core i7-6770を使ってみました。
CPUクーラーやメモリと干渉しにくいCPUまわり
CPUクーラーはサイズの虎徹を使っています。
メモリスロットとギリギリ被らない位置にクーラーを装着できますので、ヒートスプレッダーが着いているメモリであっても、干渉することは無さそうです。
CPUクーラーの取付も、難なく完了。
VRMのヒートシンクも低めにデザインされているので、つまみ式のネジでも簡単に取付ができるのは便利です。
M.2 SSDの発熱を防ぐM.2 Sheld
前回Z270 Gaming Proを使っていたときも感じたのですが、M.2 SSD冷却用のM.2 Sheldはとても便利です。
マザーボードに標準で冷却用のヒートシンクが着いてくるのはいいですね。
M.2 Shieldの裏側には熱伝導両面テープが貼られていますので、保護シートを剥がしてSSDに貼り付けます。
今回はHyperX PREDATORを使用していますが、もっと熱を持つ最近のSSDだとさらに放熱効果があるように思います。
こちらはM.2 Shieldを取り付けない状態で測定したSSDの温度。
一番熱を持つコントローラーチップ付近の温度を放射温度計で測定しています。
47.2度、ピークで48.3度を記録しています。
そしてこちらがM.2 Shieldを取り付けたSSDの温度。
熱は思いっきり下がってピークで40.4度と8度近くもSSDの温度を下げることができました。
このM.2 Shield、上位機種のGaming M7とかでは2スロットSSD Shield対応とかにしてくれると良いのにな…とか思います。
派手なLEDコントロール機能も充実
マザーボード上にフルカラーLEDのコントロール用端子があり、専用のケーブルが付属します。
LEDテープは専用のものではなく、ヤフオクなどで安価に売られているフルカラーLEDが使えますから、安価にPCケースをライティングMODすることができます。
ただ、コネクタだけハンダ付けする必要がありますので注意です。
ケースの周囲にLEDテープを貼り、赤色にコントロールしてみました。
うーん、強そうですね…でも、赤色だと某社のR.○.Gシリーズを彷彿とさせますな…
なにげに格好いいと思ったのが、Z270チップのヒートシンク。
稲妻状のパーツのほか、排気口のようなデザインの隙間から光が漏れ出るようになっています。
これは側面がアクリルのケースで使いたいですね。
メモリは正常動作時にLEDが点灯しますので、こちらもノーマル状態でもけっこう派手な感じになります。
LEDのカラーコントロールは、MSI Gaming Appというユーティリティから行います。
上にあるメニューのLEDを選択すると、LED用のメニューが表示されます。
LEDは7色のプリセットのほか、アニメーションやエフェクトが選べます。
アニメーションは点滅やフェードなど、エフェクトは音楽に合わせてLEDをコントロールする、といった機能です。
ただ、このアプリでのカスタマイズがいまいち柔軟ではないのと、アニメーション時の演出がスムーズではなくステップ数がかなり少なく、パッパッと切り替わるのが残念なところ。
特に音楽によるエフェクトは、音楽にあわせてRGB全色を使ってスムーズに光が変わるとだいぶ格好良くなると思うんですよね。
直感的に使いやすいUEFI
昔のBIOS時代と比べると、グラフィカルになるわマウスも使えるわキャプチャもできるわ各種ユーティリティまで入っているわで充実度がすごい最近のUEFI。
最新のマザーと言うこともあって、かなり機能充実です。
MSIユーザーにはおなじみのレイアウトの画面構成。
F12キーを押すとUSBメモリにキャプチャが可能です。
なにげに便利な、Board Explorer。
昔はけっこうざっくりとした内容の情報表示でしたが、現在では取り付けられているコネクタごとに、パーツの型番などが解ります。
上下どちらが若い番号なのか時々悩むS-ATAポートも、このように使っているところにマウスオーバーすると下段にデバイス名が表示される親切仕様。
OCに関する設定項目は、見慣れたメニュー構成ですので悩むことは無さそう。
昔のBIOSの操作性を残してうまく拡張されたメニュー構成だと思います。
ここまで出来るのかーと関心しまくりだった、ファンコントロール。
これ、UEFIの画面なんですよ。もちろんマウスで操作可能。
しかも、回転数がリアルタイムでグラフ表示されるので、設定すればすぐに回転数が確認可能です。
うーん、これ便利ですな…。
しかもファンの回転数上下のタイミング秒数まで設定可能な高性能さ。
充実のWindowsユーティリティ
ドライバとアプリを一式インストールすると、いろいろとアプリが追加されます。
中には使わなさそうなのもありますが…
とりあえず、これだけインストールされます。
アプリの画面ごとに、機能を調べてみました。
MSI Fast Boot
Windows10ではFastBootを有効にすると、電源ON直後にOSがあっという間に起動します。
ただ、それでは従来のDELキー押下によるUEFI画面へ入れません。
このときに使うのが、MSI Fast Boot。
GO2BIOSボタンを押すと、自動的に再起動→UEFI画面を開いてくれます。
MSI X-Boost
ストレージの転送速度を高速化する、MSI X-Boost。
USBとストレージの転送速度を高速化可能らしいです。
MSI DPC-Latency Tuner
MSIの説明では、「システムの最適化を補助しシステムレスポンスを向上させ、スムースなオーディオ/ビデオ再生エクスペリエンスを得るための便利なツールです」ということですが、見たところOC関連やPCの安定性などに関連する項目をピックアップして設定が可能なユーティリティのようです。
MSI Win7 Smart Tool
こちらはWindows7用のドライバを適用した起動用メディアを作るツールとのこと。
Windows10では使いませんね。
MSI RAMDisk
MSIのツールで便利だと思うのが、このRAMDisk。
最近は大量のメモリを安価に積めるので、ブラウザキャッシュやPhotoshopのテンポラリなどをRAMディスクに追い出すとサクサク動作が可能です。
電源シャットダウン時にバックアップする機能も付いたツールで、無料で付いてくるRAMDiskユーティリティとしてはかなり便利。
MSI Command Center
ハードウェアまわりの設定や確認をするのがこのMSI Command Center。
オーバークロックの設定なども可能です。
ファンコントロール機能は、なんとファンの回転数が設定画面にマッピングされるのでどの設定でどれくらいの回転数になっているのかが一目瞭然。
ログ機能があると便利です。
MSI Live Update
面倒で忘れがちになる、各種ドライバ、BIOSのアップデートを自動的に行ってくれるユーティリティ。
常に最新版を入れておく必要も無いと思いますが、一気にアップデート可能なツールはとても便利です。
MSI Super Chager
GUIがないのでテキストだけで。
USBポートの電源をより強力にするモードを持ったWindowsの常駐プログラムで、スマホやタブレットなどのデバイスへの充電速度を短くすることが可能です。
MSI Gaming App
LEDのコントロールのほか、OCモードを切り替えたり、ブルーライトを低減するEyeRest機能、ノーマルのマウスやキーボードをゲーミング対応にする、ソフトウェアマクロ機能など様々な機能が詰まっています。
GPUもMSI製のものにすると、CPUのほかGPUのOCもコントロールできるようです。
Dragon Eye
ゲームをフル画面でプレーしながらYouTubeなどを閲覧したいときに使うのが、Dragon Eye。
画面サイズと表示位置、透明度などを調整し、ホットキーを押すと特定のストリーム画面が呼び出されるようになっています。
実況を動画で見つつゲーミング、といった用途で使うアプリかと思います。
Nahimic 2
音響にエフェクトを加える、Nahimic 2。
マザーボードのサウンド機能をアナログで使う場合のみ使用可能です。
ゲームで使うと結構雰囲気が変わって楽しいですが、適度なエフェクト適用がちょうど良く、エフェクトをかけ過ぎるとよく解らないことになってしまいます。
Killer Control Center
MSIのゲーミングマザーはKiller NICを搭載していますので、アプリケーション毎に優先度などを設定することができます。
組み込んだPCは残念ながら無線LAN環境なので、ユーティリティが使えない状態です(泣
Intel Extreme Tuning Utility
こちらはインテル謹製のOCユーティリティ。
といっても、MSI製のユーティリティのほうが細かいところまで手が届くので、こちらのツールはあまり使うことはないと思います。
ただ、個人的にはストレステストが便利です。
XSplit Gamecaster
ゲームをリアルタイムでストリーミング配信するためのツール。
最近、ゲームの生放送をする方も増えていますし、この手のツールが標準で付いてくるのは便利かも。
CPU-Z
MSI仕様にカスタマイズされた、CPU-Z。
オーバークロック時の定番ツールですね。
WTFast
WTFastはゲーム用のVPNサービスで、対応しているゲームだとpingを短くできる…らしい。
ただし、日本には対応していないゲームがほとんどだそうで、有料ツールということもあってなかなか利用する場面が難しそうな気がします。
…と、これだけのユーティリティが揃っています。
特長的なUSB 3.1まわり
今時のマザーらしくUSB3.1が実装されていますが、Lightning ASmedia 2142 USB 3.1 Gen2コントローラを装備しているので、通常のUSB3.1よりも帯域を確保することが可能です。
よく使用されているASmediaの1142では、PCI Express Gen3 x1接続なので、上限が8Gbpsとなります。このため、1デバイスでは8Gbps、2デバイス繋いだ時には4Gbpsが上限となります。
これに対し、LIGHTNING USB 3.1 GEN2ではPCI-Express Gen3 x2接続ですので、デバイス1台ではUSB3.1の上限である10Gbpsが、2台でも8Gbpsの転送速度が出ますので、有利となります。
このLIGHTNING USB 3.1 GEN2は、金色のUSB端子で利用可能です。
また、VR Readyと書かれたVR Ready USB 3.1 Gen1 Portsは、途中にリピータチップを挟むことで信号の減衰を防止し、VRヘッドマウントディスプレイなどの数mもの長さのUSBケーブルであっても、正常に信号を届けることが可能になるとのことです。
VRデバイス以外でも、USBデバイスを離れたところに置きたい時には使えそうな機能ですね。
とにかく安定、USB3.1まわりの強化も◎
MSIのZ270搭載のゲーミング最上位マザーはGaming M7ですが、M7と比べて異なる点は
・DDR4-4000対応(M5はDDR4-3600)
・M.2スロットが3基(M5は2基)
・PCI-Eのレーン構成がx16/x0/x0, x8/x8/x0, x8/x4/x4(M5はx16/x0/x4, x8/x8/x4)
といったあたりの差になります。
DDR4-4000モジュールを使ったり、M.2を3枚挿す人も少ないと考えると、バランスもよく、ハイエンドに準拠した性能を持つモデルとして、売れ筋になりそうなマザーボードだと思います。
実際に使っていますが(このレビューもZ270 Gaming M5で組んだPCを使っています)、不安定になることもなく、とても安定しています。
機能も豊富ですし、強化されたUSB3.1は今後デバイスが増えても安心感があります。
Z270マザーをお捜しの方にはオススメのマザーだと思います。
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購入金額
0円
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購入日
2017年07月30日
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購入場所
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