家入レオ。5年前(2017年現在)デビューした女性アーティスト。シンガーソングライター...というよりは作曲は「手がけることがある」程度で、基本は彼女の書いた詞に師匠筋の西尾芳彦が曲を書くことが多い(レオと西尾との共作や他者の作曲の場合もあり)。
やはり彼女の作品の特徴は、彼女の書く詞とその表現。その表現力は初期からかなり豊かで、怒りや悲しみ、切なさや優しさを聴く人に上手く伝える。最近はオンナノコ~若い女性らしい明るめでカワイイ詞も多いが、初期のころは若さと、それゆえの力のないことのくやしさと、世にまだ自分の居場所がない憤りとにあふれる、挑む詞、猛る詞が多かった。
そんな彼女のデビュー曲。高校生シンガーとしての叫びが見える。
「サブリナ」。歌い方が、若い。そして尖っている。彼女との出逢いの曲「Bless you」程の直接の尖り方ではないが、そこには「世に受け入れられていない若さ」が、「つま先立っているオトナ未満の姿」がある。♪いつだって/いつだって/本当の愛を求めて/町中の嘘に傷付けられても/今夜も空虚な気持ちを抱えておちてく/朽ちてく果実/サブリナ♪サビのところがファルセットと実声を行き来するのが、そんな「若さ」のギリギリ感を出している。
続く「ripe」は一線、爽やかなフォーク系の曲。4拍目にしかスネアが鳴らない半速にも感じられるリズムパターン。このゆったりとした曲を、レオは少し落ち着いた、でも丸みのある柔らかめの声で歌う。幼くも、またオトナっぽくもある声音で、♪恋の痛み/今/君の背中にとける/lan lan lan/届かない/想い/そっと/風にのせて♪と「今しか感じられない」恋の歌を。
DVDは「サブリナ」のMV。彩度を落とした画面の中で風にふかれながらレオが歌う。その風は「Bless you」の時ほど強くはないけれど、空からはどす黒い灰や弾丸のようなものが降り注ぎ、その中をレオは抜身の剣を捧げ持つような感じでマイクスタンドを手にさげている。降り注ぐ自分に対する不躾な視線を、心ない言葉を、「当たるものなら当たって見やがれ!」とばかりに渦中を歩き、囚われのフクロウを解き放つのは彼女自身の経験と想いのように感じるのはうがちすぎか。cybercatはこの曲は3rdシングル「Bless you」からの遡りで出会ったので、同時代性のインパクトには薄いが、それでも自分の学生の頃の心情を想い出して懐かしくなったり。自分は何者なのか、この地に生まれてきた理由はなんなのか、なにを成すべきなのか、そしてそれは成すことができるのか?そんな蒼い情念が、その何もかもを見通すようなまなざしから迸ってくるのを感じられるような作品です。
【収録曲】
<CD>
1. サブリナ
2. ripe
3. サブリナ (instrumental)
4. ripe (instrumental)
<DVD>
1. サブリナ (Music Video)
「サブリナ(SPOT)」
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購入金額
1,543円
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購入日
2014年頃
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購入場所
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