久保田利伸。現在J-POPにクロめのテイストが定着したのは間違いなく彼の活動がその一因と言われるほどジャンルの一角では存在感があるアーティスト。2017年現在はデビュー30周年を超えた彼だが、本作はほぼデビュー20年あたりの作品。
「クロっぽいJ-POP」というカテゴリーでデビューした(というか久保田がJ-POPにクロさを持ち込んだのか)彼もその後アメリカ系クロさ⇒アフリカ系クロさ⇒カリブ系クロさとその指向性を微妙に変えてきた。ただ本作のリリース時期は、20世紀末からやっていたアメリカでの活動が一段落した後で、「原点に還る」ことにしたのか、比較的初期のテイストで攻めてきた。
「Club Happiness」は、ちょっと懐かしめの曲調。イロクの方に行き過ぎてもなく、歌謡曲しているわけでもない、1st~2ndアルバムのあたりによく見られた(聴かれた?)クロっぽい薫りが漂うJ-POP。軽くステップ踏む感じのリズミカルな曲。ずっと久保田のヴォーカルと大差ない音量でフィーチャリングされているブラス系の音が肉声と絡んでデュエットのよう。プレイヤーはクレジットにはないがおそらく編曲者の盟友柿崎洋一郎。久保田の初期からのブレーン、さすが「いい位置」に収めてきた。
「Summer Sweet」は、軽くつまむような?歌い方で歌う「サビ前」の曲で、音量コントロールによる抑揚の付け方が上手い。シングルタイトル曲になるようなアピール度が高い曲ではないが、久保田の豊かな表現力が味わえる。
「Club Happiness 〜Moogie Woogie Mix〜」は1曲目のリミックスだが、テンポも低められふわふわとした音色のシンセサイザーでメロディがとられるインスト曲。リズムもバスドラに時々挟まれるリムショットという感じの静かなものに換えられている。ちょっとコミカルな感じもした1曲目と違って、しっとりとした感じの曲に仕上がっている。CD時代以降収録時間的にカップリング曲数の余裕ができたため、多くのアーティストが「カラオケ」の名称で単なるヴォーカルパートのマイナスワントラックで曲数水増ししてお茶を濁すが、この曲は全く違う。この「『裏』Club Happiness」、ホントいいな。
一応ドラマとタイアップはしていたようだけれど、そんなに爆発的に売れたわけではないので、久保田の曲としては知名度的には大したことない。
でもデビュー当時のような「ポップさとクロさのいい塩梅のミックス」という方向性で、それでいてそれまでの経験に裏打ちされた「上手さ」も光る曲。これが「熟成」ということなんですかね。
【収録曲】
1. Club Happiness
2. Summer Sweet
3. Club Happiness 〜Moogie Woogie Mix〜
「Club Happiness(Short:映像は関係ありません)」
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購入金額
1,223円
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購入日
2005年頃
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購入場所
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