3Dアニメーション「BLAME!」をNETFLIXで見た。
過去の3Dアニメーションの中で間違いなくナンバーワンの3D品質である。
巨大な建造物、幾層にも積み重なった建築物は重厚な世界観を見事に再現している。
背景はとても重要な要素で、今のアニメ業界では圧倒的に背景屋が足りていない。
結局背景も韓国と中国に委託することが多い。
そうした中で間違いなくメイドイン・ジャパンなことがわかるのが見ていて嬉しい。
この緻密なモデリング、奥行きは外国に下請けを出しても断られるレベルだろう。
キャラクターはしっかり生き生きとした表情を見せる。
躍動感が素晴らしい。
セーフガードサナカンの異様な動き。
ネット端末遺伝子を持たない人間を排除しようとする駆除系の昆虫のような群がり方=カサカサと気持ち悪いレベルで動く。
そして、人間もオール3Dであるにも関わらずセル調で多彩な表情を見せた。
ゆっくりとした動きも、速い動きもとても自然に見ることが出来た。
ストーリーは原作BLAME!の再構成となっている。
シボとの出会いと、電基漁師たちとサナカンの戦いに絞った再構成だ。
実はここがちょっと、残念だったとは思うが、いや、そうでもないかw
原作では、電基漁師たちは東亜重工のコロニーに入れなくなったために集落を築き、そこでセーフガードと戦ってきた。
主人公たちが来たことで入れるようになるが、サナカンや他のセーフガードとの戦いで多くの犠牲が出る、という流れだったはず。
本作品では、原作とは異なり電基漁師たちの集落は安全だ。
問題は食料が尽きかけていることで、そこを訪れた霧亥とシボが食料を提供することになる。
が、その結果サナカンに襲われ、集落は壊滅し、他の場所へ移住することを余儀なくされる。
これは、なんとなく切ない思いがこみ上げる。
これでは霧亥は完全な疫病神だ。
そしてシボと頭取の戦いはありません。
原作のあの戦いはクライマックスだった。
シボの燃えるセリフ「助けに来たわよ、霧亥」からのシボと頭取のバトルはぜひともみたかった。
一番の違和感は、霧亥のキャラクター演出そのものです。
霧亥の会話が 「かたこと」 なところです。
動きも、もっさりとゆらゆらと動くところに違和感を感じます。
そうしたかった理由がきっとあったんだとは思います。
でも、霧亥は結構表情豊かできちんと喋るんですよね。
焦ったり、シボに嫌な顔したり、熱血だったりと、そこがかっこいいのに。
ラストは電基漁師目線でハッピーエンドっぽく、なんかマッドマックスシリーズっぽいなとおもった。
その一方で原作のラストの切なさが今でも鮮明に残っている。
シボの祈りは霧亥に届いたのか、そして二人はもう会えないのか。
最後に大暴れしている霧亥が出て来るが、その解釈もそろそろ教えてほしいなと思う。
これはまあ、本作品には関係ないことではある。
上述の違和感だが「原作があまりにも良過ぎる」ための違和感であって、本作品単独で考えれば☆5つの最高傑作3Dアニメーションであることは間違いありません。
必見であります。
そして、きっとBLAME!は攻殻機動隊やアップルシードのように、監督や環境を変えて違う解釈=ストーリーでずっとこれからも、新しく作り続けてもらえるんだと思います。
それを期待して待ってます。
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購入金額
1,500円
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購入日
2017年05月20日
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購入場所
NETFLIX
kaerkiさん
2017/05/25
どんだけ未来の巨大企業やねん・・・
cybercatさん
2017/05/25
プレカリアート真面目明さん
2017/05/25
製作委員会のクレジットに「東亜重工動画制作局」と記載あるんですが、作中に東亜重工自体は出ませんでしたねw
なんていうか、いろんなものを削って凝縮したものが本作品であるように思います。
ストーリーはシボ編と電基漁師編の凝縮でありましたが、いつか、いろんなものが削られていないBLAME!がみたいなと思いました。
コメントどうも、cybercatさん
すごいなー、アトモスなんちゅうシステムあるんですか。劇場ならではの大迫力で羨ましい。
後半のサナカンとのバトルで聞いてみたいですね。