レビューメディア「ジグソー」

ノーマルポジションテープの最高峰

1970年代から90年代半ば、MD(ミニディスク)が普及するまでカセットテープには、本当にお世話になりました。

ウォークマンも最初はカセットテープ。

カーオーディオも、夏場にテープが伸びてしまうことに悩まされながら。

ホームオーディオでも、10万円を越える価格帯のデッキが売れる時代でした。

 

デッキもカセットテープ自体も、価格と聴感上の性能が合致していたんです。

このHF-PROは、ノーマルポジションテープの最高峰のひとつに数えることができる名品でした。

更新: 2017/04/23
満足度

小さな録再ヘッドとカセットケースとの位置関係が重要

既にクロームポジション(TYPE2)やメタルポジション(TYPE4)は市場で重要な位置を占めていました。

空き番の様に思える(TYPE3)は、フェリクロームというTYPE1とTYPE2の良いとこ取り仕様でして、SONYからはデュアド(Duad)という商品名で販売されていました。

 

そのデュアドも探せば出てくるかもしれません。

スペックから想像するような音調ではなく、他のどれにも似ていない、とっても分厚い音でした。

パット・メセニーの80/81という名盤があるのですが、あの分厚い音はギターの低音弦にジャストフィットしておりました。

 

友人たちと共有するには、TYPE1ノーマルポジションテープが最適です。

それに当時各社が次々と競うように発表していたノイズリダクションシステムにしても

基本的に自己録再で真価を発揮するものでして、共有を考えたときも、将来手持ちのデッキを買い換えることを考えたときも、ノイズリダクション・オフで録音しておくのがベストだと考えるようになっていたのです。

(それまではドルビーBやドルビーCだけでなく、TEACのdbxや東芝のアドレスなどを試しました)

 

となれば 大きめの入力を加えても歪みを感じないテープ。

     無音時のヒスノイズが上品なテープ。

     テープ自体やケースの耐久性が高い製品。

     聴感上、高域の伸びと自然な声が両立するてーぷ。

     できればインデックスカード欄が書き込みやすいこと、付属のシールが良いこと。

などを望むようになります。

既にカフェを営んでおり、定期的にレコードを買う習慣があったので、友人やお客さんに依頼され

仕事中にレコードをテープにダビングすることがありました。

 

カセットに付属するポイント券を収集することで、テープを管理収納する高品質な木製ラックを貰えたのはmaxellです。

今も、その木製ラックは小物入れとして重宝しております。(後日レビューしますね)

 

maxellもインデックスカードの出来栄えが良く、関西の会社らしくテープが少しだけ長めに入っているのが嬉しかった。

TYPEを問わず、元気な音が特徴だったと覚えています。

 

TDKはテープの長さが厳密。 60分といえばきちんと60分でした。

インデックスカードが縦方向にむけた横書きで 少し書きづらかった記憶があります。

でもメタルテープはTDKのそれが良かったとおぼえております。

ADシリーズも人気がありました。

 

SONYは、前述のデュアドと、このHF-PROを愛用してました。

特にこのPRO仕様は カセットケースの心臓部にセラミックガイドが仕込まれています。

録再ヘッドが収まる部分から、その両サイドにあるキャプスタンが入る孔の部分を覆うようにセラミックガイドがあります。 ちょうど鳥が羽を広げているのを正面から見るようです。

樹脂の白と少し色目が異なる部分がセラミックガイドです。

パイオニアのフラッグシップカセットデッキは、

通常他社製品がカセットをカンガルーポケットに納めてから

蓋を本体に向けて閉める様にして固定するのに対して、全く異なる手法を取っていました。

それはカセットケースそのものを筐体にバチンとはめ込んで、それを透明樹脂カバーで覆う仕組み。

ユーザーは、高級機を入手する動機のひとつに、前述のカンガルーポケットの動作感の良さ(オイルダンプやエアダンプ)があったはず。 じんわりと開け閉めするポケットに憧れたはずです。

でもカセットデッキと真面目に向き合ったパイオニアは、ヘッドとテープの進行を厳密に管理したかったのでしょう。

ナカミチなどはカンガルーポケットに納めてから、ヘッド部分を微調整する仕組みを持っていたモデルがありましたが、今思えば パイオニアには先見の明があったのでしょう。

実際にカンガルーポケットを持つデッキ(ラジカセも)が手元にあれば、再生中にポケットを押し込むと高域方向の伸長に変化があると思います。

あの細いテープを、あの速度で走らせて、あの小さな録再ヘッドで信号を読み書きするのですから

ミクロン単位での位置調整がキモとなるのでしょう。

利用する機械に関わらず、カセットテープのキモの部分に、一定の質量と、高い成形保証と、振動抑制効果を持たせることが可能となる このセラミックガイドシステムは

一定以上の性能を持つカセットデッキでは 聴感上感じることが可能なメリットがありました。

ケースに使われているタッピングビスひとつを見ても 一定のクオリティを感じます。

次はTDKのMA-Rが見つかるかな? どこに隠れているのか、捜索中です。

 

余談です

知り合いが半世紀近く前に関西のmaxellのテープ工場で働いていた時のお話をしてくれました

週に一度の朝礼時にある講話では、TDKやSONYのテープ表面の顕微鏡写真を見せられて

早くこのレベルに追いつこう! と 発破をかけられたそうですよ。しらんけど〜。

 

  • 購入金額

    400円

  • 購入日

    1990年頃

  • 購入場所

    アビック

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